塀の中から年末の便り

 うちのオフィスの前の交差点に「謹賀新年」の看板が。もう大晦日、一年はやかったな。会社社長としては財務的に非常に苦しい一年だったが、人間として学んだことは大きかった。それは明日書こう。
 
 自宅付近の立木の枝と青空が美しい。凛とした気持ちになる。 
 今年も無事に越すことができることを大いなるものに心から感謝したい。
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 再び番組宣伝。
 お正月2日夜はゆっくり、ヒマラヤの絶景と謎ときをお楽しみください。

 《グレートネイチャーはヒマラヤSP!「ヒマラヤ造山帯〜世界最深・カリガンダキ河をゆく」なぜ、地球にここだけ8千m峰が集中しているのか?深さ数千メートル<世界最深の谷>の底へ決死の下降!そこで発見した<謎の赤い結晶>からヒマラヤ大隆起のメカニズムが導かれる。さらに、1万mを超える<スーパーヒマラヤ>の痕跡を求め、幻の王国・ムスタンへ!そこで目の当たりにしたS字の<謎の大褶曲層>が物語るものとは!?ヒマラヤ大奇観を堪能、その誕生の真説に迫る。》
http://www4.nhk.or.jp/greatnature/x/2017-01-02/10/21222/1878255/
 弊社ジン・ネットはじまって以来の大型番組です。零細企業としては背伸びして挑戦しましたが、楽しんでもらえればと思います。
 私はこの番組の直接の担当ではないが、企画段階で調査を少しお手伝いした。そのとき、ヒマラヤの造山運動が地球の成り立ちの謎を解くことにつながっていることを知って興奮した。本格的な登山装備で長期の大変な取材を敢行した取材スタッフ、編集協力のみなさんの苦労は並大抵のものではなかった。ぜひごらんください。
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 きのう、刑務所にいる友人から手紙が届いた。
 彼は8年前、海外から大量の覚醒剤を運び込もうとして成田空港で逮捕され、14年の判決を受けた。事情があってヤミ金融から巨額を借り、返せなくなって裏社会から追い込みをかけられ、覚醒剤で一気に清算しようとした結果だった。罪を憎んで・・じゃないけど、彼の罪は罪として、じっさい憎めない人である。
 手紙には、もし逮捕されなかったら「おそらくこの世にいなかったはず」だとある。中国で逮捕されて死刑になったか、糖尿病が悪化して病死しているだろうから。刑務所では禁酒で規則正しい生活を送り、体調は最高だそうだ。だから「今の生活に感謝していますし、また満足しています」という。刑務所の中の生活に感謝し満足しているとはすばらしい。なかには精神的に異常をきたす人もいるというのに。
 でも欲しいものが一つだけあって、それは「甘い食べ物」だそうだ。以前は見向きもしなかったのに「今はテレビで甘い食べ物が放送されたりすると涎を垂らしながら見ています」。
 月に一度だけ500円分のお菓子を自分のお金で買って食べられる日があって、とても楽しみであること、休日には受刑者全員にお菓子一品(ビスケットまたはポテトチップス、チョコレートなど)が配給されることなど、お菓子の話がいろいろ綴ってある。
 彼がいるのは栃木県の黒羽刑務所で、「禁固刑受刑者・初犯で暴力団組織に所属していない者・外国人を収容する男子刑務所」。収監されている1,100人のうち、3〜4割が「薬物関係(覚醒剤)」で、次に多いのが「高齢者による窃盗・詐欺」だという。やはり世相が現れているものである。「ジャーナリストの視線で周りを見」、たくさんの受刑者に「インタビュー形式で根掘り葉掘り聞き出したり」「研究して」いるそうだから、出たら本が書けるかもしれない。
 年末の楽しみは、正月の連休期間中、6種類のお菓子の詰め合わせの袋が配られることだそうだ。大いに楽しんでほしい。もっとも「皆、もらったらすぐその場で完食してしまう」そうだ。
 紅白をつけっぱなしでこのブログを書いていたら、高橋真梨子が出てきたので手を休める。いいですねえ。さあ一杯呑んで新年を迎えようか。
 みなさん、よいお年をお迎えください。
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 年を締めくくるにあたって、今年読んだ本、観た映画やイベントで、とてもよかったもの、影響を受けたものを挙げてみる。
 本では、渡邉格『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』、鬼海弘雄『普通のひと』、大井玄『呆けたカントに理性はあるか』、三浦小太郎『渡辺京二』、渡辺京二『荒野に立つ虹』、同『未踏の野を過ぎて』、同『なぜいま人類か』、同『近代という呪い』、石井光太『「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち』、清水潔『「南京事件」を調査せよ』、『不知火―石牟礼道子コスモロジー』など。三浦さんの本に触発されて、圧倒的に渡辺京二の年だったなあ。
 映画では、『ヤクザと憲法』、『桜の樹の下で』、『スポットライト』、『FAKE』、『シリアモナムール』、『ふたりの桃源郷』、『さとにきたらええやん』、『放浪の画家ピロスマニ』、『風は生きよという』。「フツーの社会」からこぼれる人に関心が向いた年だった。
 その他展示などでは、アウシュビッツ収容所への訪問、京都の海住山寺への参拝、『マルチン・チャンビ写真展』、『若冲展』など。

 いろいろあったな。勉強になりました!来年もおもしろいことがたくさんありますように。