「懐かしい未来」再読6

 雨空の日が多いが、先週から夏至。最も日が長い時期だ。一年の半分が過ぎたんだな。
 日本で大雨だった先週の21日から韓国にいたのだが、連日30度を超える暑さだった。むこうでも田植えは終り、緑の田んぼがひろがっていた。

 21日から初候 乃東枯(なつかれくさ かるる)。冬に目を出した夏枯草(かごそう=ウツボグサ)が枯れる時期だという。
 26日から次候 菖蒲華(あやめ、はなさく)。アヤメ、カキツバタ、ショウブはどう見分けるんだっけ。
 7月2日からが末候 半夏生(はんげ、しょうず)。半夏とは何か知らなかったが、カラスビシャクという草だそうだ。その姿から狐のろうそく、蛇の枕ともいうそうだ。勉強になります。初候から末候まで植物にちなんでいる。

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 29日発売の「週刊文春」が、下村氏を支援する政治団体「博友会」が2013、14年に開催した政治資金パーティーをめぐり、加計学園側が100万円ずつ計200万円のパーティー券を購入したにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載されていないと報じた。下村氏は会見を開き、加計学園の秘書室長が、個人と企業合わせて11人から預かった合計100万円の現金を持参したことを確認。いずれも20万円以下の購入で、報告書には記載する義務はないと説明。「記事は全く事実に反する」と言い切った。
 2013、14年は下村氏は文科相だった。「事実に反する」って?加計学園の秘書室長が200万円持ってきたことだけで十分真っ黒ではないか。
 「ちがうだろー!!」の豊田真由子様の問題は「週刊新潮」が暴露した。週刊誌、偉大だな。こういうネタをどうして新聞、テレビが発掘できないのか。
 今夜、用事が急にキャンセルになったので夜9時前に帰宅。NHKニュース9を観る。第1ニュースは当然、下村氏の200万円事件だろうと思っていたら、「がん検診、4割見逃す」のネタ。そこから「中国の習主席が香港訪問」そして「メタンハイドレード採取試験終了」と続き、下村氏の問題は4番目だった。
 テレ朝の報道ステーションは、下村氏の話が最初のニュース、2番目が稲田防衛相が自衛隊自民党軍扱いした問題、3番目が森友学園の保育園閉園。NHKが「政権より」といわれるのが分かる気がした。
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 懐かしい未来」のつづき。開発が持ち込む近代的教育が人々を分断すると指摘する
《西洋式の教育》
 1970年代に西洋式の教育が初めてラダックに導入された。「開発」のなかでも教育の普及は一見文句なしに善きものとして肯定されそうだ。しかし、教育は、自分の文化や自然から隔離する結果をもたらしており、学校は、昔から伝えられてきた技能を忘れさせ、それを見下す場となっている。
 これまで子どもたちは、祖父母、家族、友だちから学んだ。ヤクの皮から靴を、羊の毛から上着を作り、石と泥で家を建てる方法などを学んだ。「教育は地域に密着し、生きている世界との密接な関係を育むものであった」。
 それがいま、西欧中心のモデルを前提にした一般的な知識に焦点が置かれた教育が行われている。例えば、農業を勉強するとなれば、化学肥料、農薬、大型機械、改良品種に依存した工業化された農業を学ぶことになる。
 「西洋の教育システムは、世界中の人びとに地域の環境を無視し、同じ資源を使うことを教えることによって人類全体を貧しくしている」のである。(144頁)
 1986年、ある学校の生徒は、ラダックに関する作文にこう書いた。
 「1974年より前は、ラダックは世界に知られていませんでした。人びとは文明を知りませんでした。だれもが笑顔でした。お金は要りませんでした。自分が持っていたものだけで十分でした」。「(今は)ここの人たちは、自分たちの歌を歌うとき、まるで悪いことでもしているみたいに歌う。でも、英語やヒンディー語の歌を歌うときは、喜んで歌う。最近は、恥ずかしく思って私たちの服を着ない人が増えている」
 ヘレナはこう結論づけている。「近代教育はラダックの人びと同士を分断し、土地から切り離し、地球規模の経済システムの最下層に位置づけてしまった。」(146頁)

(つづく)