相撲を愛するウクライナの少年

 ウクライナ北東部スムイ市へのロシア軍のミサイル攻撃による死者がこれまでに35人に上り、ここ数か月で最多となっている。当局によると、死者の中には11歳の少年と17歳の男性も含まれ、110人以上がけがをした。現場付近では14日、市民が犠牲者を哀悼した。

 ゼレンスキー大統領は14日SNSで「ロシアのテロは昼夜問わず続いている」とし、4月だけでも2800発近い爆弾や1400機をこえる無人機のほか、弾道ミサイルも使われたと非難した。その上で、ロシアへの圧力を強めて攻撃をやめさせる必要があると訴えた。
ロシアの攻撃をめぐり、国際社会からは非難の声が上がっている。

スムイへの攻撃は「ダブルタップ」で、2発目の攻撃で多くの被害者がでた。

 この攻撃はロシアの常套手段である「ダブルタップ」によって行われた。「2回叩く」という意味で、同じ場所に時間差で2発を撃ち込む1発目の攻撃のあと、現場にかけつけた救急隊、消防隊、被害にあった人を助けようと集まってきた市民らに向けて2発目の攻撃を行なうのだ。医療や消防という今もっとも必要とされる人材や機材を破壊しようとする、非人道的な爆撃方法である。今回の犠牲者のほとんどが2発目の攻撃によるものとされている。

まちがった、だけ?


 世界各国からロシアへの非難が高まるなか、トランプ大統領は何かの「まちがい」と事実上、ロシアを擁護。一度ウクライナに来て被害の実態を見てほしいとゼレンスキー大統領が要請しても、ロシア寄りの姿勢は変わらない。

 アメリカの支援は確実に減っているという。ウクライナへの支援総額の4割を占めるアメリカからの支援が止まれば今までどおりの抵抗戦争を維持するのは困難になる。とりわけミサイルやドローンなどの空襲から市民を守る防空システムはどうしても必要だ。追い詰められたウクライナは新たな一手を打ってきた。アメリカから武器をもらうのではなく買うというのだ。トランプは金を払えば売るだろうというわけだ。なるほど。しかし、その購入のための資金はどう手当てするのだろうか。

ウクライナは苦しいところに立たされている

・・・・

 ウクライナから久しぶりに明るい話。

 先日のNHK「国際報道」で、相撲に夢を託すウクライナの少年少女を特集していた。

 ウクライナ人は日本びいきで、日本の意外な文化やモノを導入していることは知っていたが、なんと相撲がさかんだったとは。

激戦地バフムト

 ウクライナ東部ドネツク州のバフムトがとくに相撲がさかんな地域だったという。そこでは20年も前から相撲が学校のスポーツに取り入れられ、世界大会で優秀な成績を上げる人も輩出してきたそうだ。バフムト市民は誰でも相撲を知っているそうだ。この地域は、ロシアの全面侵攻以来、取ったり取られたりの激戦が続いてきたが、2年前ロシア軍に占領されたままになっている。バフムトからキーウに土俵を運んできて、相撲の専門トレーナーのオレグ・レバさんが相撲の練習場をつくると、バフムトから避難してきた子どもたちが集まってきて練習が始まった。

ウクライナは相撲強豪国だそうで、国際大会でも活躍する選手は多かった。とくにバフムトは相撲人口が多く、相撲が誇りだったという。

バフムトでは相撲を知らない人はいないという。

キーウに避難した子どもたちが連日ここで汗を流す。女子も多い。

バフムトで相撲の専門トレーナーだったオレグさん。大きな抱負をもっている。

今年2月に日本で行われた少年相撲国際大会で5回戦まで勝ち上がったウラジスラウ・スタヴィツキー君。

相撲が好きでたまらないというウラジスラウ君

トレーナーのオレグさんは兵士が使うネット(爆弾除け、カモフラージュなど)を作るボランティア活動をしている。ウクライナでは政府に命令されなくても市民が自発的に抵抗戦争に貢献しようとさまざまなボランティア活動が展開されている。。

 ウラジスラウ・スタヴィツキー君(10)は、将来プロを目指したいと避難先のキーウで相撲を生きがいにしてがんばっている。父親は兵士としてロシア軍と戦っており、母親と弟とキーウで避難生活を続けている。母親によると、精神的に不安定になったりもしたが、相撲に集中して立ち直り、今では家族みなで応援しているという。

 ロシアに占領されたバフムトが日本の相撲を愛する土地で、そこから避難中の少年が相撲に夢を託している。

 久しぶりに微笑ましいニュースを見て、こちらが励まされた。