アサガオが、線路沿いの金網から電線をつたってはるか上まで上っている。おお、がんばってるな。朝、花を見上げて通勤している。きょうは、ずいぶん涼しくなって秋の気配がただよってきた。
大坂なおみ、テニスの四大大会最終戦、全米オープン女子シングルスで初優勝。私同様、テニスなどふだん関心のない人たちも「日本人が勝った」と大いに盛り上がっている。
大坂なおみはすごかったと思う。明らかにセリーナ・ウィリアムズを圧倒していたし、スピーチも素直でよかったし、表情がとても可愛らしい。それは認めたうえで、なおみフィーバーを見るにつけ、「日本人」っていったい何だろうと思ってしまう。3歳からアメリカで育ち、日本語はほんの片言。今は日米二重国籍でアメリカ人でもあるのだが、「テニス選手としての国籍」として日本を選んでいるのだという。スポーツにおける国籍選択はよく見られることだ。マラソンのオリンピック代表になりたいためにカンボジア国籍にした猫ひろしなど、国籍はむこうかも知れないが、やっぱり日本人だろうと見てしまう。
日本の法律では22歳までに国籍を選びなさいということになるそうで、大坂なおみは来月21歳になるから、あと1年ほどで選択を迫られる。もしアメリカ国籍を選べば「日本人」ではなくなってしまうが、日本国籍を選べばアメリカ国籍は残って二重国籍のままなので、たぶん日本国籍を選択するだろうと言われている。
というわけで、彼女が日本人かどうか、なんだかきわどい感じなのである。
そのあたりを意識してか、ニュース番組などでは、北海道のおじいちゃんを登場させたり、抹茶アイスが好物だと披露したり、対戦相手に会釈し礼儀正しいとなでしこぶりをアピールしたりしていた。
たしかに罵詈雑言を浴びせて審判に抗議するセリーナ・ウィリアムズの姿には、日本人としてはかなり違和感を覚え、それに比べれば大坂なおみはジャパニーズだなと感じるのだが、大坂自身、2年前には試合中かんしゃくを起こしてラケットを叩き壊したことがあるそうで、個性の範囲かもしれない。
日本人とは何だろう。先日観に行った「縄文展」でも考えさせられた。
世界の人類の歴史において突出した造形美の土器をつくった縄文人たち。また、研磨加工を施し、刃先の長い石器を世界で最初につくったのもこの日本列島に住んだ人々だった。
これって「日本人はすごかった」というふうに考えていいのか?私としては、どういうところに誇りを持てばよいのか。そもそも縄文文化を私が誇りに思っていいのか。
愛国心という問題にもつながってくる。
(つづく)