ベランダの甕(かめ)に飼っているメダカが、今年も無事に冬を越した。
暖かい日が続き、そろそろ産卵の時期を迎えたようだ。また稚魚のかわいい姿が見られるかと思うと楽しみである。
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自死した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの遺書・手記が公表され、遺族が国と佐川氏を提訴したが、安倍首相は「胸が痛む」などと言いながら、「麻生大臣のもとで徹底的に調査し明らかにした」として再調査を拒否しつづけている。
きのう、23日午前、遺族(赤木さんの妻)が弁護団を通じてコメントを出した。
そして、きのうの参院予算委員会での安倍首相、麻生財務相の答弁を聞いて耐えられなくなったのだろう、赤木さんの妻は午後、2度目のコメントを公表した。
歴史的なコメントになると思われるので、全文紹介したい。
【23日午前に公表したコメント】
安倍首相は2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。
麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。
この二人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います。
コメントはまず、「私や妻が関与していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言い切った首相答弁こそが、改ざんの原因だったと指摘する。
財務省は「調査」を行い、その報告書が18年6月に出たが、そこには改ざんの目的として首相答弁には触れず、「さらなる質問につながり得る材料を極力少なくすること」だったとし、佐川理財局長が「方向性を決定づけた」とまとめていた。
きのうの参院予算委員会では、改ざんのきっかけについて共産党の小池晃氏が「さらなる質問」とは首相と夫人に関する質問しかありえない、事実、昭恵夫人に関する箇所を5カ所も改ざんしているではないか、と追及。
そのとおりで、国有地売却と首相および夫人との関りを隠すための改ざんだったことは、誰が見ても明白だ。
調査報告書には、
〈平成29年2月17日(金)の衆議院予算委員会における内閣総理大臣の上記答弁以降、本省理財局の総務課長から国有財産審理室長及び近畿財務局の管財部長に対し、総理夫人の名前が入った書類の存否について確認がなされた〉とある。
つまり、この日の首相答弁があった以降、昭恵夫人の名前が入った書類があるかないかの確認作業が始まったと認めている。
最初の作業は2月26日、真っ先に削られているのは、昭恵夫人や安倍首相の名前だった。内部の調査報告書でさえ、改ざんのきっかけが安倍首相の答弁にあると認めているのだ。https://lite-ra.com/2020/03/post-5327_2.html
安倍首相はまた、予算委で、手記に新しい事実が記され、再調査が必要だと何度も問われたが、赤木さんの遺書や手記と報告書は「趣旨として同じ内容で両者に齟齬はない」と再調査要求をつっぱねた。
麻生大臣の墓参のくだりは、赤木さんの妻が、麻生大臣に弔問に来てほしいと財務省の職員に伝えたのに、その後、麻生大臣が「遺族が来てほしくないということだったので伺っていない」と国会で答弁したことを指している。
https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200319-00168661/
きのうの予算委では、麻生財務相は、弔問について「原告と被告が裁判所以外で会うのはなかなか難しい」と述べ、弔問しないのを裁判のせいにした。
この予算委での二人の答弁を受けた、赤木さんの妻の二度目のコメントは以下。
【23日午後に公表したコメント】
今日、安倍首相や麻生大臣の答弁を報道などで聞きました。すごく残念で、悲しく、また、怒りに震えています。夫の遺志が完全にないがしろにされていることが許せません。もし夫が生きていたら、悔しくて泣いていると思います。
調査報告書と遺書も齟齬(そご)がないということですが、齟齬はあると思います。なぜ齟齬がないのか明確にしていただきたいと思います。
再調査をしないとのことですが、何を言われても何度も再調査の実施を訴えたいと思います。財務省の中の人が再調査をしても同じ結論になるので、是非、第三者委員会を立ち上げて欲しいと思います。このままうやむやにされるとすれば、夫の遺志が全く果たされないことになります。
弔問に関しては、麻生大臣が裁判を理由に弔問を断るのは絶対におかしいと思います。私に会わなくても、夫のお墓をお参りするのはいつでもできるはずです。夫の墓前に手を合わせて欲しいと思います。また、もし麻生大臣が私と会って頂けるのであれば、是非ともお会いして、お話をお伺いしたいです。
赤木さんの妻は、夫の遺書を3回忌まで公表しなかったことでも分かるように、いわゆるクレーマーなどとは違うし、すぐに外に怒りをぶつけるような人ではない。
赤木さんの遺書・手記をスクープした相澤冬樹さんは、赤木さんの妻が、提訴に先立って佐川氏の自宅を見てみたいと望み、同行したエピソードを紹介している。
《私たちは佐川さんの自宅へと徒歩で向かった。駅から10分余り歩いた住宅街の真ん中にある。前に到着すると、昌子さん(赤木さんの妻の仮名)はしばらくじっと建物を見つめていた。インターホンを押すでもなく、ただじっと。そして再びぽつりと言った。
「佐川さんもこの家に住むご家族も、もう幸せではないんでしょうね。何だか佐川さんもかわいそう…」
「これから佐川さんを訴えようっていうのに、同情するんですか?」私は思わず言った。「優しいんですね」
「そんなんじゃないんですけど、森友(事件)に巻き込まれた人はみんな不幸になっていますよね」
「それはそうですけど、亡くなった俊夫さんと昌子さんが一番不幸になっているでしょう」
「でも、かわいそうだなあって思っちゃうんです」
https://news.yahoo.co.jp/byline/aizawafuyuki/20200318-00168352/
夫を自死に追い込んだ張本人を「かわいそう」と思う妻。とても理性的で慈悲心あふれる人柄が垣間見える。
その彼女を激怒させた安倍、麻生の二人の答弁には、赤木さんの遺志への配慮のかけらもなかった。
《彼女が訴えたいのは、夫が死を選ぶ原因となった改ざんは誰が何のためにやったのか?、改ざんをする原因となった土地の売り払いはどうやって行われたか?、その真実を知りたいということ。そのために、職員が本当のことを話せる環境を財務省と近畿財務局には作ってほしいということ。》(相澤さん)
赤木さんの遺志に応え、遺族の思いが実現するよう応援したい。