日本人が見た香港デモ

 もう大寒(だいかん)で、最も寒い時期とされる。だが、今年は暖冬で雪が異様に少なく、山形のスキー場も困っているという。行政も支援にのりだした。
 《山形県は16日、「記録的な暖冬・少雪に係る金融支援」を発表した。中小企業を対象に5000万円を限度に運転資金を貸し付けるほか、同日付で県庁内に特別金融相談窓口を設けた。暖冬・雪不足に対応した支援策は同県初で、スキー場や旅館など観光事業者のほか、除雪に携わる建設事業者を支援する》(日経)

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きのう岩手県でこの冬初めての雪を体験した


 20日から初候「款冬華(ふきのはな、さく)」。フキノトウが出てくるという意味。
 次候「水沢腹堅(さわみず、こおりつめる)」が25日から。池や湖が凍りつくという意味だが、今年は外に置いてあるバケツに氷が張ったのは、まだ19日の一回だけだ。
 末候「鶏始乳(にわとり、はじめてとやにつく)」が30日から。春の気配に鶏が卵を産み始めるということらしい。裸木の梢に新芽が見えたりすると春に向かっていることを感じる。
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 香港では年を越し、運動開始から8か月目に入ってもなおデモがつづく。なぜ、こんなにがんばれるのかと他人によく聞かれる。私も考えつづけているが、香港に住む日本人の見方を知りたくなる。

 先日紹介した新刊『香港危機の深層』に、香港中文大学講師で現地滞在19年の小出雅生さんがデモの「体験者」として「私の見てきた香港デモ」を寄稿している。若者ががんばれる背景を理解するのに参考になる箇所を紹介したい。

 《・・日本で報道されているような「過激なデモ隊」の背後には、非常に多くの市民が自分のできることをできる範囲で抗議活動を支え続けていることも忘れないでいただきたい。
 例えば、六月と八月に世界中の主要紙に意見広告を出したことがあった。それらの資金はすべて一般市民からの寄付で賄われている。一つの目標があれば、違いを乗り越えて大同団結できるのも香港のいいところだと思う。それぞれの分野に詳しい人たちが連絡を取り合って、必要なことを募り、非常に実務的に仕事をしていく。一緒にやっていて快い。
 八月後半になり、MRTに問題が出始めると(注:MRT(香港の鉄道)が若者たちに運行妨害されて動かないことがよくあった)、自家用車を持った人たちが遠くに住むデモ参加者を送り届けるようなことも行われている。また、前線のデモ参加者があまりきちんと食事をとれていないことが問題になると、スーパーやマクドナルドのクーポン券を集め、デモ参加者に配る活動も行われている。さらに機動警察との衝突が頻発し、思い通りに帰宅したくてもできないような状況が多くなってくると、旅行業をやっている人たちが連絡を取り合い、九月以降大幅に値下がりしているホテルの部屋をまとめて借り上げ、警察からの追及をかわすように、着替えてシャワーを浴び、さらには翌朝まで無料で宿泊できるように手配するボランティアグループも出てきている。けがをしたら医療班もボランティアだし、逮捕されても弁護士もボランティアだ。しかも、募金活動を通じ、今後予想される裁判費用の準備も行われている。とにかく、支える層が厚いのだ。》

 深夜、デモ隊と警察がにらみ合っている現場で、ハンバーガーや飲み物をたくさん買い込んでデモ隊に配っている人たち(たいてい女性だった)を何度も見かけた。私自身もフィッシュバーガーをほとんど押しつけられるようにしていただいたことがある。
 自分は「前線」には立てないが、がんばってね、と応援する人々がたくさんいることは実感としてよくわかった。
(つづく)