テレビは中居正広問題をどう扱うのか

 昨年12月から週刊誌で報じられてきたタレント中居正広の性加害の問題。だんまりを決め込んでいたテレビ各局は、中居自身が9日にトラブルを認める謝罪コメントを出すとようやく対応しはじめた。

日テレ10日のニュースより

 性加害の「舞台」となったフジテレビは「だれかtoなかい」(日曜午後9時)について、次回12日の放送から休止することを発表。ニッポン放送は「中居正広 ON&ON AIR」(土曜午後11時)について、次回11日の放送分を見合わせることを公表。
 7日にはMCを務める日本テレビザ!世界仰天ニュース 新春4時間スペシャル」が放送されたが、中居の出演シーンは全カットされていた。TBS系「THE MC3」や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」、テレビ朝日中居正広の土曜日な会」などが他番組への差し替えを発表されており、全てのレギュラー番組が休止や差し替えとなった。

 週刊誌によれば、中居は一昨年6月頃に「女性とのトラブル」があったとされ、代理人を通じて9千万円を解決金として支払ったという。中居は公式ホームページでトラブルを認め謝罪。その中の「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」という一文が批判の的になっている。

渡邉渚さんの昨年10月1日のインスタグラムより

 フジテレビの渡邊渚アナは23年まで『めざましテレビ』『ワイドナショー』『ぽかぽか』などの番組を担当し、次期エース候補の1人とも言われていたが、23年6月に“生命の危険を感じる衝撃的な出来事”があったことでPTSDを発症したという。去年8月フジテレビを退社した。

昨年7月に入院直後の渡邊渚さん(インスタグラムより)

 12日のTBS「サンデーモーニングでは膳場貴子キャスターが、「私たちJNNは、この件について取材を続け、当事者の女性の人権、プライバシーや、示談となっている点などにも十分に配慮した上で、報じるべき事実があれば、お伝えしてまいります」とTBSの立場を説明。

 コメンテーターの浜田敬子さんは―

週刊誌報道しかないので、それを前提にして感じることは、加害者のコメントを見ると、「示談金を払っているから芸能活動を続けられるんだ」と読めるわけです。ただ、当事者間でいくら合意をしていても、いま片方の被害を受けている女性がひじょうに傷ついている状況であると伝えられています。そういう状況で、そもそもテレビに出続けていいのかという問題が一つあります。

 もう一つ、フジテレビはこの事件の概要をしっているわけですよね、トラブルになっていることを。そういう人をテレビに出し続けている。きちんとその内容について調査をしているのかということ。中居氏を起用することについて議論を尽くしたのかということ。この問題もあると思います。

 もう一つが、この問題が週刊誌報道で明らかになって以降、フジをはじめ民放各局は、説明をせず、中居氏の出演をカットしたり、番組を差し替えたりしている。なぜ差し替えるのかの説明もなくするのは、私はおかしいと思います。少なくとも自社で明らかになるまで調査をしますとか、ちゃんと議論をしますとかいう説明もなく、黙って、事なかれ主義のようにやってしまうのは、非常に問題を感じていて、テレビ界だけじゃなくメディア界全体がこの数年ジャニーズ問題に直面して、検証したはずなんですよね。その反省が生かれているのか、ということを感じました。》
 
 浜田さんのコメントはいつもながら説得力がある。

 「女性とのトラブル」というが、被害者が心を病んで入院する事態になり、会社も辞めざるをえなくなったというのである。性加害自体「犯罪」であり、これはもう、お金を払ったから済むという話ではない。さらに、もし、フジテレビの上層部からの圧力のもと、被害者がお金で黙らされたというのであれば、フジテレビの存続にかかわる大問題だ。

 

 民放各局が、この時期になって一斉に番組差し替えなどの弥縫策に出ているのはなぜか。

 ある民放のプロデューサーによれば、「中居外し」を決めたのは、局の編成会議だが、CM担当の広告営業の責任者から伝えられたスポンサー企業の意見を組んだ結果だという。

 まずは企業が中居を忌避しているという。出演していたソフトバンク、タイミーの公式YouTubeのCM動画も削除されている。
https://gendai.media/articles/-/144864?imp=0

中居を起用したソフトバンクCM動画も今は削除されている

 つまり、「中居外し」はテレビ局内部の自浄作用ではなく、スポンサーからの拒否感に応じた営業上の判断の結果だという。

 先の「私たちJNNは、この件について取材を続け、報じるべき事実があれば、お伝えしてまいります」という約束が守られるか、しっかり見守っていかなければならない。