ふざけんな!この10年のウミを出せ

 昨夜、夕食を食べながら、女優の田中美佐子の「ファミリーヒストリー」(NHK)を観ていた。この番組、めったに観ないのだが、たまたまテレビをつけていて最後まで観た。エンドロールには、ディレクター、金本麻理子とあった。こういう番組もやっているんだな。

 金本さんといえば、このブログで「テレビの報道ドキュメンタリーとしては、ここ数年では最高傑作だと思った」と書いたNHK BS1スペシャルの「レバノンからのSOS~コロナ禍 追いつめられるシリア難民~」を一人で撮影・編集したディレクターだ。

takase.hatenablog.jp

 ギャラクシー賞月間賞受賞、第75回文化庁芸術祭 テレビ・ドキュメンタリー部門優秀賞受賞、放送人グランプリ2021大賞など数々の賞に輝いたこの番組が、今週再放送される。 

 関心ある方はぜひご覧ください。金本さんのインタビューもあります。
 12月25日(土)前1:00〜3:00(金曜深夜)NHKBS1 
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 19日のTBS「サンデーモーニングでいくつか「なるほど」と思ったコメントがあった。

 「1週間の振り返り」の14日。

 日米台の議員などが参加し、インド太平洋地域に関するオンラインのシンポジウムがおこなわれた。安倍元首相が中国を念頭に「圧力に屈しない」とし、さらに日米など志を同じくする国々は台湾が関係する国際機関に参加することができるようにすべきだと語った。中国政府は、「身勝手な台湾独立勢力を支持するのは間違っている」と反発した。

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シンポジウムで発言する安倍元首相(TBS)

 これに田中優子さん(前法政大総長)が以下のコメント。

 《私は台湾の成立事情からみて、中国がいつまでも台湾は中国の一部だと言い続けるのは無理があるだろうとは思っています。しかし、「台湾有事」という言葉が出てくるように、これは非常に大きな火種になる。つまり、中国とアメリカの戦争を誘い出してしまうようなテーマでもあるわけです。

 ですから、ほんとうにもっと慎重に、裏の方から、徐々に、っていうんでしょうか、少しづつ少しづつ進めていかなければならない問題だと思うんです。

 これ(安倍氏の発言)は、あまりにもあからさまで危険な気がします。私が心配するのは、沖縄なんです。沖縄県というのは、ほんとに台湾から近いところまでいろいろな島が続いているわけで、そこが戦場になるということを想像しただけで非常に懸念しますし恐ろしいことだと思います。》

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田中優子さん(サンデーモーニング

 私も「一つの中国」は無理で、台湾は独立した国家と認められ、国際機関にも正式に迎えられるべきだと思う。しかし、いったん国際常識になってしまった「一つの中国」原則をどう変えていったらいいのか。実際の外交では「慎重に、裏の方から、徐々に」進めよ、に賛成する。

 それにしても、田中優子さんが、台湾は中国の一部ではないと言ったことには、時代の流れを感じた。

 

 次に15日。国交省建設工事の建設受注統計の書き換えが発覚した。

 これに田中秀征さん福山大学客員教授)がコメント。

 《ぼくは25年前、経済統計を統括するような立場にいた。そのころは日本の統計数字に対して大変な誇りを感じていました。正確さ、公正さ。日本国内だけじゃなくて外国からも日本の統計数字というのは、一目も二目もおかれていたんです。

 こういうこと(統計書き換え)が起きるようになったのは、この10年ですね。3,4年前に「勤務統計」という不正事件がありましたね。2年ぐらいしたら、今回のこの書き換え事件なわけですよ。日本が出す数字に対して、信用されないというのが一番恐れることで、他国について文句言えなくなるんですね。・・・

 残念でしょうがないですね。ゆるみが出てるとしか言いようがないですよ。》

 

 GDP算出にも使用される国の基幹統計を書き換えるとは尋常な話ではない。8年前から二重計上して水増ししていたという。全国を巻き込んだ大掛かりな書き換えは、いったい何のためなのか、誰が指示したのか、徹底して解明すべきだ。

 政府機関のこうした根本からの「ゆるみ」、というかモラル崩壊は、「この10年」、つまり安倍内閣で現れてきたように私も思う。文書を隠ぺい、改ざん、廃棄するなど、最低限の常識や倫理の基盤がないがしろにされてきた、まさに亡国の内閣だった。

 さらに、経済界でも、日本を代表する企業で次々に大がかりなごまかし(不正会計の東芝、データ不正の三菱自動車神戸製鋼所、完成検査不正の日産自動車SUBARUなどなど)が発覚し、日本がまるで別の国になったかのようだ。

 この10年の日本の底知れぬモラル崩壊を象徴するのが森友文書改ざん問題だ。

 財務省の公文書改ざんを命じられて自殺した近畿財務局の元職員、赤木俊夫さんの妻が国などに賠償を求めていた裁判で、15日、突如、国側が請求を認めた。

 赤木さんがうつ病を患って自殺し、妻の雅子さんが国と当時の佐川宣寿理財局長に合わせて1億1200万円余りの賠償を求めて提訴していた。これを国は全面的に認めて裁判を終わらせたのだ。

 赤木雅子さん「ふざけんなと思いました。国は誰のためにあるのか。夫は国に殺され、きょうも打ちのめされました。お金払えば済む問題ではない」

 

 「朝日川柳」より
 また改竄またあの人の在任中 (福岡県 伊佐孝夫)16日選

 金積んで負けるが勝ちとほくそ笑み 兵庫県 尾末幸子)
 あの人を守る一億安いもの (埼玉県 高柳茂)以上17日選

 卑怯者金と力はありにけり大阪府 小山安松)18日選


 私も政府に言いたい。ふざけんな!

 政府はここまでして何を隠したいのか、誰をかばいたいのか。はっきりするまでしつこく追求しよう。