前川前次官の出会い系バー通いの真相

 先週日曜、代々木公園に抜けようと明治神宮を通った。
 鳥居の前をくぐる前、老夫婦が丁寧に礼をした。ああ、いいな。二人のたたずまいに、思わず写真を撮ってしまった。
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 加計学園問題。
 前川喜平前文部事務次官は口を閉ざすことなく、和泉総理補佐官の「総理が言えないから私が言う」発言、元内閣官房参与加計学園が運営する千葉科学大の学長でもあった木曽功氏の訪問と、連日のように新たな証言をしている。もう安倍内閣周辺は真っ黒だ。
 その前川氏を新宿・歌舞伎町の「出会い系バー通い」で貶めようとしたのが読売新聞。前川氏がバー通いを認めて「女性の貧困問題の調査」と理由を言ったのに対して、菅官房長官は「さすがに強い違和感を覚えた」と勝ち誇った顔で非難した。下着泥棒はじめ不良閣僚ぞろいの内閣にもっと強い違和感を覚えるが、しかし、ワイドショーの比較的まともなコメンテーターまで、「無理な言い訳」と表現したように、ほとんどの人は援助交際目当てだろうと思ったようだ。
 しかし、私は、出会い系バー通いがイコール援助交際目当てとは限らない、前川氏の場合はほんとに「調査」をやっていたのだろうと思った。まずは、テレビの動画で観た彼の表情と語りぶりから受けた印象である。また、私自身も怪しげなところに半分調査、半分好奇心で通うことがあったから、気持ちは分かる。さらに、純然たる「社会勉強」のために夜の世界で働いている女子大生に複数回遭遇したこともあり、さまざまな動機の人がいることを知った。
 数日前、前川氏が次官辞任以降、素性を明かさず低所得者を支援するボランティア活動に参加していたとの証言が出た。ああ、この人は本物だなと思った。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16974.html
 その出会い系バーで前川氏の相手をした女性を突き止めて、彼との間に何があったかを取材すれば真相は一発で分かるのに。と思っていたら、今日発売の『週刊文春』がまさにそのスクープを載せた。「3年間で3、40回会った」という26歳の女性Aさん。彼女の証言は実に興味深く、前川氏が「すごい」人であることを示している。
 「多い時で週2回会っていました。夜十時くらいから食事を始めて、いつも十二寺くらいになると前川さんは『もう帰りたい』って一人でそそくさと帰っちゃうんです」。
 前川という本名を名乗っての出会い系バー通いだった。人生相談にも乗ってくれたという。
 「私は大学に行っていたんですけど、知り合いが病気になって死んじゃった。ショックで勉強に身が入らなくなって、大学を辞めて、キャバクラの体験入店を繰り返している時期でした。『友達がキャバ嬢だから、私もキャバ嬢になる』って言ったら、すごく怒られて。『親も心配しているんだから、早く就職した方がいいよ』と言われました。その後も会うたびに『ちゃんとした?』とか『仕事どう?』って聞かれました」
 前川氏のアドバイスで彼女が百貨店に入ると、「授業参観」といって様子見に売り場に来たという。その後、以前から希望していた高級ブランド店で働けるようになると、前川氏は就職を祝う会まで開いていた。驚くことに、前川氏との交流をAの両親も知っていたという。
 「私が悩んでいると、お母さんから『前川さんとご飯に行きなよ』と薦められたり、『結婚したら前川さんを結婚式に呼びなよ』と言われたこともあります」。
 肉体関係があったかという質問には。
 「ありえないですよ。私、おじさんに興味ないんで。口説かれたこともないし、手を繋いだことすらない」。
 「結婚指輪を大切にする一面もあって、土曜日に誘うと、『土日は奥さんを大事にしてるし、ゆっくりやすむからダメ』と断わられました」。
 私の今があるのは前川さんのおかげ、と彼女に言わしめる前川喜平氏は、「調査」ばかりか人生を教え、人を救っていたのである。すばらしい教育者であり、まれにみる人格者ではないか。
 本来、前川氏の加計学園問題にかんする証言と出会い系バー通いはべつべつの話なのだが、こうして、出会い系バー問題の真相がはっきりしてくると、前者の証言の信憑性がいっそう高まってくる。