世界がここまで無法状態になったことが、少なくとも第二次大戦後、あったろうか。世界中がトランプの“遊び場”でもあるかのように、自分の勝手気ままに人を殺し傷つけている。
コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領が、国連での演説において、トランプに対する刑事捜査の全面的な開始を求めた。

理由は、彼がカリブ海で行った3回にわたる違法かつ殺人的な軍事攻撃にある。トランプは標的が麻薬カルテルのために働く密輸業者だったと主張するが、その証拠を示していない。仮に彼らが密輸業者であったとしても、一方的に殺害する法的権利はなく、本来なら逮捕して法廷で裁かれるべきだった。
(CNN) 南米コロンビアのペトロ大統領は、米国がカリブ海で実施した麻薬を密輸しているとされた船舶への攻撃をめぐり、トランプ大統領ら米当局者を「刑事訴追」するよう求めた。
ペトロ氏は、国連総会の演説で、「貧困から逃れようとしている若者たちに対し、トランプ氏はミサイルを撃つことを許可した」と述べた。米国による攻撃で10人以上が死亡している。
ペトロ氏は「カリブ海の非武装の貧しい若者たちへの攻撃は本当に必要だったのか」と問いかけ、標的となった人々について「多少の薬物を持っていたかもしれないが、麻薬密売人ではなかった」と言い添えた。
ペトロ氏は、米国の麻薬対策を批判し、「支配政策」を維持するためのものだと指摘した。「麻薬対策は、米国に入ってくるコカインを止めるためのものではない。南半球の人々全体を支配するためのものだ」
今月に入り、トランプ政権はコロンビアについて、麻薬対策の義務を「明らかに果たしていなかった」としつつも、同国への資金提供は続けると発表していた。
・・・・
まさにMAGAファシズム。
トランプは国際法をあからさまに蹂躙する一方で、その“番人”たるICC(国際刑事裁判所)への野蛮な攻撃を行っている。
ICC攻撃はまず裁判官、検察官個人への制裁からはじまった。米国はアフガニスタンでの米国人による犯罪の捜査とイスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状発付を理由に、今年2月にはカリム・カーン主任検察官に、6月には4人のICC裁判官に制裁を科した。そして8月、トランプ政権はあらたに4人の裁判官に制裁を科し、資産を凍結するなどの制裁を科すと発表した。
これ自体むちゃくちゃな話だが、制裁対象者の選び方にもトランプ政権の差別主義が現れている。
ネタニヤフ首相への逮捕状発付を決めた3人の裁判官のうち、フランス出身の判事は対象にせず、第二裁判所長のベナン出身のレーヌ・アラビニ=ガンス判事と、スロベニア出身のベティ・ホーラー判事には制裁を科した。
また、アフガニスタンの米国人による犯罪捜査を承認した3人の裁判官のうち、カナダ出身の判事は制裁対象にならず、対象となったのはウガンダ出身のソロミー・バルンギ・ポッサ判事とペルー出身のルス・デル・カルメン・イバニェス=カランサ判事だった。しかも、制裁対象の4人はすべて女性である。
実は、第一次トランプ政権時代の2020年にもアフガニスタンでの捜査に関し、ICC検察局の二人に経済制裁が科せられたが、その二人、ファトウ・ベンソーダ主任検察官はガンビア出身、ファキソ・モチョチョコ・検察局管轄権・補完性・協力部長はレソト出身でともに黒人だった。(駒林歩美「法の支配を誰が守るのか」世界9月号から引用)
トランプを日本に招こうという動きがあるようだが、I like Japan and Japanese peopleなどと言いながら、腹の中では、「黄色いサルをおだててやれ」くらいに思っていることを忘れないように。
(つづく)