裏目に出た安倍首相の「抱きつき外交」

f:id:takase22:20190425092245j:plain

 近所のハナミズキが満開だ。
 この木は日露戦争のとき、ポーツマス条約締結へのアメリカの尽力に感謝して日本が贈った桜(ワシントンDCのポトマック川に植えられた)に対する「お返し」だったという。その後、アメリカとの戦争に突入すると「敵国の木」だとして伐られ、戦後になると、マッカーサーがたくさん植えさせて日本全国に広まったといわれる。日米関係の変遷を象徴する花である。(桜と交換されたハナミズキhttps://takase.hatenablog.jp/entry/20100506

 

 安倍首相は訪米中。これを新聞は「抱きつき外交」とうまい表現で報じている。
 《メラニア夫人の誕生祝いにまで顔を出し、昭恵夫人から手作りのお茶をプレゼント。トランプ氏の機嫌を損ねまいとする懸命の努力は、「朝貢外交」のようにも映るが、首相にとって今回の訪米は、夏の参院選に向けた計算があったに違いない》(朝日27日朝刊)
 農産物の関税引き下げをめぐる日米貿易交渉、駐留経費負担の大幅増額などが参院選前に表面化させたくないので、トランプ氏が直接介入しないよう蜜月を演出しようとしたのだろうというのだ。
 日本政府内には首相訪米への慎重論もあったという。来月末にはトランプ氏が新天皇と初めて会見する国賓として訪日する。
 《外務省幹部は「なにも今回訪米して協議しなければならない懸案事項はない。逆に貿易などで米側から圧力をかけられ、やぶ蛇になるのでは」と懸念していた。
 その懸念は的中した。トランプ氏は貿易交渉について、自らの5月末の訪日時までに合意にこぎつけ、署名したい考えを強調。農産物の関税撤廃も突きつけた。首相の参院選への懸念には目もくれず、来年11月の米大統領選までに早く成果を出したいとの自らの思いを優先させた格好だ。

 「抱きつき外交」で、極力問題を先送りしようとの安倍首相の「弥縫策」はどこまで通じるのか。トランプ氏はこの日の会談でも「日本は途方もない数の軍事装備品を米国から購入している」と持ち上げた。時間かせぎと「バイ・アメリカン」で機嫌をとる代償は、国民の税金でまかなわれる。

 首相は「日米蜜月」を演出しようと躍起だが、その裏で、日本の国益に難題が降りかかろうとしている。》
 「抱きつき外交」で亡国への道をすすむなかれ。
・・・・・・・・・・・・・・
 お知らせです。
 3月17日のフジTV ザ・ノンフィクション「独占初公開 デマと身代金~安田純平・3年4ヶ月の獄中日記~」は関東ローカルの放送でしたが、ネット局での放送が以下のように決まりました。深夜帯ですので録画してご覧下さい。

5月5日26時から TSS(テレビ新広島
5月8日27時から KTV関西テレビ放送滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県
5月13日25時から FTB(福井テレビジョン放送
5月14日25時35分から SUT(テレビ静岡
5月26日25時25分から FTV福島テレビ
・・・・・・・・・・・・・
 一昨年、写真家にとって権威ある賞、土門拳賞を受賞した韓国人写真家、梁丞佑(ヤンスンウ)さんの写真展「人間模様」がはじまった。https://bookandsons.com/blog/ningenmoyou.php

f:id:takase22:20190428000431j:plain

 ヤンさんは韓国で兵役が終わってすることがないから日本に来た。「日本語学校が終わって、進学しないと、ビザが更新できない」ので、どこでもいいからと写真の専門学校に入ったのが写真家になるきっかけだったという変わり種だ。
https://photoyang.jimdo.com/
 きょうはレセプションで、美味しい料理とお酒を楽しみながらヤンさんやその仲間と話ができた。ヤンさんが撮り続けてきたホームレスのゴンタさんも来ていた。

f:id:takase22:20190427175104j:plain

梁丞佑(ヤンスンウ)さん


 お知らせが遅くなってしまったが、ヤンさんを取材したドキュメンタリーが明日の早朝4時半の「テレメンタリー」(テレビ朝日)で放送される。
 《平成の歌舞伎町に魅了された、韓国人カメラマン・梁丞佑。街から熱気が消えゆく 中、“人間の匂い”を追い求め、シャッターを切り続ける。義理を重んじるあまり、引退を余儀なくされた元ヤクザ。ネオンで寂しさを紛らわせていた“詩人ホームレス”は、居場所すら失った。時代の変化に戸惑いながらも、夢を見続けるホストやダンサーたち。これは、歌舞伎町にこだわり続ける人たちの、哀しくも愛おしい“狂詩曲”であります。》
ナレーター:向井秀徳 制作:テレビ朝日
https://www.tv-asahi.co.jp/telementary/

 実は、私はヤンさんの番組を企画して売り込んで失敗している。テレメンタリーを制作したディレクターもレセプションに来たので話をした。この番組でヤンさんがどう描かれるのか、楽しみだ。