日本の経済と生活水準の落ち込みは深刻だ。
この国にいると実感がわかないが、国際的な比較で見ると一目瞭然。「名目GDP(ドル換算)」では、シンガポール、香港、マカオにつづいて韓国と台湾など近隣諸国からも追い抜かれている。
かつて世界を席巻した家電の凋落は激しく、テレビ生産は日立と東芝、三菱が事実上撤退(日立、東芝は中国ハイセンスに事実上売却)、シャープは台湾の鴻海傘下に。パナソニックも近く生産をやめるとみられる。
これは、日本が得意とした液晶パネル生産で韓国、中国に完敗し、円安でも対抗できなくなったため。
かつては携帯電話では、日本はカメラ付き、モバイル決済、インターネット接続、着メロなどをいち早く装備し「携帯先進国」として注目されたが、スマホでは完敗し、今やソニーはじめ日本メーカーが撤退の秒読みに入っていると見られる。
深刻なのは自動車産業だ。次々に世界市場で敗北する日本の産業のなか、「最後の牙城」といわれた自動車産業が岐路に立っている。EV化の遅れがここにきて効いてきた。競争の軸が「エンジン性能」から「スマホ+家電+AI」へと移り、中国勢の圧倒的な強さがはっきりしてきた。







こうした産業の盛衰を左右するのが政治である。
例えばEV化の遅れは、温暖化対策を軽視し、欧州、中国などの脱化石燃料の世界の潮流を読み誤ったことが要因の一つになっている。今でも日本政府は(日本のメーカーに合わせて)EV化への舵を切っていない。EV販売比率は4%程度で、中国の49%を大きく下回る。近年、東南アジア諸国もEV化に熱心で、中国メーカーが急速にシェアを伸ばす。

トランプ政権がEV化に逆行した政策を採っているが、これは一時的なもので、イラン戦争で化石燃料異存への警戒感から今後EV化は一層進むとみられる。EVは生産すればよいというものではなく、その環境、例えば充電インフラの充実も必要になる。
充電インフラでは、日本は33カ国中32位とかなり低い評価だ(EV Charging Index 2025)。これではEVが売れるはずがない。これも政治の問題である。このままだと、自動車が家電の二の舞になりかねない。

自動車産業の競争力が低下するなか、日本が世界で売り出せる“次の産業”が育っていないことが危惧される。
この問題、今後も取り上げていきたい。