玉城デニー氏当選をスルーするテレビ

 伊勢湾台風並みと報じられた台風24号だったが、思ったより被害は軽かった。朝、地面には風にちぎられた小枝や葉っぱが散乱。線路への倒木などで中央線は始発から動かず、新宿までの運行がはじまったのが9時ごろで、電車はものすごい混みよう。昼には東京は最高気温32度と、真夏がぶり返したようで、テレビ局二つを回ったら汗だくになった。
・・・・・・・・・・・・・
 きのう9月30日に投開票があった沖縄県知事選、普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する玉城デニー氏が39万6632票と史上最多の票数を獲得し、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(自民・公明・維新など推薦)の31万6458票を大きく上回って当選した。
 ある調査では、辺野古移設に伴う埋め立て承認を沖縄県が撤回したことについて「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」とした人が69.3%、普天間飛行場を「県外」か「国外」に移設すべき、もしくは「無条件で閉鎖、撤去すべき」とした人は計69.0%に上るという。知事選は、辺野古新基地建設に反対するという民意をあらためてはっきりと示した。ところが・・・
 メディアの報道がおかしい。新聞は「辺野古反対 玉城氏当選」(朝日の朝刊)と一面トップで報じているのに、テレビのニュースではほとんど取り上げていないのだ。
 きょうのNHKの『ニュース7』が、沖縄県知事選の結果を完全スルー。民放の朝のワイドショーをザッピングしても、台風の影響、貴乃花親方問題、樹木希林告別式、平尾昌晃遺産騒動、富田林署から逃走した樋田容疑者逮捕などで沖縄県知事選が出てこない。夜はさすがに報ステなどで多少扱ったが、本庶佑氏のノーベル賞受賞、錦織圭大坂なおみのテニスの試合結果が入って、報道量はとても少ない。
 安倍政権が国政選挙以上の総力戦でのぞみ菅官房長官小泉進次郎、さらには小池百合子東京都知事まで応援に入る力の入れ方。また、4年前は自主投票だった公明党が例のない組織動員を繰り広げた。この今回の沖縄県知事選挙の政治的意味は非常に大きい。外交・防衛の根幹にもかかわる。4年前の翁長氏が当選した沖縄県知事選挙は、テレビもしっかり報じていたという。今回の選挙結果を避けるのはなぜだ?
 きょう打合せで行った民放某局の報道番組プロデューサー に、「最近の報道がおかしいのは忖度ですか」と単刀直入に聞くと、「忖度というより上からの指示です」という。政権から一方的な報道だと非難される材料を与えないよう、テレビ局幹部は細心の注意を払うようになっているというのだ。つまり、辺野古反対の玉城氏当選を伝えること自体が、安倍政権批判になるので遠慮しているということか。
 もし、そうだとしたら、これは報道機関として末期的ではないか。テレビ局のなかは、いったいどうなっているのか。
(つづく)