北朝鮮の「人道に対する罪」を暴露する映画

takase222014-03-01

きのうはとても暖かく、初めてコートなしで出かける。
仕事で中野坂上に行くと同行したSディレクターが、近くに桜が咲いているという。彼は家が近所でよく知っているのだ。成願寺というお寺にちょっとチャイナ風の門があり、そのそばにしだれ桜が咲き誇っていた。すっかり春気分だ。
きょうは雨が降るなか、渋谷(ユーロスペース)に映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」を観に行く。
《世界中の映画祭で衝撃的な内容が大きな話題を呼んだドキュメンタリー!!
北朝鮮政治犯強制収容所第14号管理所で、政治犯の両親の“表彰結婚”の結果として生を受け、生まれながらの政治犯として育った申東赫(シン・ドンヒョク)。「北朝鮮強制収容所に生まれて」は、2005年、収容所から脱出して現在は韓国に暮らすシン・ドンヒョクの想像を絶する半生と、北朝鮮強制収容所の実態を、本人へのインタビューをもとにドイツ人監督が描きだしたドキュメンタリーです。映画は脱北した元北朝鮮の秘密警察員オ・ヨンナムと、虐待、拷問、処刑を行っていたクォン・ヒョクにも取材。衝撃的な内容に、世界の映画人が驚きの声を上げた作品です》
http://www.u-picc.com/umarete/
シンさんは、北朝鮮強制収容所の中で生まれたという稀有な人物だ。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140128
北朝鮮の収容所は、ナチスの収容所より酷いといわれ、人間が「尻尾のないケモノ」として扱われる地獄以下の場所だ。
若いカップルなどもいてほぼ満席。前宣伝が効果的だったのか。この映画は、ほとんどがインタビューで構成されていて、実に地味なつくりなのだが、インタビューの力を十分に引き出している。
たとえば、シンさんは、母と兄が「逃亡」を企てていると密告し、その結果二人は彼の目の前で公開処刑されてしまうのだが、この顛末を語るシンさんの表情やしぐさには引き込まれる。しばらく話したあと沈黙があって、「きょうは、このへんでかんべんしてください。休みたい」という。地獄を生きたシンさんの内面を垣間見る。
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国連調査委員会が北朝鮮の人権に関する報告書を公表したが、ここでは事実上、体制打倒が主張されている。画期的な内容だ。
北朝鮮の人権状況を調べる国連調査委員会は17日、日本人ら外国人拉致や公開処刑などの残虐行為を挙げ、北朝鮮が国家最高レベルによる「人道に対する罪」を犯していると厳しく非難する最終報告書を公表した。国連安全保障理事会に対し、北朝鮮の犯罪を裁くため、国際刑事裁判所(ICC)への付託や、国連特別法廷の設置を勧告した。
 国連機関が北朝鮮の最高指導部による人道に対する罪を列挙し、国際的な審判を提起するのは異例。実際には拒否権を持つ中国が反対に回るとみられるため、北朝鮮が被告席に立たされる可能性はほぼないが、同国に対し国際的圧力が強まるのは必至だ。》【ジュネーブ共同】
「人道に対する罪」(crime against humanity)は、《「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」と規定される犯罪概念。ニュルンベルク裁判の基本法である国際軍事裁判所憲章で初めて規定され、1998年の国際刑事裁判所ローマ規程において「人道に対する犯罪」として定義された。現在ではジェノサイド、戦争犯罪とともに「国際法上の犯罪」[1]を構成する。戦時、平時に拘わらない。》(Wiki)
人道に対する罪を犯している国家体制は変更されるべしというのが、今の国際社会の合意である。報告書は北朝鮮に対して「全体主義」という言葉を使っているとのことで、「7人の会」で出した声明と認識を同じくする。
ぜひ全文を読んでみたい。