沖縄での性犯罪隠ぺいが発覚。それも1件、2件ではなかった。
以下、私が属している「日本ジャーナリスト会議」(JCJ)沖縄の抗議声明から一部引用する。
「昨年12月24日、沖縄本島中部の公園で16歳未満の少女が米兵に誘拐され、性的暴行を受けた。少女の帰宅後に、110番通報により沖縄県警が米兵を在宅のまま捜査し、今年3月11日、わいせつ誘拐・不同意性交容疑で書類送検された。同27日に同罪で起訴され、日本側が勾留した。その後、保釈金が支払われて保釈が認められ、米兵は米軍の管理下に置かれている。米軍関係者以外ではこのような対応はあり得ず、米軍特権が際立っている」。
この事件自体が許されない凶悪事件だが、これを6月下旬まで県当局や国民に隠蔽していたことが重大だ。
「起訴の時点(3月)で外務省はエマニュエル駐日米大使に抗議した。しかし、沖縄県には連絡しなかった。県警も県と情報共有をしなかった。今回のような事案があれば、学校も地域社会も、警戒を呼びかけ対策を講じなければならない。結果として、行政も、メディアも、果たすべき役割を果たし得なかった」。
明らかに政治的意図をもった隠蔽だ。
「外務省が米大使に抗議した後、日米首脳会談、エマニュエル駐日大使の石垣・与那国訪問があり、沖縄県議会議員選挙があり、首相や米軍関係者も参列する沖縄戦慰霊の日の追悼式があった。これらに影響を与えないようにするという意図を当局は否定するが、信じることができない。被害者のプライバシー保護のためとするが、他事例と比較すれば説得力はない。」
また、被害者は「16歳未満の少女」としか記されていないが、ほんとうは何歳なのか。非常に幼い可能性があるのではないか。はっきりさせるべきだ。
JCJ沖縄は「米軍の特権を支えるために県民を犠牲にする日本政府や当局に断固抗議する」との声明を6月27日付けで出している。
ところがその後、米海兵隊員が5月、不同意性交致傷容疑で逮捕され、同罪で起訴されたことも明らかになった。
えっ、もう1件も隠していたのか、と憤激していたら、きょう、さらに3件隠蔽していたとの報。いい加減にしろ!
「林芳正官房長官は3日の記者会見で、捜査当局が報道発表していない沖縄での米兵による性的暴行事件が2023年以降で新たに3件あると明らかにした。既に明らかになっている23年12月と24年5月に発生した事件と合わせると計5件となる。
林氏によると、新たに判明した3件は23年2月、同8月、24年1月にそれぞれ発生し、いずれも不起訴となった。事件の詳しい内容については説明を避けた。」(毎日新聞)
こうなるともう日本は植民地そのもの。
先日、ウクライナ戦争について「犠牲者を増やさないためには、はやくウクライナが降参して戦争が終ればよい」と考える日本人が少なくないことを指摘し、その一因は、日本人が世界でも稀な降伏・被占領に対して「良い」イメージをもっている国民であることだと記した。
しかし、実際の戦後のGHQによる日本占領は、それほど甘いものではなかった。当時は「日本全体が沖縄」であり、米兵による強盗、殺人や性犯罪は、質量とも現在の沖縄の比ではなかった。ところが、それらは厳重な報道管制とメディアの自主規制で国民には知らされなかったのである。
GHQはさらに謀略によって、日本の進路をコントロールすることまで行っていた。
3月末に放送された『NHKスペシャル未解明事件 下山事件』では、制作チームは、他殺説に立って最後まで捜査を続けた布施博検事が保管していた膨大な捜査資料や、東京神奈川CIC(米陸軍対敵諜報部隊)の日系2世工作員アーサー・フジナミが最晩年に娘に口述した、下山総裁暗殺に触れる記録を入手した。そこから、アメリカが要求する国鉄の10万人解雇に抵抗姿勢を見せた下山をアメリカが殺害した構図、そして日米支配層が反共で連携するという今日まで続く両国関係の源流が浮かび上がる。この番組は4年がかりの調査・解析で、制作者自らが「シリーズ史上最も真相に肉薄した」と自負し、第61回ギャラクシー賞の力作となった。
日本人がもつ連合軍による日本占領のイメージは、実際よりもはるかに肯定的につくられ我々を「洗脳」してきたことを忘れてはならない。