支援金支給に差別を持ち込むな

 吉祥寺で、破産申告の準備にかかわる用事があり、自転車で出かけた。
 片道11キロ。いい運動になった。
 昼ごはんにしようと井の頭公園へ。お花見禁止令で、どのベンチも黄色いテープが張られて使用できない。地べたに座って、桜の花びらが降りかかるなか、うちから持参したおにぎりとビールを楽しんだ。

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ベンチには使用禁止の黄色いテープが

 これなら電車を使っていないし、一人だし、野外だし「三密」(密閉、密集、密接)は避けているのでOKでは。
 しかし、ビールを飲んで自転車に乗れば飲酒運転になると友人から指摘された。

 そこで調べてみた。
 道交法65条には「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」とある。
「車両」には自転車(軽車両)も含まれるので、たしかに酒を飲んで自転車を運転してはならないことになる。私は法律に違反していた。すみません!

 ところが、飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の二つがあって、結論から言うと自転車の場合、前者の「酒気帯び運転」ならば罰則がないのだ。
 これら二つの違いはなにか。
 「酒気帯び運転」の判定は、呼気中に一定以上のアルコールにがあるかどうか。罰則としては「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とかなり重い。ただし、道交法の条文に「軽車両を除く」と記してあるので自転車には適用されない。
 一方、「酒酔い運転」はアルコールの数値ではなく、「酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう)」を指すことばで、まっすぐ歩けるか、視覚や聴覚が正常に機能しているか、ろれつが回っているかなどで判断される。ぐでんぐでんに酔っぱらった状態が「酒酔い」だ。
 こちらの方が悪質とされ、罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と「酒気帯び運転」より重い。これは自転車にも適用される。

 要は、お酒を飲んで自転車に乗るのは違法ではあるのだが、ほろ酔い程度なら罰せられないで見逃してもらえるというわけだ。
 ただ、私も高齢者になり、運動神経も低下しているはずだ。自転車に乗るときは、なるべく飲まないようにしよう。
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 テレビ業界で働く旧知の人が、このコロナ禍で給料が出なくなったと電話してきた。
 小さなプロダクションの社員なのだが、先日いきなり、「会社に仕事がこなくなったので給料は払えない」と通告されたという。
 私はその社長には会ったことはないが、彼の立場も分かるので、ただちにこれを責める気にはなれない。ただ、言われた側にとっては、明日からどうする?という緊急事態である。


 零細企業の資金繰りがすぐに行き詰ることはわかっていたが、実際に知り合いが無収入になると知ると、事態が切迫していることをひしひしと感じる。

 政府は「所得が減少した世帯への現金30万円の給付」をぶちあげた。マスクも「世帯」に配るというが、本来は「世帯」単位にではなく、現金補償は個人に配るべきだ。
 また、スピードを重視するなら「所得が減少した世帯」などと条件をつけるべきではない。自己申告制もやめて無条件で配る方式が望ましいと思う。政府のやり方では、書類の受付から審査と、事務作業で公務員が疲弊させられるうえ、支給が遅れてしまう。

 いま仕事を失う危機に立たされているのは、安倍首相の「多様な働き方」推進で、大量に生み出された非正規労働者など、弱い立場の人たちなのは誰でもわかるはずなのに、この場に及んで、政府は弱いものいじめをしているように見える。

 《新型コロナウイルス対策の一斉休校の影響で休職した保護者の支援策として、一定の休業補償を行う厚生労働省の制度は、接待を伴うナイトクラブなどの飲食店や、風俗業の関係者を支給対象外としている。厚労省は「公金を投じるのにふさわしくない業種との判断だ」と説明するが、ツイッター上などでは「命に関わる問題なのに、特定の業種の人にだけ支給しないのは差別ではないか」と批判の声が上がっている。
 この制度は、一斉休校に伴って保育園や小学校、特別支援学校などに通う子どもの世話のために休業した保護者に対し、有給休暇を与えた事業者に1日分8330円を上限に賃金相当額を助成金として支給。また、業務委託を受けて個人で仕事をするフリーランスの保護者に対しても一定の基準を満たせば、休校に伴う休業について1日4100円を支給する。》(毎日新聞

 「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)支給要領」には、たしかに「風俗営業等関係者」には「支給しない」とはっきり書いてある。https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000609600.pdf

 

 いまだに女性の就労に差別があり、賃金水準の男女差があるこの国で、風俗関係に職を求めざるをえない女性がいるのは自然ななりゆきだ。
 母親が風俗関係で働いて、なんとか家計を支えている母子家庭も多い。

 この緊急時に職業差別。弱いものいじめが体質にまでなっているのか。

 差別なく、広く、そしてできるだけ多額の補償を一日も早く実施してもらいたい。