10月27日の衆議院選挙は予想通り、自民・公明で過半数割れになった。これまでのように自公で何でも勝手にやることはできなくなるわけで、これからの政治の動きが興味深い。
東京24区では有田芳生さんが、統一協会ズブズブの裏金議員で安倍派5人衆の一人、萩生田元政務調査会長に「刺客」として挑んだ。いいところまで迫ったが及ばなかった。選挙キャンペーンをSNSで見ていたら、市民たちが自発的にプラカードを作って運動したり、生き生きとやっている姿がさわやかだった。有田さんは比例で当選したので、こんどは衆議院での活躍を期待している。
「裏金議員」はどうなったか。
「非公認」または「公認だが比例重複なし」での出馬を余儀なくされた裏金議員は44人。離党や議員辞職した議員を含め計46人。結果は半数以上の28人が議席を失った。
裏金議員の過半数が落選したのは有権者の良識だと思うが、安倍派5人衆にかぎると、しぶとい。松野博一、西村康稔、萩生田光一、世耕弘成の4名が当選し、落選は高木毅氏のみ。
国民民主党(4倍に)、れいわ(3倍に)が躍進した一方で、共産党が10から8議席へと減らしている。そもそも岸田氏が総裁を辞めることになった政治資金パーティをめぐる裏金疑惑を暴いたのも、投票日直前に2000万円問題をスクープしたのも共産党なのだが、と理不尽感あり。企業献金の禁止など、もともと共産党が主張していたことを他の野党も言うようになって差別化しにくくなっているのか。また、参政党や保守党など極右が獲得した票数には危機感を覚える。これもなぜなのか、選挙におけるアピールはどうあるべきかなど、さまざま考えさせられる。
裏金議員で個人的に知っている人は、東京1区の山田美樹氏と東京7区の丸川珠代氏。山田氏は共通の知人がいて、一度一緒にワインを飲んで話したことがある。丸川氏はテレ朝時代のご縁。ともに落選で、こういう場合、どうするのだろう。議員としての再起を目指すのか、終活を始めるのか。
当選組での知り合いは、鹿児島2区の三反園訓氏、千葉3区の立憲の岡島一正氏(松野博一氏の敗れたが比例で当選)、保守党の近畿比例当選の島田洋一氏。
三反園氏は、テレ朝「ニュースステーション」の政治担当キャスターから鹿児島県知事に出て当選。川内原発をやめるとの公約を、知事に当選したらすぐに「再稼働」OKに変身し、二期目の知事選挙では自公の支援を受けて敗北。すぐに2021年の衆院選で自民を破って当選するも、その後「二階派」に接近。今回は二期目で、無所属で自民や維新を破って当選したが、自民入りが予想されている。こういうのをヌエ的というのか。
岡島氏は私がバンコクに駐在していたときNHK支局のカメラマンだった。彼もいろいろ渡り歩き、自由党(落)➡民主党(当)➡国民の生活が第一➡日本未来の党(落)➡生活の党(落)➡自由党➡立憲(落・比例当選)➡立憲(落)➡今回比例で当選。かつては「小沢側近四天王」の一人だったとか。
島田氏は「救う会」の副会長で、福井県立大学名誉教授。「2006年春から6月にかけて、島田は八木秀次、伊藤哲夫、西岡力、中西輝政らと会合を重ね、来るべき「安倍政権」の課題について議論した。彼らは「五人組」と称され、この時期、安倍晋三の重要なブレーンとして知られた。安倍は同年9月20日に行われた自民党総裁選で初当選。9月26日に首相に就任した」(wikipediaより)。
今回の選挙でもっとも残念だったのは、小選挙区選の投票率53.85%と、前回選より2.08ポイント低下して戦後3番目の低さだったこと。とくに若者が投票しない傾向がずっと続いている。同じ東アジアの台湾では若者の投票率が7割に達する。国民が政治に関心をもち、少なくとも選挙に参画しなくては、世の中は変わらない。
そんななか、山形県の投票率は60・82%で、国政選挙の都道府県別で5回連続トップとなったとのニュース。
《なぜこれほど投票率が高いのか。県選挙管理委員会の担当者は「子供の頃親と一緒に投票所に行ったことがある人が多く、選挙があれば行くのが普通になっているのではないか」と話す。
県内は3世代同居率が高く20年の国勢調査では13・9%で、5回連続全国1位。総務省の調査によると、子供の頃に親と投票について行ったことのある人はない人に比べて大人になると投票に行く確率が20ポイント以上高かった》(毎日新聞)
また、3年前の日経新聞によれば—
《なぜ、山形県の投票率は高いのか?いくつかの特徴的な取り組みから分析を試みたい。
県の審議会に「若者枠」を設置
まず、政治参加の分野において、山形県が進んでいるのは、投票だけではない。
行政において具体的な施策を議論する全ての審議会等に若者委員(20-30代)を1名以上登用することを目標としており、積極的に若者の意見を行政に反映させている。
実際、その達成率は徐々に上がり、令和1年7月時点で100%に達している。
遊佐町「少年議会」で子ども代表を選出
次に取り上げたいのが、山形県遊佐町で行われている「少年議会」だ。
これまで18年間続いている「少年議会」は、遊佐町在住・在学の中学生と高校生で構成され、遊佐町の若者の代表として「中学生・高校生の政策」を議論し決めていく。 こうした「子ども議会」は全国で行われており、その存在自体は珍しくない。
ただ、遊佐町の「少年議会」は、大きく二つ他の地域の取り組みとは異なる。
一つ目が、実際の選挙を通して代表選出を行うというものだ。
一定期間、少年町長、少年議員の立候補を募集し、定数を超えた場合は、選挙を行う。
その有権者は中高生で、各学校で、実際に選挙で使用する投票箱を使用し、本番の投票さながらに投票を行う。
選挙を通して、自分たちの代表を選び、町の課題について議論し、実際に解決策を提示するところまで実施する。
こうして実際の選挙の有権者になる前から、民主主義を体験し、その意義や、政治の重要性を学んでいく。出典:遊佐町少年議会 選挙広報2020
子どもを「参画状態」に
二つ目が、実効性の伴った取り組みということだ。
他の地域で行われている「子ども議会」は、単なる見学や模擬的なものであることは珍しくない。
しかし遊佐町の「少年議会」は、実際に町の施策に反映され、自分たちの政策を実現するための独自の予算(45万円)も持っている。
同様に、山形県金山町では2年に1度、高校生による議会を招集し、選挙で選ばれた高校生議員と議長が実際の議場で町長以下、町幹部に質疑する取り組みを行なっている。
実際、通学時のバス料金の負担軽減を求めた際には助成金をすぐに予算化するなど「模擬」にとどまらない事業となっているという。
この根底には、平成18年に町が制定した「金山町自律のまちづくり基本条例」の考え方がある。
第12条には、「満20歳未満の青少年及び子どもは、それぞれの年齢に相応しい町づくりに参加する権利を有する」と規定してある。
なお、山形県の中でも金山町の投票率が最も高く、2017年衆院選の投票率(全世代)は78.44%になっている。
このように、山形県の取り組みは、「子どもの参画のはしご」でいう、「参画状態」になっており、投票率を上げるヒントになるのではないだろうか(逆に多くの自治体の取り組みは「非参画状態」となっている)。》
すごいぞ山形!
家庭そして学校での教育が重要であることは間違いなさそうだ。他の地方でも取り組んでほしい。