あさってから節気はもう「啓蟄」だ。土の中に冬籠りしていた生き物たちが地上へ這い出してくるころ。初候は6日からで「蟄虫啓戸」(すごもりのむし、とをひらく)、次候は11日からで「桃始笑」(もも、はじめてさく)、16日からが末候で「菜虫化蝶」(なむし、ちょうとなる)。わくわくする候の名、いよいよ春です。
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このかん、気になった記事やニュースから。
1日、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)は、沖縄県の米軍基地反対運動を扱ったバラエティー・情報番組「ニュース女子」の放送を今月末で終了すると発表した。昨年1月、沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設への抗議活動の参加者を「反対運動の連中」、「テロリストみたい」と表現したり、人権団体が交通費相当の金銭を支給して現地の様子を発信する「市民特派員」を募ったのを「5万円日当」と伝えたりし、BPO(放送倫理・番組向上機構)が12月「重大な放送倫理違反があった」との意見を公表していた。
《「ニュース女子」は、化粧品会社「DHC」がスポンサーとして番組枠を買い取り、子会社の「DHCテレビジョン」などに制作させた番組をMXに放送してもらう「持ち込み番組」。批判を受けた後、MXは放送責任を明確にするため、番組制作の主体を自社に移したいとの意向を申し入れたが、合意に至らなかったという。今月末で、DHCが1社提供している番組「エクストリームBeauty」も終了するほか、MXが請け負っていたDHCの広告代理店業務も打ち切る。》(毎日新聞)
MXにとっては、DHCは最大級の取引先で、大きな決断だったろう。《16年度のMXの有価証券報告書によると、同局の売上高の11・5%をディーエイチシーとの取引が占める。15年度は14・3%、14年度は21・0%だった。》(朝日新聞)
通常は、テレビ局が番組の内容を決め、したがって責任も局がとるのだが、MXの場合、放送枠を買った企業が自由に番組内容を決めていた。この「持ち込み番組」というやり方は主要在京民放局でもBSなどでは行なわれている。テレビ局が、放送枠を切り売りし、持ち込まれたコンテンツを電波に乗せるだけの商売となれば、番組内容への責任もとれない。今のテレビ界の姿を考えさせる「事件」だった。
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平昌冬季オリンピックの放送が大洪水のように流れたが、獲得したメダルが過去最多の長野の10個(金5、銀1、銅4)を越え、13個(金4、銀5、銅4)に達すると、どの番組も「日本がメダルラッシュ!」、「最多のメダル獲得数!」と叫び、「日本ってすごいんですね!」と自画自賛で締めていた。
しかし、1998年の長野オリンピックの競技種目が68だったのに対し、平昌は102種目で、獲得できるメダル数は5割も増えているのだという。だから、日本のメダルは過去最多で当然なのである。
日本選手の活躍はうれしいし、競技も楽しませてもらったが、「日本すごい!」はいらない。日本が落ち目になるにしたがって日本国賛美が眼につくのが気持ち悪い。
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評論家の佐高信氏が、1月に入水自殺した評論家・西部邁氏への追悼文を東京新聞(1月30日)に載せていた。佐高氏は左、西部氏は右の論客だが、「思想違えど好みは似る」という関係だったそうだ。
《何よりも二人は嫌いな人間が同じだった。言葉に体重がかかっていない竹中平蔵や橋下徹を嫌悪する点で共通していた。また、共に三島由紀夫を排していたのである》
人間同士の信頼は、イデオロギーよりこういうところなんだなと素直に納得できた。