気がかりな湯川遥菜氏の安否

takase222014-08-19

シリアで、イスラム国に拘束されている湯川遥菜さんの安否が気がかりだ。
イスラム国は、その支配に従わないものや異教徒をためらいなく殺すという。
ユーチューブで見るかぎり、湯川さんは「敵」として手荒く扱われており、「CIAのスパイだろう」と厳しく追求されている。何より彼が銃を持っていたのが致命的だ。これでは、自分はカメラマンだなどと言っても通用しないだろう。もし、カメラマンだと納得させることに成功したとしても、安全ではない。
ある日本人ジャーナリストがイスラム国を取材しようとしたら、すぐに立ち去らないと殺す、と脅迫され、あわてて逃げたと聞いた。
イスラム国に入って取材した日本人ジャーナリストは、私の知る限り、常岡浩介さんと横田徹さんくらいしかいないが、二人とも特別なツテがあってやっと取材できたのだ。それでもほとんどの場所で撮影禁止だったという。

あるワイドショーで、ゲストが、山本美香さんは殉職だったが、湯川さんの行動は無謀で、全く違うとコメントしていた。
私も、湯川さんは身のほど知らずだったと思うが、殺されて良いわけではない。
10年前、イラクで起きた香田証生さん(写真)の事件を思い出した。
香田さんは当時24歳。フリーターだった香田さんは、ニュージーランドにワーキングホリデーで滞在、そのあと、イラクで何が起きているか自分の目で見たいと現地に入った。
武装グループに捕まり、ネット上で命乞いの訴えをさせられた後、首を切られて殺された。犯行グループは、残酷にも、殺害の瞬間をネットの動画で公開した。
こんな衝撃的な前代未聞の事件だったのだが、香田さんの死は悼まれるどころか、フリーターが危険地を見物に行くとは何事かとバッシングされ、無視されたのだった。
犯行声明を出したのは、「イラクの聖戦アル=カーイダ組織」で、これが改名していまの「イスラム国」になった。つまり同一組織である。

湯川さんの父親が、テレビのインタビューに「私の育て方が間違っていました」と涙ながらに語っていたのが痛々しかった。
10年前と同じことが繰り返されないことを祈る。