夜、チチチと虫の声が・・・。猛暑のなかに次の季節の兆しを感じる。
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カヌーのスラロームというのをはじめて見た。
羽根田卓也選手が史上日本初の銅メダルをとり、顔を覆って泣いていた。高校を卒業後すぐにスロバキアに単身わたり留学したという。知られざる世界である。ここまで、大変だったんだろうなあ。
連日もりあがっているところ、恐縮だが、ここで、オリンピックとは利権の塊のような催しらしいという話をしたい。
以下に紹介するのは、山形に住む私の友人が書いた、カヌーがらみの気になるブログ。こんな猛暑のなかなぜオリンピックを夏にやるのか、不思議に思っていたが、そのことも書いてある。
《(略)都市伝説ならぬ都市怪談のような話を聞きました。2020年に開かれる東京オリンピックのために、東京の江戸川区にカヌーのスラロームコースを造る計画があるというのです。カヌーのスラローム競技は、300メートルほどの激流に旗門を設けてカヌーで下り、タイムを競うものです。スキーの回転のカヌー版のような競技です。仰天して調べてみたら、本当の話でした。
東京都オリンピック・パラリンピック準備局のホームページに計画の概要が掲載されています。それによると、東京都立葛西臨海公園の隣にある都有地に水路を造り、国内で初めての人工的なカヌーのスラロームコースを整備する、となっています。上流に巨大な貯水池を建造し、大量の水を流して急流を造り、そこをカヌーで下る。流れ落ちた水は揚水ポンプでまた貯水池に戻す、という計画です。要するに、税金で東京に渓流を造ってカヌー競技を開催する、というわけです。
あきれました。東京オリンピックの開催を推進する人たちがどういう思考の持ち主かを象徴的に示しています。カヌーに限らず、ヨットやサーフィンは自然の中で行う競技です。実際、カヌーのスラローム競技は富山県の井田川や岐阜県の揖斐(いび)川、福島県の阿武隈川などで開かれています。ただし、水量が豊富でなければなりませんから、大会は雪解け水が流れる春先か秋雨の集まる時期に開かれるのが普通です。
しかし、東京の中心部にはそうした川はありません。東京近郊の川を活用することも考えられますが、2020年東京五輪は7月下旬から8月上旬にかけての開催ですから、渇水期でカヌー競技はとても無理です。そこで「人工的に造ってしまえ」となったのでしょう。いったい、いくらかかるのか。組織委員会も東京都も試算を示していませんが、建設費は数十億円あるいは数百億円の規模になると見込まれます。
建設だけでなく、維持管理も大変です。建設系シンクタンクを経営する橋爪慶介氏の試算によれば、カヌースラロームの競技をするとなると、少なくとも毎秒13トンの水量が必要で、その水を貯水池に揚水するための電気代だけで、年に60日動かすとして1億1300万円もかかります。これに施設維持のための人件費や管理費が加わります。橋爪氏が「恒久的な施設を造るべきではない。自然の中で開催すべきだ」と見直しを提言したのは当然でしょう。
ですが、この提言に従えば、上記のような川の水量の問題があり、夏に自然の川でカヌースラローム競技を開催するのは困難になります。議論は、そもそも東京で夏にオリンピックを開催することには無理がある、という振り出しに戻ってしまうのです。熱中症が多発するような時期になぜ開くのか、と。では、開催時期を変更することは可能か。東京五輪の夏季開催を決めたのは、巨額の放映権料を支払う世界の(具体的には主にアメリカの)テレビ局の意向を踏まえたもの、とされています。とすれば、開催時期の変更は困難です。時期を変えれば、テレビ各社に莫大な違約金を払わなければならないからです。
思えば、1964年の東京五輪の開催を担った人たちは、とてもまともな人たちでした。東京でスポーツ大会を開くなら、気候が良くて晴れも多い10月と素直に考え、粛々と準備を進めました。それが人々の記憶に残る見事な五輪大会となって結実したのです。それに引き換え、2020年東京五輪を担う人たちには、なんと胡散臭い人が多いことか。(以下略)》http://www.bunanomori.org/NucleusCMS_3.41Release/?itemid=717
カヌー競技場について早急な見直しを求める橋爪氏の提言は、http://www.dexte-k.com/image/lobbying/lobbying(proposal_of_the_temporary_stadium).pdf
リオでも、こういう視点でオリンピックを見直せば、東京につながる大事な教訓が見つかるのではないか。
夏休みで、明日から1週間くらいブログもお休みします。よいお盆をおすごしください。