アウシュビッツ解放75周年3

 みぞれの寒い日のあと、きのう今日ととても暖かい。大寒のこういう気候を「三寒四温」というが、春の兆しもちらほら目にする。
 近所の木蓮の蕾も膨らんできた。

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ああ問えばこう言うだけの首相です (神奈川県 池田 功) 30日の朝日川柳より

 「桜を見る会」に関して当初の説明を覆す「証拠」がどんどん出てくるなか、「募っただけで募集しなかった」などと訳の分からない説明に終始する安倍首相。

    参院予算委員会での首相および閣僚の答弁も不誠実きわまりない。
 「桜を見る会」の名簿廃棄の問題で立憲民主党蓮舫氏の質問。
蓮舫氏「徹底調査して名簿を出し、自分はやましくないと立証すればいい。再調査してください。」
首相「そのことは考えておりません。」

 この答弁はいったい何だ?自らが直接に関与する重大問題なのだから、ウソでも「探すよう最大限の努力をします」というべきだろう。

蓮舫氏「『政治枠』の推薦名簿を『1年未満で捨てていい』と決めたのは安倍晋三首相。この決定は正しかったか。」
首相「適切に人事課長のもとで判断されたと思う。個人情報の塊と言っていい名簿ということもあった。」

 個人情報かどうかと廃棄していいかどうかは関係ない。
 公文書管理に詳しい瀬畑源(せばた・はじめ)さん(成城大学非常勤講師)は、1年未満で捨てる文書か否かが現場の判断に委ねられている部分が多いことに「合法的に文書を捨てたり、隠蔽したりできるような状態になってしまったのではないか」と危機感を募らせるが、もっともだ。https://www.asahi.com/articles/ASN1Z3QZ5N1YUTFK00T.html
 また、「公文書管理を監視する役割を担う、公文書監察室が内閣府の中にある限り、身内を厳しくチェックすることはできない」とも危惧する。たしかにそのとおりで、内閣から独立した監視機関を作るしかない。安倍内閣のでたらめさを追求する一方で、繰り返さないための仕組みを作る議論を求めたい。
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 4年前にアウシュビッツ―ビルケナウ収容所を見学した。

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のどかな野原に見えるビルケナウ

 ナチスが過疎地であったはずのこの地へと鉄道まで敷いて送りこみ、抹殺に励んでいた人々は、権力を脅かす「敵」でもなんでもない人々である。当時、すでにまとまった「反対派」は消滅させられていた。その異様さが恐ろしい。

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左手が「死の壁」。ここに収容者が並ばされて銃殺されたという

 ハナ・アーレントの『全体主義の起原』(みすず書房)は、「全体主義」においては、「テロルは国内における反対派の衰退とともに衰えず、反対に強化される」と指摘する。
 いないはずの「敵」が大量に逮捕され殺されていく。そのテロルの中心に強制収容所がある。
 その歴史を繰り返さないよう、史跡を残し、語り継ぐことはとても大事だ。

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多くの子どもたちが犠牲になった

 北朝鮮が解放された暁には、政治犯収容所が、「人道に対する罪」の史跡として残されてほしい。