のちの日本必ずや立ちあがらん

takase222013-10-09

ここが「ヒミツ基地」なんだよ!
シーちゃん(8歳)が案内してくれた。
旧知の戦場ジャーナリストEさんは自分でログハウスを作って住んでいる。その娘が実におてんばで、遊ぼう!とあっちこっち引き回されて大変だった。このヒミツ基地を教えたのは私が5人目だとのことで、光栄にも「仲間」に認定されたらしい。
おれも子どものころ、ヒミツ基地があったなあ。
・ ・・・
今朝の朝日の天声人語で韓国の詩人、高銀(コウン)の3.11を詠んだ詩が紹介されていた。
日韓関係の冷却化のなかで見直そうと言う趣旨で、最後は「海峡を越えて、こうした言葉が往き来しないか」と結んでいる。
これは注釈なしに、ただ紹介したい。
なお、この韓国詩人。高銀(コウン)はここ数年ノーベル文学賞候補になっている。

日本への礼儀
          高銀  訳:青柳優子
どうして あの空前絶後の災難に
口をあけ
空言を吐けようか
どうして あの目の前のまっ暗な破局
口をつぐみ
顔をそむけられようか
なすすべもなく ただただ画面を見つめる
何千とも
何万ともわからぬ 日常の善良な生命(いのち)のむれ
もはや生きられぬ
母さんも
じいちゃんも 押し流された
父さんも
姉さんも 友だちも 汚泥の山のどこかに埋もれた
あんなにも大事にしていた あなたがたの家
みな流れていった
船が陸(おか)にあがってひっくり返り
車がおもちゃのように流れていった ミルクも水もない

人間の安楽とは いかに不運であることか
人間の分明とは いかに無明であることか
人間の場とは いかに虚妄であることか
あの唐山 あのインドネシア
あのハイチ
あのニュージーランド
今日ふたたび 日本の事変で
人類は 人類の不幸で 自らを語る

しかしながら 日本は今更にうつくしい
決してこの不幸の極限に沈没せず
犯罪も
買占めも
混乱もなく
相手のことを自分のことと
自分のことを相手のことと思い
この極限を耐えぬいて ついにうち克つ

今日の日本は
ふたたび明日の日本だ

わが隣人 日本の苦痛よ その苦痛の次よ
いまの日本をもって
のちの日本 必ずや立ちあがらん

(世界 2011年5月号より)