弾圧化の香港から黎智英氏の訴え

 きょう12日午後9時半までに、新型コロナウイルスへの感染確認の発表は全国で3041人と、1日の発表としては初めて3000人を超え、過去最多となった。東京も621人と過去最高を更新した。

 旭川、大阪に自衛隊看護官が急派されるなど、医療崩壊も始まっている。

  菅さん、政府の無策にはみな呆れていますよ。

  分科会がGo To 中止などの何らかの措置をと求めるのに行政が反応しないので、こんどは新たな指標の分類法を作ったとのニュース。「決断」を促すためだそうだ。まるでコメディを観ているみたい。

 

 東京新聞「<新型コロナ>「勝負の3週間は誰が見ても負け」 分科会、「ステージ3」を苦肉の3分割して知事らの決断促すが…」との見出しの記事― 

《政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は11日、新たな感染拡大防止のための提言をしたが、経済失速を避けたい政府の反応は鈍い。感染拡大を抑える「勝負の3週間」の終盤に入っても、収束に向かう兆しはない。分科会は新規感染者数が高止まりの状況にあることに危機感を強める。 

 提言は、病床逼迫度など6指標に基づく感染の「ステージ3」(深刻度が上から2番目)を、さらに新規感染者数などで「減少」「高止まり」「拡大継続」に3分割し、都道府県が取るべき対応を示している。

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 「感染拡大地域」の印象付けにもつながるため、現在、「ステージ3」と宣言している都道府県はない。3分割という新しい考え方を示すことで、印象を和らげるほか、知事の決断を促す狙いがあるようだ。

 「宣言で都道府県知事は大きな責任を担わされる。経済活動を抑制する必要があるから。感染拡大防止に早く手を打てるよう、宣言しやすくする必要がある」と分科会メンバーの1人は説明した。その上で、政府のリーダーシップを求める。提言には政府に対し、「(都道府県がどの分類か)意思決定できるよう後押しを」と明記された。

 分科会は、人の移動の抑制を強く求めており、「高止まり」「拡大継続」地域で「Go To トラベル」の一時停止を求めるようあらためて求めた。分科会メンバーの東京都立駒込病院の今村顕史医師は「GoToを止めてもすごく効くわけではないが、少なくとも(人の移動を促す)ブースター効果はかけないでほしい」と言う。

 「トラベル」停止は、「行動制限」の呼びかけにつながる。人の移動や外出、会食などが減り、人の接触の減少につながれば感染が減る可能性が高い。半面、トラベル停止の影響は多方面に波及することが想定され、政府や都道府県知事が停止を言い出しにくい。

 それでも、分科会メンバーの小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹は「数週間、大きなダメージがあると思うが、今、頑張って感染者を抑えることが、長期的には経済活動を活発にする。やらざるを得ない」と話した。(以下略)》

 

 まずビシっと抑えてから「経済」、というやり方が「経済」にとってもよいのは誰が見ても明らかなのに、菅首相、Go Toはやめないと再三表明。

 それどころか、Go Toにプラスして一泊5千円あげるから対馬屋久島、五島列島など離島にもっと旅行してくれと特別支援策を新設するという。

 《主要産業の観光業が新型コロナウイルス禍で打撃を受けている長崎県対馬など、国が「特定有人国境離島地域」に指定している15地域・71島を目的地とした旅行商品について、政府が一人一泊5千円の支援策を検討していることが7日、分かった。令和2年度第3次補正予算案に盛り込む。15地域への支援には、観光業を後押しすることで離島の無人化を防ぎ、領土保全を強化する意味合いもある。》(産経新聞

  医療体制がはるかに脆弱な離島に、このご時世、ツーリストをどんどん送り込むというのだ。島に人が住めないようにしたいのだろうか?

 いやはや。川柳で笑うしかない。

 「国民の命と暮らし」と棒読みし(愛知県 朝倉義博)

 勝負とやらを国民にさせ見物し大阪府 村松則康)12日の朝日川柳より

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メルケル首相は感染拡大を阻止しなければと、こぶしを振り回して訴えている。それに引き換え、わが国の首相は・・

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 香港の自由弾圧がさらに激しさを増していることについては、毎日でも書かざるをえない。
 議員が8人と学生たち8人が逮捕されたニュース。

 《香港警察は8日、民主党の胡志偉前主席ら民主派8人を、無許可のデモに参加し他人を扇動した疑いで逮捕した。先週には民主派元学生リーダーの黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らに対して同様の罪で実刑判決が出ており、無許可デモに参加した民主派への当局の厳しい対応が続いている。 

 香港メディアなどによると、同日朝に逮捕されたのは胡氏のほか、民主派政党・社民連の梁国雄副主席や区議会議員ら計8人。警察の発表によると、6月30日に当局が許可していないデモに参加するよう他人を扇動し、7月1日のデモを組織し、参加した疑い。同日のデモは香港返還の記念式典にあわせて毎年開かれている。 

 また香港警察などによると、警察の国家安全チームは7日、香港中文大学の構内で先月実施された無許可のデモに参加したとして、卒業生の区議会議員や学生ら8人を逮捕した。うち3人は香港独立などのスローガンを唱えたとして、香港国家安全維持法違反に問われているという。》(朝日新聞

  中文大学でのデモはごく平和的なもので、逮捕理由は叫んだスローガンだ。言論の自由への乱暴極まる弾圧である。
 BBCによると、《100人弱の学生などが抗議デモを行った。一部の参加者は黒いマントにマスクを着け、黒い風船を持った。参加者は、去年の反政府・民主派デモで使われていたものと似たスローガンを叫んだ》という。

 《国安法で禁止されている「(中国からの)分離をあおった」容疑がかけられており、有罪となれば終身刑となる可能性もある》

  ここまでくると、次は言葉に表現する前、つまりアタマの中をさぐって「誤った思想」を駆逐する段階に進むのは必然。寒気がする。

 報道の自由表現の自由への弾圧も強まる。

 《中国批判で知られる香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)創業者の黎智英(れいちえい、ジミー・ライ)氏(73)が、国家安全維持法(国安法)違反(外国勢力との結託)の罪に問われた事件で、香港の裁判所は12日、初公判を開いた。起訴状によると、黎氏は今年7~12月、香港や中国に敵対して制裁を加えるよう外国勢力に求めたとされる。黎氏は保釈を申請したが、再犯の恐れがあるなどとして却下された。次回公判は4月16日に行われる。》(読売新聞)

 国安法違反での起訴は黎氏が4人目で、外国勢力と結託した罪に問われるのは初めて。

 黎氏は2日、明らかにでっち上げの詐欺罪で起訴され、保釈を認められずに3日に収監されていた。香港メディアは、黎氏が今後中国本土に移送され、裁判にかけられる可能性を指摘している。

  黎智英氏の逮捕前のインタビューがTBS「報道特集」のツイッターで見られる。

https://twitter.com/tbs_houtoku/status/1337702177452609537

 

 黎氏はインタビューでこう言っている。

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TBS報道特集より

 「外国メディアとのインタビューは危険だが、もし私が後に引けば、私を見ている香港の人々も後に引かなければならなくなる。

 声が出せる限り、香港の苦境に世界の注目を集められるかぎり、私はそうしなければならない。私にはそうする義務があるし、香港は私の祖国なので、私にとっては避けられない使命なのです。

 我々は香港を守らなければなりません」 

 強い使命感をもっている人だ。

 ただ、国安法違反で起訴されると、原則、保釈は認められないとされるので、黎氏の拘束は長期にわたることになろう。

 

 新聞だけでなく、テレビにも圧力が強まっている。

 従業員1300人の「香港有線テレビ」で、約100人の解雇が発表された。会社は「経営難によるリストラ」と説明するが、実際は体制に批判的な記者たちの追い出しと見られている。
 解雇の対象になったのは、「新聞刺針」という報道番組のスタッフだった。この番組は、選挙での親中国候補者の票の買収や中国による教科書の書き換え(例えば、「香港は中国の南方に位置する」を「香港は華南沿岸に位置する」に変更)などをスクープするなど高く評価され、多くの賞を受賞していたという。

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数多くの賞を受賞した評判の番組だったという

 会社は解雇の合理的な理由を説明できず、これに抗議して他の報道部員が辞表を提出し、多くの有能なスタッフが会社を去ることになったという。 

 実は、この直前、「有線テレビ」では、経営幹部の入れ替えがあり、親中派と思われる人物が人事の大きな権限を持つようになったといわれる。この解雇事件も中国によるメディア支配の一環と見られている。

 

 香港ではこれまで1万人以上が逮捕され、うち18歳以下が1600人を超す。うち起訴された人は2000人超

 香港の人口規模はおよそ750万人。人口17倍の日本に置き換えると、17万人以上が逮捕、3万4千人超が起訴されたことになる。いかにすさまじい弾圧か、少しは想像できるだろう。 

 黎氏は先ほどのインタビューの最後に世界の人々に向けてこう訴えた。

 「奇跡を信じれば希望は常にある。
 我々が闘い続けるのは、勝つと思うからではなく、人間としての誠実さと自尊心を維持することが我々にとって非常に大事だからです。

 どうか香港の人々のために祈ってください。

 我々にはあなたがたの声や関心が必要だし、世界に関心をもってもらうことが必要です」