コロナ最前線で「淡々と」闘う

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 卯の花(ウツギ)。今年は例年より早めに咲いた。見ていてうれしくなる花である。
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 「1世帯に30万円」撤回につづき、また政府が方針転換。自治体への1兆円を「協力金」に使うことができるようになった。
 《政府は19日、新型コロナウイルスの感染対策で創設する臨時交付金に関し、自治体が休業要請に応じた事業者に支払う協力金や支援金への活用を認めることを決めた。当初、協力金への充当に否定的だったが、全国知事会など地方側の強い要請を受け方針転換した。ただ自治体の支援が加速すれば交付総額の1兆円では不足が見込まれ、増額が今後の課題となりそうだ。》(19日、東京新聞

 しかし、方針転換が徹底されていない。
 10万円の給付についても、麻生太郎財務相は17日の記者会見で「手を上げた方に1人10万円ということになる」と語った。
 一律ではなく、申告しないと出さないというのだ。この期におよんで場違いの上から目線。あなたのお金じゃないんだよ。

手を挙げりゃ呉れてやるよと財務相 (三重県 山本武夫)

「10万」ももとをただせば俺のカネ (埼玉県 鈴木藤夫)朝日川柳より

 

 内閣支持率がもっと低くなれば、さらに国民の声を反映させることができるだろう。内閣不支持は救国の道、か。
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 今のウイルス禍の異常事態は、3.11のときと同じく、マスメディア特にテレビの広報機能に期待がかかる。
 政府や都庁からのさまざまな要請や対策を多くの人はテレビで知る。今のように自宅にいる時間が長い時期はなおさらだ。マス(大衆)に出すメッセージ次第で、多くの命が助かることがある。テレビ業界には、いまが出番とがんばってもらいたい。

 報道番組ではないが、このかん観た番組でお勧めなのが、ここ2週の『情熱大陸』(日曜よる11時、TBS系全国ネット)だ。
 12日は河岡義裕(ウイルス学者)、19日は坂本史衣(感染管理専門家)が登場。タイムリーな人選で視聴率も高かっただろう。

 河岡氏は世界で初めてインフルエンザウイルスの人口合成に成功するなど、第一線で活躍するウイルス学者だ。
 河岡氏の番組では、生きている新型コロナウイルスを扱う研究室で、新型コロナウイルスをモルモットに感染させたり、ウイルスの立体構造を分析したりと、最前線でのリアルタイムの研究の様子が取材されていた。
 いま政府の諮問員会や専門家会議のメンバーでもあり、3か月休みなしだという。お疲れじゃないですかとディレクターが聞くと、「淡々とやってるんであまり疲れないですね、当事者でもあるし」との答え。
 『情熱大陸』であるから、当然ディレクターは彼に「やりがい」を聞く。
 すると、河岡氏「やりがいじゃないですね。やらなければならないことを淡々とやってるだけ。意気込んでやることでもないし」。これぞプロフェッショナル。
 河岡氏は見通しを冷徹に語る。
 「ロックダウンだってありえますよ。日本だけはこれでいいんだと思ったら大間違い。ウイルスは人を選ばないから」

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 また、「治療薬はできるだろうが、ワクチンは数年はできない」。長い闘いになるという。
 危機感はみんな持っているが、それを実行しなくては意味がないとも。これまでの政府の取り組みへの憂慮にも聞こえた。
 以下で観ることができます。

tver.jp

 感染管理専門家の坂本史衣氏は、聖路加国際病院で、院内感染を防ぐ仕組みを作り、安全に目を光らせる。
 3月30日からの短期間の取材だが、こちらも先週に劣らず、まさに最前線。
 「本当はやっちゃいけないんだけど」と言いながらマスクを使いまわす。「働きたくない」との声が看護師から寄せられる。「ICUが埋まるのも時間の問題」と憂慮する医師・・。いま新型コロナ患者を受け入れている病院の抱える問題がカメラの前に赤裸々に出ていて驚かされた。
 坂本氏がやっているのは、地味で根気のいる仕事だが、ギリギリで医療崩壊を食い止める防波堤だ。薄氷を踏む思いでやっているというとおり、取材現場の聖路加国際病院のスタッフ4人が感染している。(ホームページで公開しているhttp://hospital.luke.ac.jp/topinformation/news/20200420.html

 坂本氏が自分の仕事について言ったのが、期せずして先週の河岡氏と同じ「淡々と」だった。
 「淡々と終わるまでやる」だけだという。

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 本物は「淡々と」やるものらしい。激務の中、笑顔が絶えず、とても自然体でふるまっているのが印象的だった。こういう人を見ると、とても頼もしく感じる。
 見逃し配信で観られますので、ぜひどうぞ。

dizm.mbs.jp