国谷裕子キャスターの「フェアネス」

takase222016-01-11

連休中は家でパソコンに向って仕事をしていた。
きのうは散歩がてら買い物に出る。
見事な椿が咲いていた。花の少ない季節、あでやかさが際立つ。


公園では、子どもたちが凧揚げをしていた。こういう安寧な光景が続いてほしい。


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報道ステーション」の古舘伊知郎、「NEWS23」の岸井成格、「クローズアップ現代」の国谷裕子と、立て続けに、なじみのテレビキャスターの降板が発表された。

官邸からの圧力が取りざたされているが、状況からいえば、官邸の意向をテレビ局側が忖度した可能性は十分にあると思う。
古舘氏の歯切れよい政府批判を私は気に入っていたが、視聴率の高い番組だけに、政権側には目の上のタンコブだったろう。
国谷裕子氏の降板については、元NHKアナウンサーの堀潤氏が、ツイッターに《菅官房長官出演以降、現場の元同僚や後輩たちからは「政治ネタを扱いにくくなった」と聞いていたクロ現。ついに骨抜きに。》と書き込んでおり、NHK職員のなかには、「上」からの統制強化策の一つとして受け取る人がいることを示している。

以下の朝日新聞の記事は、「上」の政治的な判断があったことを示唆している。
《NHK関係者によると、クロ現を担当する大型企画開発センターは続投を強く求めたが、上層部は「内容を一新する」という方針を昨年末に決定。同センターを通じ、国谷さんにも契約を更新しない方針を伝えた。後任は同局アナウンサーを軸に検討しているという。
 国谷さんは「プロデューサーのみなさんが、編成枠が変わってもキャスターは継続したいと主張したと聞いて、これまで続けてきて良かったと思っている」と周囲に話しているという。》
国谷氏のスタンスは、古舘氏とは違って、自分の意見を抑制していた。国谷氏が官邸に不快を与えたのは、彼女が自身の偏向した意見を述べたからではなく、番組中に菅義偉官房長官解釈改憲の問題で鋭く突っ込み、菅氏がしどろもどろになったことだとされる。
欧米のキャスターなら突っ込んで当然のところだし、答えられない方が悪いのだから、もし上の理由であるとすれば理不尽な話だ。
非常に有能なキャスターで、降板は残念である。

国谷氏が、キャスターが自分の意見を言っていいのかどうかについて語った興味深い対談があるので、紹介しよう。
婦人公論』2013年8月6日で上野千鶴子氏が国谷氏に、原発再稼働について、キャスターは自分の意見を言ってはいけないのかどうか、自分の立場を表明できないことにフラストレーションを感じないかと突っ込んださいの答えである。
「フラストレーションを感じていても自分の意見を出さないのがキャスターだと思っています。どうすればフェアなキャスターになりうるのか。反対の意見を持つ人に対しても、賛成の人に対しても、権力者に対しても、聞かないといけない質問をしていくことでフェアネスを保つ。それがテレビジャーナリズムの責任だと考えています。
上野:フェアネスというのは、何も両論併記ではあるまい、と思いますが。
「キャスターは、事実に基づいて問いを発していく、様々な角度からゲストにそして結果的には視聴者に問いかけていく役割だと思うのです。私自身の立場は鮮明にしていません。」
上野:番組で表明されなくても、一市民として意見を述べられては?
「それが結果として番組と結びつけられるということを恐れますね。」
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実にまっとうで多くの視聴者から同意を得られるスタンスだと思う。どの立場の人でも批判できないはずだ。
彼女はこのポリシーにもとづいて、菅官房長官に「聞かないといけない質問をし」たのだ。もし、このために降板させられたとしたら非常に憂慮すべき事態である。