基地の島感染症にも地位協定

 1週間ほど前、雨の晴れ間をぬって、玉川上水そばで変形菌(粘菌)の観察会が行われた。
 コロナ禍のなか人数を絞り、マスクをつけての開催となったが、少ない人数の割にたくさんの種類が見つかった。

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這いつくばって枯葉や朽木のうらを探す。

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バス通りの切り株にも粘菌がいた

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枯葉の裏に

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朽木の溝にも

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2時間で13種類も見つかりました

 日本は研究レベルも愛好者の数も断トツの世界一だという。なにせ粘菌研究では日本は南方熊楠先生以来の伝統がある。
 いま『風の谷のナウシカ』全7巻を再読しているが、第5巻に巨大な粘菌が四方から押し寄せて1個に合体するシーンが出てくる。ここは世界の浄化にかかわる大事なところで、宮崎駿さんが粘菌を登場させたのは日本人らしいなと思った。

 変形菌(粘菌)はいまちょっとしたブームになっているとのことで、この日は変形菌女子(菌女というらしい)も参加して熱心に探し回った。ある「菌女」によれば、変形菌を飼っているが、変態したり消えたりビジュアルになったりと奥が深いそうだ。
 私は映像制作のお手伝いでカメラマンとして撮影に行ったのだが、変形菌のついた枯れ葉を一枚お土産にいただいた。
 講師の一人、高野丈さんが、8月7日のBSプレミアム「ニッポン鉄道ぶらり旅」で井の頭公園の変形菌を語るそうだ。関心のある方はご覧ください。
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 日々、とんでもない政府の下で暮らしているのだなと思わされる。
 コロナ収束していないのに前倒ししたGoToキャンペーン。それをあざ笑うかのように感染者数はどんどん増え続けている。

 きょう18日は空港の検疫も含め655人の感染。1日の感染者数が600人を超えたのは今月16日以来で、緊急事態宣言の解除後、最も多くなった。4月11日の720人に次いで2番目に多い。
 この状態でもやるというのか、東京だけはずして?
 「正直、多少の感染者が出ることは想定内」と国交省幹部。
 感染をどう抑え込んで経済と両立させるか、肝心なことについては無策で、「警戒が必要です」だけ。安倍首相は会見もせずにサッサと帰るのみ。

GoToへ待った待ったの幟旗(のぼりばた) (埼玉県 渡辺 梢)

感染は仕方ないよと国交省 (埼玉県 椎橋重雄)

幇間(ほうかん)にコロナを任せポチ小屋へ (栃木県 大塚裕)
                    (16日の朝日川柳より)

 

 コロナを抑え込んできた沖縄で、米軍基地が大きなクラスターになっていることが分かったが、有効な対策が取られていない。
 米軍が情報を出し渋っているうちに感染者は141人となった。米兵と接触した日本人にも感染が広がり、生活への影響も出始めた。

 《在沖米軍の新型コロナウイルス感染拡大を受け、沖縄県内の小中学校で、米軍人や軍属、日本人基地従業員の子ども少なくとも約110人が学校を休んでいる。軍と関係のない家庭でも、感染への不安から自発的に休ませるケースが出ている。》(朝日新聞16日)

 海外からの人は空港で検査が義務付けられているうえ、アメリカは世界一の感染国で米国人は入国禁止なのだが、日米地位協定(米軍の構成員は「旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」)によって、米兵は旅券もいらず検疫もなしでフリーパス。アメリカその他各国からPCR検査もなしでキャンプハンセンと嘉手納基地に入っていた。
 さらに沖縄海兵隊は6月17日から外出の緩和措置をとり、7月4日の独立記念日には基地の中でバーベキューパーティをしただけでなく、うるま市基地外の公園などで日本人も含む数百人規模の無許可の大パーティもやっていた。玉城知事は「米軍の感染対策に強い疑念を抱かざるをえない」と強く批判している。

 沖縄県が実情と対策の詳細を求めても、感染者の性別、年齢、行動履歴も米軍は明らかにしない。調査のために基地に立ち入りすることもできない。
 沖縄県議会は、満場一致で米軍に情報公開を求める決議をした。しかし、これは沖縄県に任せる話ではないだろう。

基地の島感染症にも地位協定 (沖縄県 世良則子)

水際を米軍するりと通り抜け (東京都 三神玲子)
              (15日の朝日川柳より)

 実は韓国では米軍がまったく違った対応をしている。入国時にしっかりPCR検査をやって、結果の情報を開示しているのだ。
 たとえば16日の在韓米軍のHPの見出しは「米軍関係者14人が新型コロナに感染」。どういう身分のものがいつどのように入国したか、症状はどうか、などの情報を開示している。訳してみると―

「米兵12人及びその家族2人が、7月9日ー15日に韓国に到着したあと、新型コロナウイルスに陽性と判明した。9人の米兵と家族2人は、7月11日ー15日に、米国のチャーター便で米国から烏山(オサン)空軍基地に到着した。3人の米兵は7月9日ー13日に、民間航空便で仁川空港に到着した。
 うち9人が無症状であり、5人が頭痛、鼻水などごく軽い症状がある。全員が検疫前に検査を受け、そこからハンフリーキャンプまたは烏山空軍基地の新型コロナ感染者用の隔離施設に移動させられている。」

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 韓国と日本で、どうしてこんなに扱いが違うのか。
 日本政府は唯々諾々と米軍に従うだけなので、甘く見られているのだろう。こういう緊急事態のときにいろんな問題が浮き彫りになるというが、韓国より従属度が強いのが一目瞭然だ。

 日本ではようやく出入国時にPCR検査をやる方向で調整することになったというが・・
 《日米両政府は軍用機やチャーター機で日本に入国する全ての米軍関係者に対し、米国出国時と日本入国時にPCR検査を義務付ける方向で調整に入った。河野太郎防衛相が17日の記者会見で明らかにした。在日米軍基地内での新型コロナウイルス感染拡大を受け、検疫を強化する。ただ、日米地位協定が壁になり、検査結果の全容は公表されない。》(時事17日)
 ここでも地位協定のため検査結果は公表しないという。

 以下はきょうの沖縄タイムスの社説から。
 《県民は5月以降、自粛行動で68日間、感染者を出さずにきた。だがここにきて、米軍関係者に起因する感染が止まらない。日米地位協定によって日本側が検疫を行えず、情報共有もままならない中にあっては、明白な「基地被害」である。
 河野太郎防衛相は17日、在日米軍基地に入国する全ての米軍関係者にPCR検査をするよう米軍側に求めたと発表した。
 感染防止に検査は欠かせないが、それだけでは県民の不安は払拭(ふっしょく)されない。
 米軍基地を提供している国の責任で、基地従業員やタクシー運転手など関係者、その家族にも対象を広げ、検査を早急に実施すべきだ。》

 最低限、国の責任で以上のことはやってほしい。

 GoToキャンペーンで東京除外は不公平だとか言ってる場合じゃない。沖縄だけがこんな危険にさらされるほうがよほど不公平だろう。