朝日新聞がスクープ。
安倍晋三首相が2013年の参議院選直前、統一協会の幹部らと自民党本部の総裁応接室で面談していた。萩生田光一・元経済産業相や岸信夫・元防衛相も同席していた。17日朝刊の1面に面談時の写真が大きく掲載されている。
写真には教団(世界平和統一家庭連合)の徳野栄治会長、教団関連団体の「全国祝福家庭総連合会」の宋龍天(ソンヨンチョン)総会長(後に教団世界会長に就く)、「国際勝共連合」の太田洪量(ひろかず)会長と勝共連合の幹部2人が並んでいる。
これは、「4日後に公示を控えた参院選で自民党比例区候補の北村経夫・現参院議員を教団側が全国組織を生かして支援することを確認する場だった」という。北村氏は元産経新聞政治部長で、結果は当選だった。自民党はこの前年、12年12月の衆院選で大勝し、第二次安倍政権がスタート。13年7月の参院選で勝利して「ねじれ」を解消、長期政権を築いた。エポックとなった重要な選挙だったのだ。
一方、統一協会(「世界基督教統一神霊協会」)は、霊感商法が社会問題になり、多くの裁判が起きて窮地に立たされていた。生き残りをかけて、政治権力に食い込もうとしていた。自民党と統一協会がたまに再起をかけて蜜月へと向かった時期だったのである。
このあと、2015年8月には、統一協会の「世界平和統一家庭連合」への名称変更がすんなり認められている。
自民党の茂木幹事長(いま総裁選に出ている)は22年8月、「党として」「これまで一切の関係を持っていないことを確認した」と党としての組織的関係性を否定。教団側との接点については議員の自己点検に委ねられた。そして安倍氏は点検の対象外とされ、岸田首相は「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」と調査自体を拒んできた。
しかし記事によれば、国政選挙直前に、自民党総裁が教団のトップを党本部の総裁応接室に呼んで、側近とともに直々に選挙応援を確認していたことになる。これは重大だ。これで「組織的な関係はなかった」などと言えるのか。
これまでの説明が覆ったのだから、徹底調査すべし。さあ、総裁候補の面々、どうしますか。
・・・・・
自民党総裁選の党員からの支持で高市早苗氏が急上昇しているとの見方がある。
旧統一教会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏はこう言う。
「熱心な信者たちが『高市早苗さん一択』などと、X(旧ツイッター)に盛んに投稿しています。教団は政治団体の『国際勝共連合』を通じて憲法改正や伝統的家族観の重視を主張し、思想信条はおおむね高市氏と合致する。自民党との長く深い関係から相当数の党員を抱えていて、高市推しで動いているとみています。ただ、高市陣営は教団関係者からの直接アプローチは遮断しているとも聞く」(日刊ゲンダイ)
自民党に入党した統一協会員の活躍で高市氏が総裁に、なんて悪夢が現実にならぬよう祈る。
・・・・・
建築家の坂茂さんが、世界の優れた芸術家に贈られる「世界文化賞」に選ばれた。
「高松宮殿下記念世界文化賞」は日本美術協会が絵画や音楽など5つの分野で世界的に活躍する優れた芸術家に毎年贈っているもので10日、東京でことしの受賞者が発表された。
建築部門では、紙でできた素材を使ったシェルターや仮設住宅を世界各地で作り、難民の救済や災害支援に取り組む建築家の坂茂さんが選ばれた。
会見に出席した坂さんは「世界中で手軽に手に入るもので建築物を作り、社会の役に立ちたいと思った。地震で人が死ぬのではなく、建築物が崩れて人が亡くなる。だから、われわれには責任があると認識しながら、世界のために活動を続けたい」と受賞の喜びを述べた。
坂さんは現在、ウクライナで新しい病院の設計にも関わっているほか、難民の避難所でのプライバシーを守るための「間仕切り」を作っているということで、「世界の幸せなくして日本の幸せはないとの思いで、少しでも建築で貢献したい」とウクライナ支援への思いを述べた。
坂茂さんは、かつて「情熱大陸」で取材させてもらったご縁で、活動をフォローしているが、ウクライナ支援でも活躍しているのはすごい。ますますお元気で!
・・・・
17日は日朝首脳会談から22年。
成果なく年月が過ぎた。むろん、まずは北朝鮮が責められるべきなのだが、日本政府の対応にも大きな問題がある。そこをしっかり正さないと、残念だがいくら署名運動をしても問題は進展しないと思う。
15日のテレビ朝日「サンデーステーション」で特集「見捨てられた拉致被害者」が放送され、反響を呼んでいる。
2014年に北朝鮮が、神戸出身の田中実さんと金田龍光さんの2人が北朝鮮で生存していて家族と暮らしていると日本政府に通報。しかし政府は横田めぐみさんら他の被害者の「死亡」扱いが変わらないことを理由に北朝鮮の「調査報告」の受け取りを拒否し、生存情報を隠蔽しつづけている。もう十年もの間、文字通り見捨てられているのだ。
このブログの読者は、「またか」と思うかもしれないが、世間ではまだまだ知られていないので、繰り返し訴える必要がある。
田中実さんは政府認定拉致被害者だが、養護施設で育ったため「家族会」には誰もおらず、名前もあまり知られていない。政府は「この2人だけでは国民を納得させられない」と切り捨てたのだが、「命の価値は同じはずだ」と、抗議の声が上がっている。
田中さんには日本人の妻があり、男児もいることが分かっている。その妻も拉致被害者かもしれない。政府は直ちに田中、金田両氏に会い、事情を確認し、日本への帰国を図るべきだ。
【独自】北朝鮮から生存情報も「見捨てられた」拉致被害者 当時の担当大臣取材応じる【サンデーステーション】(2024年9月15日)