安田純平さん身代金要求は真っ赤なウソ?!

いま弊社では、世界各地で緊急医療支援を行う「国境なき医師団」(MSF)に関する番組が編集最終盤。きょうはスタジオでナレーション録りをやっていた。
すると、テレビや新聞から私のスマホに立て続けに問い合わせの電話が来た。
ジャーナリスト、安田純平さんの拘束話が一斉に出て、各社が続報に動いているのだ。
この騒ぎをつくったのは、同じ「国境なき」でも「国境なき記者団」(RSF)の声明。安田純平さんを拘束する武装組織が身代金を要求し、払わないと安田さんを殺すか、他の組織に売り払うカウントダウンが始まったという衝撃情報だった。
マスコミは、これをほぼそのまま伝えた。
これが名もない団体なら、声明の内容が事実かどうか確認するまでは報じなかっただろうが、幸か不幸か「国境なき記者団」は名前の通った国際組織だから、当然、信憑性のある情報だと思われたのだろう。
これに対して、安田さん拘束事件の内情を知る人たちが、「デマだ」と声を上げている。
まず、安田さんと個人的にも親しく、安田さんからシリアに入ったという連絡を受けたおそらく唯一の日本人であるジャーナリスト常岡浩介さん

安田さんは、6月23日にトルコから徒歩で山越えしてシリアに入った直後、常岡さんに「いまシリアです。どこだかさっぱり分からんけど。」と知らせていた。

常岡さんはツイッターでこう書く。
《現時点でぼくが得ている情報ではこの記事(国境なき記者団の声明)は真っ赤なデマ。確認します》
国境なき記者団に確認しました。家族にも日本政府にも身の代金要求はないが、セキュリティーコンサルタント会社CTSSのニルス・ビルト氏に対して誘拐犯は数日後の期限を切って身の代金を要求したそうです。しかし、ビルト氏は家族や日本政府の代理人ではなく、家族と連絡すら取っていません。
《家族や外務省の了承もなく、勝手に犯人に接触して、金銭要求を伝えてきている状況です。それでは、犯人側に荷担していることになってしまいます。ビルト氏は先月末には「安田はもう死んだ」といって、お悔やみのメールを家族に送りつけてきたりしていました。

ニルス・ビルト氏の所属するCTSSとは、「イスラム国」に拘束された後藤健二さんの家族が頼ったセキュリティー会社。
ビルト氏は、安田さんを拘束するシリアの武装勢力(の周辺)と独自にコンタクト、交渉している様子を発信。日本の外務省が彼を相手にしないことを激しく批判していた。先月には、安田さんの死亡情報を流したが、それは後に覆された。

また、独自に情報を集めてきたジャパンプレス(シリアで死亡した山本美香さんが所属していた)のジャーナリスト、藤原亮司さんは;
《ずっとこの件についての発言は控えてきたが、今回は腹に据えかねるので言う。安田純平氏に関する国境なき記者団の声明の根拠は何の裏付けもない、ただの噂レベル。軽々しい声明を出した国境なき記者団と、自称危機管理会社CTSSのスウェーデン人、ニルス・ビルド詐欺師に激しい怒りを覚える。》
安田純平氏の件について、独自取材もしない「国境なき記者団」がなぜ情報を知り得るのか?そこには何者かからのリークがあったからだが、国境なき記者団は情報源についての言及はひと言もない。つまり公表もできない程度の情報でしかないということだ》
安田純平氏の件について、国境なき記者団にガセネタを持ち込んだのは、おそらくCTSSという自称危機管理会社のスウェーデン人詐欺師、ニルス・ビルト。自分も誘拐ビジネスにいっちょ噛ませろと政府にアピール続けたが相手にされず、記者団を使った。記者団も裏も取れないのにまんまと乗った愚行》

すべてのテレビ、新聞が大々的に報じた「身代金要求のカウントダウン」は、真っ赤なウソなのか。
国境なき記者団」の声明にはウラがありそうだ。
(つづく)