平昌は対北最前線

takase222018-02-16

 連日、テレビは平昌オリンピックで盛り上がっている。きょう、つけっぱなしのテレビで、たまたま男子フィギュアスケートショートプログラムで、羽生結弦宇野昌磨が滑るのを観た。羽生は完璧。滑り終わったあとは自信たっぷりの笑顔。宇野もよかった。二人とも可愛い顔をしている。ジャンプの高梨沙羅、女子スピードスケートの小平奈緒高木美帆も実に可愛い。競技を終えた直後、まだ息があがっているときの表情がすてきだな、などとテレビを観ている。邪道でしょうか。
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 平昌(ピョンチャン)は半島の日本海側にある江原道(カンウォンド)にある。アスリートや観光客の宿泊地は海に面した江陵(カンヌン)市で、ここには北朝鮮潜水艦が座礁した事件の取材で訪れたことがある。
 あれは大事件だった。以下、楽をして申し訳ないがウィキペディアより。
《江陵浸透事は、韓国の江原道江陵市において、韓国内に侵入していた工作員を回収しにきた北朝鮮の特殊潜水艦(サンオ型潜水艦)が座礁し、帰国手段を失った乗組員と工作員計26名が韓国内に逃亡・潜伏した事件。
 事件は1996年9月18日に発覚し、韓国は軍・警察を動員しての掃討作戦を開始した。1996年11月7日に掃討作戦は終了。北朝鮮側の被害は、逮捕1名、射殺13名、集団自決11名、行方不明1名とされる。韓国側の被害としては、軍人12名(事故死4名を含む)、警察官1名(事故死)、民間人4名(事故死1名を含む)の計17名が死亡し、17名の負傷者が発生した。》
 私が江陵に入ったのは事件数日後で、上陸した工作員を掃討する山狩りの真最中だった。ヘリが飛び交い、兵士を積んだ軍用車両が次から次へと走り去る。そんな現場に立てたのがうれしくて、「今も緊迫した状況が続いています!」などと張り切って(でも、誰でもできるような)リポートをしたような記憶がある。

 上陸した乗組員(全員が工作機関の所属)の中には韓国軍との戦闘で死んだものもいたが、後に山中で集団自決した遺体が見つかった。集団自決の異常さに強い関心を持ち、その後、「工作員とは」というテーマを追うことになる。その取材を続けるうち、横田めぐみさんらしい日本女性を北朝鮮で目撃したという亡命工作員に巡り合い、大きなスクープになった。
 いま、その潜水艦は海岸沿いの統一公園に展示され、観光スポットになっている。中にも入れるので、機会があればぜひ。
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 さて、オリンピックでは北朝鮮の参加が大きな注目を集めた。新聞などでは「南北の合同チームが統一旗を掲げて入場するのをみて涙が出た」といった声が報じられている。個々人の情緒はそれでいいと思うが、こういうことを重ねていけば「統一」ができるわけではないことはしっかり押さえておきたい。金正恩をトップにいただく全体主義北朝鮮を、そのまま認めて韓国と統一するなどということはありえないし、あってはならない。
 朝鮮戦争では北朝鮮軍が最初に上陸して攻撃したのが江陵(カンヌン)で、ここは何かと北朝鮮の対南侵攻に縁のある土地柄である。
 南北の接触を、核や拉致などの課題解決に何とか利用する契機にできないかと考えることは必要だが、それは、とにかく「仲良く」すればいいということではない。暗殺団を外国まで派遣して兄を殺した人物の妹が、オリンピック会場で韓国大統領と並んで笑顔をふりまく光景は、見ていて気持ちが悪くなる。