日本でも流行しそうなマインドフルネス瞑想

takase222016-09-28

午後の仕事中、テレビに目を向けると都知事の所信表明が生中継されていた。
自分の言葉で、分かりやすく、しかも堂々と訴える知事に、ヤジも全く飛ばない。選挙前、あれだけ小池百合子氏を攻撃していた自民党もシンとしている。オリンピック会場の大幅見直しという思いきった策も打ち出した。大したものだ。
状況が彼女に舞台を用意したということだろうか。まさに小池劇場が華々しく幕開けした。大衆の要求に応えつつ、分かりやすい政治をやるというのは、支持勢力が圧倒的少数の議会におけるポピュリスト首長の良いところなのだろう。都民の小池支持率はたぶん8割くらいになっているのではないか。
おかげで、都政に関心を持つようになった人は多いはずだ。都議会のオープニングに生の弦楽四重奏が25万円の経費で奏でられるなどというのも初めて知った。これまで隠されていた都政の不条理がどこまで暴露されるのか、楽しみだ。
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マインドフルネス瞑想が流行ってきている。
きょうの「ためしてガッテン」で、認知症うつ病に効くと紹介されたらしい。以前、NHKの「キラーストレス」の特集でも取り上げられていた。最近テレビはじめメディアへの露出が著しい。
スティーブ・ジョブズが「瞑想するCEO」として日本人の禅僧の指導を受けていたことは知られているが、当時、彼はまだ少数派だった。いまやアメリカではマインドフルネス瞑想が大ブームになっており、グーグルなど多くの超一流企業が会社として瞑想を採用、瞑想指導者を招き、社内にメディテーションルームを設置して休み時間に瞑想を奨励するまでになっている。芸術家からアスリートまで、「意識高い系」の人がマインドフルネス瞑想するのはもう当たり前なのだ。

なぜこんな大流行にいたったのか。創始者のジョン・カバット=ジンは、MIT(マサチューセッツ工科大学)在学中、禅とヴィパッサナー瞑想(小乗の瞑想)に出会って熱心に修練を積んだという。そして、彼は瞑想を治療法(MBSR―マインドフルネス・ストレス低減法)として病院やクリニックに持ち込んだ。これがターニングポイントになったようだ。つまり、瞑想法を宗教から完全に切り離したのだった。
彼は「『スピリチュアル』という言葉は私にとって忌むべきものとして、意図的に使うのを避けている」とまでいう。
ヨガだって、インド大乗仏教の正統派に瑜伽行(ゆがぎょう)派(=唯識重視の系統、瑜伽はヨガのこと)があったくらいで、もともとは覚りをもとめる瞑想だったのが、身体のコントロール技法に特化し、健康法に純化することで世界に広まった。
宗教、スピリチュアルと切り離されたマインドフルネス瞑想が、ストレスの軽減、免疫力の強化などの身体的・精神的効果を示したことから、しだいに企業文化に取り入れられていく。その目的は、集中力を高めて仕事の効率を上げ、創造力や協調性にも効果があることだという。
いいことなんだろうが、意地悪な見方をすると、要するに企業の利益を上げる手段なんでしょ、となる。
ただ、いくつかの企業での実践で、瞑想を実践した社員が、単なる企業の利益増大とは別な方向に意識が向くようになるというおもしろい現象が出てきている。
(つづく)