常岡浩介さんのモスル奪還作戦の戦場リポートを見逃した方は、Youtubeでご覧ください。番組開始から28分あたりで始まります。https://www.youtube.com/watch?v=YSwr_ehcln0
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きのう常岡浩介さんが世話になっていたフィクサーが負傷したと書いたが、彼はすぐに戦場取材に復帰したという。
常岡さんのFBより。
《今回、ぼくの取材許可を取ってくれた超敏腕フィクサのユーヌスは、戦場でぼくより先に進んで、額を撃たれた。でも、翌々日には包帯巻いて戦場に戻っていた。典型的なクルドの男だ。》 http://fb.me/8f8JMRet6
ユーヌス氏の写真が別のサイトにのっている。
フィクサーと日本語でいうと、闇商売みたいな印象になるが、取材の調整、アレンジを行う、戦場取材にはなくてはならない人たちだ。ユーヌス氏はとても優秀なフィクサーで、複数のメディアをかけもちで世話しているという。自分の身の危険もあり、大変な仕事である。
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南スーダンで7月、政府軍にNGOが襲われて、殺害、暴行、略奪が行われたことを先日紹介した。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20161012
このとき、援助要請にもとづき駆けつけるべきPKO部隊が出動していなかったことがわかった。
《【ヨハネスブルク=共同】南スーダンの首都ジュバの民間宿泊施設が七月に襲撃された際、出動命令が下されたにもかかわらず、国連平和維持活動(PKO)の南スーダン派遣団(UNMISS)が出動しなかったことが分かった。部隊の一部が危険な現場の状況を懸念したとみられる。国際社会で非難の声が上がり、国連の潘基文(バンキムン)事務総長は経緯を調査する考えを表明した。
市民保護を最重要任務とするUNMISSには陸上自衛隊も参加しており、新任務「駆け付け警護」が付与された場合、対象となり得る案件。新任務に高い危険が伴う可能性を物語るとともに、出動の判断も国際社会の厳しい目にさらされることになりそうだ。
襲撃されたのはUNMISS司令部から約一キロの宿泊施設。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、国際機関の職員ら約五十人が滞在していた。
政府軍兵士らが地元記者を殺害し、外国人の女性らを暴行。数時間にわたり略奪を続けた。現場から電話で国連に救助要請があったが、UNMISSは部隊を派遣しなかった。
米国の非政府組織(NGO)「紛争市民センター」は報告書で「UNMISS内部で出動命令が下されたが、中国とエチオピアの部隊が出動を拒んだ」と指摘。中国部隊は準備が整っていないことを理由に挙げたが、施設に向かう途中にも戦車や数百人の政府軍兵士がいたため、出動は危険と判断したもようだ。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは二十五日「市民が殺されるのを傍観した」とUNMISSの失態を非難した。
南スーダン政府はUNMISSが反政府側を支援しているとの疑念を持っている。このため、UNMISSは政府から活動を妨害されており、これが失態の遠因になったとの見方もある。》
現地はそれだけ危ないのである。国際機関を襲っているのが政府軍となれば、本格的な戦闘になり、こちらがやられる可能性もある。出動命令を受けた中国とエチオピアの部隊の腰が引けたのも当然だ。
出動しなかったことを批判された国連としては、今後はビビらないでちゃんと戦うように、と指示することになるだろう。つまり、もっと積極的に戦えと。
一方、政府は「派遣継続に関する基本的な考え方」という文書をきのう発表した。
冒頭の「情勢」で、《治安情勢は、きわめて厳しい》《邦人に対して、首都ジュバを含め、南スーダン全土に「退避勧告」を出している。これは、最も厳しいレベル四の措置であり、治安情勢が厳しいことは十分承知している》と書きながら、とんでもない屁理屈が書き連ねてある。
《PKO参加五原則については、憲法に合致した活動であることを担保するものである。この場合、議論すべきは、我が国における、法的な意味における「武力紛争」が発生しているか、であり、具体的には「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為」が発生しているかである。》
《南スーダンの治安状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態が度々生じているが、武力紛争の当事者(紛争当事者)となり得る「国家に準ずる組織」は存在しておらず、当該事態は「戦闘行為」が発生したと評価し得るものではない。
また、我が国における、法的な意味における「武力紛争」が発生したとは考えていない。》
《今後も、南スーダンにおいて「武力衝突」の発生は十分に予想されるが、PKO参加五原則は、引き続き、維持されるものと考えている。》
南スーダンでは、大統領派と副大統領派と政府軍が二派に分かれて戦っている。これを「国家に準ずる組織」でないと強弁するのである。PKO五原則が維持されるという結論ありきなのだから、どんなにひどい事態になっても「戦闘」ではなく「衝突」だということになってしまう。
Http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201610/__icsFiles/afieldfile/2016/10/25/20161025shiryou.pdf
かつて(2004年)、イラク全土に非常事態宣言が出され、米軍がファルージャで武装勢力に大規模攻勢を続けていたころ、小泉首相が、イラク復興支援特措法が定める「非戦闘地域」の定義について「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と言い放ったのを思い出す。