ミャンマーに世界史の大きな流れをみる

 おととい、広島で桜(ソメイヨシノ)の開花宣言気象庁が観測を始めた1953年以降、県内では最も早く、全国でも歴代2番目だという。

 きのう、多摩自転車道をサイクリングしていたら、満開の桜が咲いていた。木の幹に「河津桜」(カワヅザクラ)と書かれた札がさがっている。これは、他の桜より早く、濃い色の花を咲かせる。散歩の人たちがさかんにスマホで撮っていた。

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カワヅザクラ(多摩自転車道にて)

 しばらく行くとボケの花を2回見かけた。

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 きょうは一転、朝から風雨だった。

 夕方、小ぶりになったので生協に買い物に行く。レジを済ませると誰かが「虹が出てる」と声をあげた。みな窓際に寄ってきて、「虹なんて久しぶり」などと言いながら並んで空を眺めた。

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 ふり返って反対側、西の空を見ると夕焼けだ。明日は晴れだろう。

 自然が見せる色は、どれをとっても不思議な気持ちにさせられる。
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 ミャンマーでは連日、軍政側の弾圧により犠牲者が出ているが、抗議行動が収まる気配はない。

 人びとの間ではCDM=Civil Disobedience Movement(市民不服従運動)という言葉が知られるようになってきたという。職場放棄など、非暴力のさまざまな手段で法律や命令に違反する行為だ。

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CDMの文字がプラカードに書かれている(NHK国際報道より)

 職業別のデモ隊に見られるように、職場ごと仕事をサボダージュすることもよくある。

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鉄道で働く人々が線路に横たわって列車を止めている

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医療関係の人々もCDMに加わる

 実際は、運動を続けることにはさまざまな苦労があることを先日のテレビニュースが伝えていた。

 電力・エネルギー省のエンジニアの女性の自宅にカメラが入る。
 多くの同僚が職場放棄しているが、仲間から電話で、幹部が出勤を迫っているとの情報。しかし彼女は運動をやめるつもりはない。給料は手渡しなのだが、職場には行かないことにした。

 ただ、彼女の収入で家族を支えているので、無収入はつらい。外国に住むミャンマー人から支援金が送られてきたが、銀行行員の職場放棄でATMに紙幣が供給されずお金を降ろせない。

 同居する母親は病気をもっているのだが、医療関係者が職場放棄していて、診察してもらえない。
 CDMで市民生活にもさまざまな影響が出、また人それぞれに抱える事情があって、悩みながら運動を続けていることを知った。

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 この人が電力エネルギ―省のエンジニアの女性、つまり公務員だ。

「国民が選んだ政府のもとで働きたいのでデモに参加しているのです。軍事独裁政権を倒すためにはここで止めるわけにはいきません。職場の幹部がCDMに参加している職員に圧力で戻るように脅していることが心配です。今後どうなるか分かりません。失業や最悪の場合、逮捕されるしかありません。」と語る。

 あのおとなしいミャンマーの人たちが、実弾が飛んでくるなか街頭に出、また経済的に追い詰められながら声を上げ続けている。その勇気を称えたい。
 男も伝統のスカート、ロンジーを履き、英語のプラカードを掲げて、世界に連帯を求めている。ここにこそグローバル化を感じる。
 世界史を大きなスケールでみると、民衆の能動性は確実に大きくなっている。ミャンマーの闘う人々の姿に励まされる。