高市首相と「中傷動画」問題

 高市首相陣営による「中傷動画」疑惑。

26日、疑惑を否定する高市首相


 テレビや新聞がこれを正面から取り上げないなか、朝日新聞の「天声人語」が27日以下のように書いた。

不思議で、仕方がない。なぜ高市首相は正面から向き合おうとしないのだろうか。選挙戦で自らの陣営が他候補を中傷する動画をSNSに投稿したとする疑惑に対し、はぐらかすかのような姿勢が目立つ

▼ことの発端は、週刊文春の先月末の報道だった。衆院選や自民党の総裁選で秘書とやりとりし、中傷動画を作ったと主張する男性の言葉が報じられた。国会で真偽を問われた首相は言った。そうした動画の作製や発信はないと報告を受けている。「私は秘書を信じる」

▼いや、誰を信じるかではなく、人々が知りたいのは事実関係だ。秘書は中傷動画の作製に関与したのか、男性とやりとりをしたのか。日をおいて問われても「私自身が関わっていることは一切ない」

▼どうしてこう、かみ合わないのか。「私自身も秘書もお会いしたことのない方だ」。オンラインのやりとりはなかったかと言われると「私に聞かれても分からない」

▼衆院選で多くが驚いたように、候補者の動画がスマホに一方的に流れてくる時代である。SNSの言説に投票が大きく左右される。そんな新しい世界の入り口に私たちはいて、不安を感じている。もっと丁寧に、誠実に、首相が説明してもいい話ではないのか

▼先週には、やっと、動画を第三者に依頼したこともないと否定した。でも、きのう、男性とのオンライン会議の有無を問われると「一つひとつ確認することは困難だ」。文春の第一報から、1カ月近くが過ぎる。改めて思う。なぜだろう。

 

 「なぜだろう?」は首相に対してだけでなく、これと真剣に向き合わない自民党を含む国会議員や、鋭く追及したり深掘りして報じたりしないメディア界にも向けられるべきだろう

 

週刊誌だけが首相に食い下がり(埼玉県 椎橋重雄)28日の朝日川柳より


 この問題は民主主義の根幹にかかわると思う。

(つづく)