早大を暴力が支配した時代3

 節気は小満(しょうまん)になった。
 麦の収穫、田植えの準備、蚕の世話。紅花は山形の県花だが、初夏の開花の時期を迎える。
 初候は21日からで「蚕起食桑」(かいこおきて、くわをはむ)。
 次候は26日からで「紅花栄」(べにはな、さく)。
 末候は31日からで「麦秋至」(むぎのとき、いたる)。
 陽気盛んにして万物ようやく長じて満つ。農家が猫の手も借りたいほど忙しくなる時期に入る。
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 加計学園」問題で新展開があった。

 安倍首相が、加計グループの学校法人「広島加計学園」の監事を務め、報酬を受け取っていたことが「所得等報告書」(1999年度分)の記載から判明したという。その「広島加計学園」の小学校を昭恵夫人の紹介で森友学園籠池泰典前理事長一家が視察していた。加計学園森友学園も安倍一族とズブズブであることがさらにはっきりした。

 また、内閣府文部科学省に「総理のご意向」などと伝えた文書の存在を認めていた前川喜平前文部科学事務次官が、きょう都内で記者会見し、自民党が拒否している証人喚問に応じる意向を示した。
 
 安倍首相周辺がウソをついているのは誰の目にも明らかなのだが、真相の解明を阻止するために、数の力で国会での追及をさせない(証人喚問をやらせない)、閣僚・官僚に事実を握りつぶさせる(「書類の存在は確認できませんでした」)、証人の信用を失わせる(出会い系バーに行ったと読売に書かせる)、一方的な事実認定をする(「総理は言っていないので、事実ではない」)と、権力は異常な手段で国民の知る権利をブロックしている。こんな連中が道徳教育なんて言っているんだからなあ。
 
 それにしても、ここまではっきりした事実と腹をくくった証人が出てきてなお真相解明できないとなると、ほんとにこの国、「おしまい」だろう。この世は、長いものに巻かれて生きるのが勝ちなんだな、と若いものたちが納得してしまう。何とかしないと。
 
 「首相動静」によると、24日午後は、《6時41分、東京・赤坂の日本料理店「古母里」。テレビ朝日早河洋会長、篠塚浩報道局長と食事。10時8分、東京・富ケ谷の自宅。》3時間もじっくり会談しているが、メディアは大丈夫か。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170524-00000083-asahi-pol
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 さて、焼身自殺した山村政明さんの続き。
 
 あの当時の早大のような、言いたいことが自由に言えない空間をこの日本に作ってはならない。ごく当たり前のことだが、私は早大での革マルによる暴力支配を経験したものとして、自由は簡単に失われることを訴えたい。

 勇気をもって暴力支配に抗した山村政明さんは、力尽きて倒れたが、今の情けない政治を見るにつけ、彼の精神と行動は記録され記憶されてほしいと思う。

 最後に、山村さんが焼身自殺した穴八幡神社境内に残されていた「抗議・嘆願書」を紹介したい。

抗議・嘆願書―とりわけ早大二文当局およびすべての二文学友に訴える―

 人騒がせなことをして申し訳ありません。しかし、これは、被植民地支配下の異民族の末えいとして、この国の社会の最低辺で二十五年うごめき続けてきた者の、現代日本に対するささやかな抗議でもあります。
 私は在日朝鮮人二世としてこの国に生をうけた。在日朝鮮人の存在そのものが歴史の非条理だ。
 その上、自らの意志によらずとはいえ、自民族と祖国を裏切り、日本籍に帰化したことは苦悩を倍増すること以外のなにものでもない。
 私は学問、真理の探究を志して、早大に入学した。しかし、そこで見い出したものは、反動国家権力、独占資本に迎合した非人間教育でしかなかった。私は何人かの勇気ある仲間たちと共に、学園変革の闘いに参加していった。そのため、反動教授の指弾を受け、反民主主義、反革命、暴力学生集団革マルの数度にわたるテロ、リンチ等により、いく度か傷つき、登校の自由は奪われ、生活の破算、挫折を余儀なくさせられた。
 私と同様に革マルの学園暴力支配により、退学においこまれつつある学友は少なからぬ数にのぼる。彼らの多くは、貧しい家庭環境に育ち、血のにじむ努力を積み重ねてこの学園に入学してきた。学園における目に余る不正矛盾に抗して立ち上がり、闘いを敢行した故に、弾圧を受け、学生としての諸権利を抹殺されている彼らの心中は悲憤やるかたないものがある。
 死を目前にした私が、最も切実に望むのは次のことである。革マルの暴力支配と、大学当局の冷淡な措置により、経済的困窮の中で留年、退学に追いこまれながら苦闘を続けている学友たちに明るい光のさすことである。彼らが、暴力支配による身体生命の危険、経済的な生活破算から免がれ、学生としての正当な権利を回復することである。
 二文のすべての教職員の方々、及び学生諸君、彼らの正当な闘いに理解と支援を与えて欲しい。暴力を一掃し、よりよき学園を建設していって欲しい。

一.反動的文教政策糾弾!
一.早大は、自民党、独占資本追従の反動的立場を脱し、建学の精神を復活せよ!
一.学園から不当な暴力を一掃せよ!
一.反民主主義、反革命、暴力学生集団革マル自治会執行部からリコールせよ!
一.革マルは反動勢力の手先きとしてのハレンチなテロ、リンチ、窃盗行為及び、民主的学生運動への分裂、破壊策動を、厳重に自己批判し、真の革命勢力の立場、人民大衆の立場に転換、依拠せよ!
一.二文当局は、奨学金、カリキュラム、学生生活全般において、勤労学生の権利拡大を保障せよ。一文への腰かけとしての二文の性格を再考せよ!
一.二文の全学生及び教職員に訴える。事なかれ主義を脱して、一人一人が不正、矛盾との対決に立ち上がって欲しい。昨年の自治民主化闘争の盛り上がりを想起して欲しい。学友が自覚して立ち上がり、連帯して闘うことのみが、暴力の一掃、自治民主化、学園改革への道を開くだろう。

一、日米安保条約廃棄!
一.自民党腐敗政権打倒!
一.米国の極東軍事支配を許すな!
一.日本独占資本のアジア経済侵略を許すな!
一.独占資本解体!ブルジョア抑圧階級打倒!
一.南北朝鮮の自主的平和的統一実現!
一.在日朝鮮人の民主的民族権利の弾圧を許すな!
一.金嬉老同胞の法廷闘争断固支持!
一.日本軍国主義復活の道を断て!

一九七〇年十月五日
早大二文旧二年生Hクラス
   山村政明(梁 政明)
     六九年  五月十九日、十一月二十五日、十二月六日、十二月八日
     二文学生大会議長、二文有志連合代表
 どうせ、私の命は後、長くはない。闘争能力を喪失した私にできることは、これくらいしかない。
 神よ、背教者の私を許して下さい!