「解放」された常岡さんを叱る

クルド自治区政府に拘束されていたジャーナリスト常岡浩介さんからきょう午後4時45分に「解放されました。元気です」と電話があった。首都エルビルの空港ですでに飛行機に乗っているという。
とりあえずよかった。ご心配いただいたみなさま、ありがとうございました。
クルド自治区政府の治安機関「アサイシ」に先月27日から拘束され尋問されていた常岡さんは捜査未了のまま強制退去となり、空港で日本大使館に身柄を渡されたという。明日夕方成田着の便で帰国となる。
常岡さんによれば、手荒な取り調べは一切なく、毎日食事に肉も出て扱いはよかったようだ。困ったのは独房が臭いことだけだったという。

ツイッターで常岡さんの「解放」をお知らせすると、いろんな方から「よかったね」とのメッセージをいただく。
私の前に常岡さんは「釈放なう。明日、夕方帰国いたします。ご心配おかけいたしました。皆さま、ありがとう」とツイートしていた。
驚いたのは次のツイート。
「二年前の取材で入手したISのキーホルダーを資料として持っていたのですが、大統領記者会見のセキュリティーチェックでこれが問題とされ、ISのメンバーではないかという疑いで逮捕、尋問を受けていました。クルド当局のみなさまにはご説明いたしましたが、ぼくの無実を信じていただきたいです。」

ISのキーホルダーを持ってクルド人地区に取材に行くなど、非常識極まりない。不注意ですまされない失態である。
クルド人にとってISは、同胞を大量に虐殺、レイプされ、多くのコミュニティを破壊されてきた不倶戴天の敵。しかもISとの戦闘中に開かれるクルド自治区政府のバルザニ大統領の記者会見である。ISのテロを警戒している最中に、そんなものを持った人物が会見場に行こうというのだから、「すわ、暗殺か!」となるのも当然だ。
アサイシは、ISの旗の前で自動小銃をもって微笑む常岡さんの写真などをネット上で見つけ、ますます疑惑を募らせただろう。この写真は、現地紙が記事に掲載したという。そもそも、常岡さん、こんな写真を公開すべきではなかった。
今回は、外務省、大使館が邦人保護で動いてくれ2週間足らずの拘束で済んだが、ひとつ間違えば、とんでもない大ごとになっていたかもしれない。
帰国したら叱ってやらなくては。