ドウダンツツジ。こういうのを「燃えるような紅葉」と表現するのだろうな。ため息がでるほど鮮やかだ。
一方、すっかり葉が落ちたヤマボウシは、凛として冬空に立つ。
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医師でジャーナリストの村中璃子(りこ)さんが、日本人で初めて、権威ある「ジョン・マドックス賞」を受賞した。子宮頸がんワクチンをめぐる、日本の特殊な、というより異様な状況に風穴を開ける出来事である。
激しいバッシングを受けながらも、鋭い取材に基づく正論を主張しつづけた村中璃子さんの勇気を讃えたい。しばらく前から私は村中さんのファンになって、ツイッターをフォローしている。受賞、おめでとうございます!
子宮頸がんワクチンは、90%以上がんを予防できるという画期的なもので、日本でワクチンの定期接種が始まったのは、先進国の中では遅れて、2013年4月からだった。ところが、わずか2か月後、政府は積極的接種勧奨を「一時的に」差し控えるという奇妙な決定を下す。「副作用」の訴えが寄せられたのだ。
「副作用」は「薬害」だとされ、4地裁で集団訴訟が起こされた。マスコミもこれを無批判に報じた結果、ワクチンへの恐怖が煽られ、日本の接種率は70%から1%以下にまで落ち込むという異常事態になっている。いま、このワクチンは、先進国だけでなく途上国まで接種が推奨されるごく標準的ながん予防対策なのだが、日本の特殊な状況は突出している。
WHOはこの事態に対して日本を2度にわたって、名指しで批判している。このままでいくと、ワクチンで防ぐことができるがんで、今後、たくさんの日本の若い女性たちが子宮を、そして命まで失うことになるのである。
この間の事情を村中璃子さんのジョン・マドックス受賞スピーチ「10万個の子宮」から紹介しよう。https://note.mu/rikomuranaka/n/n64eb122ac396
(前略)
《親たちは娘のけいれんする姿や車椅子姿を携帯電話やスマートフォンで撮影し、インターネットに投稿した。メディアからの取材にも積極的だった。大多数のまっとうな医者たちは「心ない医者に、心の問題だと言われた」などと激しく批判されて面倒になり、みんな黙ってしまった。
世界中どの国でも新しいワクチンが導入されればそれに反対する人は必ず出てくる。しかし、日本には、他の国にはない厄介なことが2つあった。ひとつは、政府がサイエンスよりも感情を優先した政策を取ったこと。もうひとつは、わざわざ病名まで作って、子宮頸がんワクチンによって引き起こされたという薬害を唱える医者たちが登場したことだ。
その名はHANS(ハンス)、子宮頸がんワクチン関連免疫異常症候群。HANSを唱える医師たちの主張は、患者の訴えと印象に基づいており、決して、エビデンスを示すことはなかった。代わりに、エビデンスを示せないのは、現代医学が十分ではないからだと糾弾した。しかもHANSは「ワクチン接種から何か月、何年経っても起き」「消えてもまた現れ、一度なったら決して治らない」のだという。》
日本ではなんと、子宮頸がんワクチンの「副作用」は、新たな「症候群」つまり病気にまで昇格してしまったのだ。
《メディアを通じて、子宮頸がんワクチンの危険性を煽るミスリーディングな映像とストーリーが日本社会に広まっていったある日、厚労省が指定した子宮頸がんワクチン副反応研究班の主任研究者で信州大学の元教授だった神経内科学医、池田修一氏が、厚労省の成果発表会である衝撃的なマウス実験の結果を発表した。池田氏は当時、信州大学の副学長で医学部長を務めていた人物である。
池田氏は「子宮頸がんワクチン」と書かれたマウスの脳切片だけが緑に光る、白い円でその部分を強調した画像を見せながらこう言った。「明らかに脳に障害が起きている。子宮頸がんワクチンを打った後、脳障害を訴えている少女たちに共通した客観的所見が提示されている」
池田氏によれば、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、子宮頸がんワクチンをそれぞれマウスに接種して10か月後に脳を観察したところ、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに異常な自己抗体が「沈着」したという。池田氏のこの発表は、夜の人気ニュース番組でも放送された。
それから2週間後の3月末、子宮頸がんワクチンの被害を訴える人たちが、日本政府とワクチン製造企業を相手取った集団提訴を予告する記者会見を行った。日本政府は、積極的接種勧奨の「一時的」差し控えを継続。そして、「一時的」が3年にも及んだ昨年7月27日、日本政府は世界初の子宮頸がんワクチンによるものだという被害に対する国家賠償請求訴訟を起こされた。》
だが、この衝撃的な研究結果は捏造だったのである。
(つづく)