アメリカ大統領選が大変な接戦で気が休まらない。
投票率は66.9%の記録的な高さだという。アメリカではまず選挙人登録をしなければ投票できず、場所によっては投票所が少なく何時間も並ばないといけないなど、投票へのハードルがあることを考えると、いかに関心が高いかが分かる。
私は今の国際情勢においては、アメリカの決定的凋落は非常に危険だと思うので、トランプにはぜひ退場してもらいたい。
事前予想ではバイデンが余裕で勝てそうだったのに、フロリダ州がトランプに落ちたとの速報はショックだった。いまバイデンが盛り返しているが、このあと波乱があるかもしれない。何をやるか分からないからな、トランプは。
選挙戦のなかではトランプの非道ぶりがむき出しになっている。
テキサス州の高速道路で30日、トランプ支持者の車数十台が、バイデン陣営のキャンペーンバスをとり囲んで威嚇し、バイデン陣営が「安全上の懸念」を理由に3つのイベントを中止する事件があった。FBIも捜査に乗り出したのだが、トランプは、バスをとり囲む動画をシェアして「I LOVE TEXAS!」とツイ―トし、危険な行為を煽っている。
投票日翌日の4日午前2時半(日本時間午後4時半)ごろ、まだ優劣がはっきりしない段階でトランプは一方的に勝利を宣言した。
《米メディアは一斉に批判。CNNアンカーのジョン・キング氏は「ここは米国だ。ベラルーシではない。大統領が当選者を決めるのではない」と批判した。》(朝日新聞)
さらにトランプは票の集計に不正があるとの根拠のない陰謀論を振りまき、不利な州では票の数え直しや開票作業の中止を求めて法廷闘争に持ち込むという。常軌を逸している。
ワシントン・ポスト紙は「トランプ氏の誤った勝利宣言や、票の集計中止を求めることで選挙を破壊する試みは、国家の安定への最も深刻な威嚇」と非難。日本から見て、こういう駄々っ子のようなアブナイ人物が半数近い票を集めているのが不思議でならない。
ニュースによると、いくつかの開票所に、銃を持ったトランプ支持者が押しかけているという。これが民主主義の先進国なのか・・。
ただ、トランプの勝利宣言をYoutubeで確認すると、トランプが「我々は勝った」と断言したあとに登場したペンス副大統領が「票の集計が続く間、注視し続けよう。投票の権利は建国以来、民主主義の根幹だ。公正さを守っていく」と語っていて、最低限の良識を示したように思う。
一方、バイデンは5日に行った演説でこう語っている。
《この選挙が終わったら、選挙運動の激しい言い合いは後ろにおこう。熱を冷まそう。もう一度互いを見て、相手に耳を澄まそう。互いに尊敬しいたわり合おう。団結しよう。国としてまとまろう。
簡単なことではないのは分かっている。甘い見方はしていない。誰もが甘くは考えていないだろう。たくさんの問題で、いかに深く激しく意見が対立しているか、分かっている。
しかし、次のことも分かっている。
前に進むためには、相手を敵として扱うのをやめなければならないことを。》
トランプのせいでひどく分断されたアメリカでは、次期大統領は「癒す人」であることが求められる。バイデンに勝ってもらうしかない。
選挙選で見せつけられたのは、アメリカという国のおどろくべき多彩な顔である。
アメリカでは、堕胎禁止などを主張するキリスト教福音派が人口の25%をを占めており、いまだに進化論を学校で教えない地域さえある。こういう人たちがトランプの岩盤支持層になっている。と思うと、議会選挙では日本なら考えられない人たちが当選している。
ニューヨーク州では民主党から、リッチー・トーレス氏とマンデア・ジョーンズ氏が、黒人の同性愛者として初めて連邦下院議員に当選。デラウェア州では、サラ・マクブライド氏(30)が初のトランスジェンダー女性として上院に当選を果たした。マクブライド氏はLGBTQ(性的マイノリティー)の権利団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の広報主任を務めている。
アメリカという国には、次々に新しいものを生み出す先進性と、とんでもない保守性とが同居している。
それにしても、はやくバイデン勝利で決着してくれないかな。