うちの玄関先に咲いた食用菊「もってのほか」を摘んだ。
花が小さく、白っぽい(本来はもっと紫がかっている)が、味はOKだ。
今年2度目の摘花で、母親に持っていくとよろこばれた。うちでは、ちょっと酢を入れてゆがき、春菊かほうれん草と一緒におひたしにして食べる。秋に欠かせない山形のソウルフードだ。
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きょう、ここ1週間の録画しておいた中国関連の報道に目を通した。目を引いたニュースが二つ。
一つは、20年近く中国中央テレビで社会問題や当局の対応を鋭く批判する番組を多く制作してきた王志安さんが、言論統制が激しくなって中国を離れ、現在日本からyoutubeで発信していること。日本が中国の自由を求める運動の基地の一つになっていることに気づかされた。
王さんは、きのう書いた胡錦涛の途中退席問題では、体調問題が理由という見立てだ。
「海外のメディアでは『習主席が胡錦涛氏に恥をかかせようとした』という見方もあるようですが、共産党の権力闘争は陰で行われるもので、外部に対しては団結しているイメージを見せたがるのです」。
その論理もよくわかる。
王さんによると、次世代の幹部の登用が見られないまま、習主席と路線が違う共青団人脈が全滅したことは、習近平が次期もトップをやるつもりであることを意味し、10年間は権力を握り続けるだろうという。
習近平は記者会見でメディアに「中国共産党の物語を“客観的に”世界に伝えてください」と異例な要望をした。昨日紹介した竹内亮氏のケースを彷彿とさせる。王さんは言う。
「そうして社会が“安定”したとしても、私たちが求めるゴールではなく、将来、メディアの空間はますます狭くなり、市民の表現の自由が犠牲にされるのです」。
今回、ナンバー2の李克強首相は中央委員にも入らず、ナンバー4の汪洋と胡春華副首相は政治局入りがならず降格となった。胡錦涛=共青団を権力基盤とする有力者がみな排除された形だ。たしかに“全滅”だが、ここまで熾烈な権力闘争であれば、胡錦涛氏の強制退場が何らかの政治的なメッセージだった可能性もあるように思うが。
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もう一つのニュースは、中国で6年の刑期を終えて帰国した日本人の話。
日中青年交流協会の鈴木英司さんは2016年、訪問先の北京で帰国のため空港に行ったところ、突然当局に拘束された。「スパイ活動に関わった」という容疑だった。裁判では懲役6年などの判決を受け、今月11月に刑期を終えて出所したばかりだ。
逮捕自体がまったくの事実無根で、裁判もでたらめだったと鈴木さんは訴えている。鈴木さんは日中交流をする団体で活動しており、スパイなどする動機もないだろう。
鈴木さんは同じ刑務所で、2015年に北京で拘束され、懲役12年の判決を言い渡された日本人男性と知り合った。房は1階と3階で別々だったが、運動の時間などに会って、いつ出られるだろうかと言葉を交わしていた。その彼は、服役中に体調を崩して今年2月に死亡したという。鈴木さんは悔しさを露わにしたが、実はまったくの濡れ衣で逮捕・起訴され、異国の過酷な刑務所に長い人生の時間を費やす日本人は相当数いる。
次は一昨年、20年7月3日付の朝日新聞の記事である。日本のマスコミがこの問題を取り上げるのは珍しかったので、切り抜いて壁にピンで留めていた。
《スパイ罪の邦人 刑期終え帰国へ
中国各地で2015年以降にスパイ罪などに問われて有罪判決を受ける日本人が相次いでいる事件で、中朝国境の遼寧省丹東市で拘束された神奈川県の50代男性が近く、懲役の刑期を終えて出所する見通しになっていることが日本政府関係者への取材でわかった。出所後すぐに帰国する見込みだといい、一連の事件で有罪とされた中で初の帰国者になるとみられる。
男性は15年5月に拘束され、詳しい容疑などは明らかにされないまま翌年にスパイ罪などで起訴された。18年7月に同市の中級人民法院(地裁に相当)で懲役5年の判決を受けた。
男性の関係者によると、男性は在日朝鮮人の父と日本人の母と一緒に北朝鮮に渡り、後に脱北して日本に戻って日本国籍を取得していたという。
中国で15年以降にスパイなどの容疑で拘束された日本人は少なくとも15人に上り、うち9人が懲役の実刑判決を受けている。(平井良和)》
この男性の場合は、1959年以降のいわゆる「帰還運動」で北朝鮮に渡り、のちに脱北したというちょっと特殊なケースだが、理不尽にも日本国籍者の身体の自由が奪われたことには違いない。
証拠もなく拘束され、まともな裁判もなしに長期に劣悪な環境の刑務所に多くの日本人が入れられている。私はこれは大問題だと思うのだが、みなさんはどうですか?
日本人に対するこの酷い人権侵害をマスコミはもっと大きく取り上げてほしい。