貢いだ末すてられた女の気分である息子の独立めでたいけれど
前世はリスかハムスターらしいと言う物が捨てられず溜めこむ友は
「朝日歌壇」の常連、上田結香さんの二首が入選していた。いつも、この人の短歌にはなごまされる。
はじめの短歌は本人の感懐だろうか。
春分は旅立ち、別れの季節でもある。
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山形県で新型コロナの感染が急拡大している。21日は感染者数が31人で、過去最多。全国ニュースにもなった。
きのう22日、山形県と山形市は、共同で独自の緊急事態宣言を出した。
これは宮城県での感染爆発の余波だろう。
宮城県は感染が落ち着いてきたとみて、先月23日、県内の飲食店で使える「Go Toイート」のプレミアム付き食事券の販売を再開。すると、今月に入って感染者数が急増した。17日には初めて三桁の107人の感染が確認され、翌18日、宮城県と仙台市は独自の緊急事態宣言を出していた。
ここ1週間の人口当たりの新規感染者の数は、沖縄、東京を抜き、全国で突出して多い。
「経済」刺激策のGo Toを早々に再開した結果が出ているのではないか。ここは教訓にすべきだろう。
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欧州連合(EU)がウイグルでの人権侵を理由に中国に制裁を科した。
具体的には中国共産党の地元幹部ら4人とウイグル族の「収容施設」を管理する公安当局の組織が対象。制裁は象徴的なものではあるが、これまで陽が当たらなかったウイグル問題でEUが行動を起こしたことを評価したい。
米政府も歩調を合わせ、EUが制裁を科した個人2人を自らの制裁対象に加えた。中国は即座に対抗措置を打ち出した。
EUはこれまでも、サイバー攻撃に関わった中国籍の個人や企業に制裁を科したことはあるが、《中国政府や当局者の対応を問題視しての制裁は、EUの前身のEC(欧州共同体)が天安門事件後に武器禁輸措置をとって以来だ。EUは昨年末、中国と投資協定の締結で基本合意したものの、人権問題より経済優先だとの批判が内部から出ていた》(朝日新聞)。
「経済優先だとの批判が内部から出ていた」というのは、市民がそれでいいのかと当局を突き上げているわけで、各国の外交にもいわゆる「民度」が出るものだ。
ひるがえって、わが国はどうなのか。メディアも対岸の火事と見ているようすだが。
独自の立ち位置を標榜していた対ミャンマー外交はどうなってる?
NLD側に立つチョーモートゥン国連大使は、クーデター体制を承認しないでほしいと要請している。つまり、国交を断絶してほしいということだ。
日本政府はこれにどう対応するのか。
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近年、嫌韓ムードが急拡大している。
先日紹介した澤田克己『反日韓国という幻想~誤解だらけの日韓関係』もこの問題を扱っている。
これは私も実感している。近所の常識をわきまえた感じの初老の男性から、激しい韓国憎しの発言を聞いて意外に思ったことがある。また、何年も会っていなかった古い知り合いと飲んだら、いきなり「朝鮮半島の人間は・・」と非難し始めて、昔はこんなことを言う人ではなかったのに、と驚いた経験もある。韓国政権の政策を批判するのではなく、もともとダメなやつらだというニュアンスで、ヘイトスピーチの範疇に入る。
ネットの世界では以前から嫌韓ネトウヨが跋扈していたが、ごく普通の人にも広がるこの嫌韓ムードを不思議に思っていた。
以下、澤田氏の著作より;
2017年、朝鮮学校への補助金交付を求める声明などを各地の弁護士会などが出した後、弁護士らに対して、前年の40倍となる13万件という異常な数の懲戒請求が申し立てられた。申し立てたのは1000人で、在日コリアンへのヘイト書き込みを繰り返すブログにあおられての行動だった。
NHKがそのうち470人を調べると、平均年齢55歳、6割が男性、公務員、医師、会社経営者など幅広い層にわたっていたことが判明した。(ヘイトスピーチを行うのは、主に低所得の若年層と思っていた筆者には興味深い結果だ)
その中のある人は、
自分なりの正義感と日本のためによいことをしているという高揚感があった。65歳をすぎて友人や仕事仲間、取引先など一切なくなってしまい、社会に参加していない、疎外されているようなところがあった。嫌韓的なブログに従う行動をとることで社会とつながっているという自己承認を新たにしたような意識で一線を超えたのではないかと語ったという。
定年後の人たちの心象として、分からなくはないが、残念だ。心の向きをちょっと変えれば、社会のためになる活動にもエネルギーを費やすことができそうだが。
いま、日韓関係は戦後最悪と言われる。
日本政府による「外交に関する世論調査」によると、2019年は韓国に親しみを感じる人は26.7%で1978年に同じ質問を始めて以来最低。1987年の民主化以前、つまり軍事政権時代でも4割程度が普通だったので、底割れした感がある。
樋口直人徳島大准教授が、各国に対する感情温度を0(嫌い)から100(好き)で示してもらったところ、米国51.4、韓国28.2、中国27.1という結果だった。(2019年)
韓国、中国ともに好感度が急降下して、韓国、中国が嫌いという人が増えているが、澤田氏によると、嫌韓と嫌中の中味をみていくと大きな違いがあるという。
(つづく)