シリアの子ども100万人が難民に200万人が国内避難民に

takase222013-09-02

いまシリアには、多くの外国人武装勢力が入り込んで、去年とは様変わりしているようだ。
去年は反政府軍といえば「自由シリア軍」で、フリージャーナリストの安田純平さんが取材した映像には、地元の青年たちが政府軍から調達した武器で戦い、解放した町では住民自治が行われているようすが映っていた。中央政府VS自由を求める市民という分かりやすい構図だった。
ところが、今年の4月にシリア入りした常岡浩介さん(3年前アフガンで誘拐されたあの常岡さん)が従軍取材したのは、チェチェン人が司令官の外人部隊で、トルコ人や様々な国のアラブ人がいたという。きのうの「報ステサンデー」で常岡さんが撮影した映像が流れた。
反政府側に、アルカイダ系のヌスラ戦線など外国人義勇兵が大量に入り込んでいる一方で、政府軍にもイラン、イラクレバノンからシーア派義勇兵が助っ人に入っている。内線が長引くなか、戦争が国際化してしまった。
結果、シリア難民がどんどん増えている。UNHCRによれば、子どもの難民が100万人を超えたという。
ジュネーブ・ニューヨーク(8月23日)発 − 3年目に入って久しいシリア危機、故郷を追われ難民となったシリアの子どもたちの数は100万人を超えた。》
《UNHCRとUNICEFによればシリア紛争を逃れた難民の半数は子どもで占められている。その多くはレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトへ逃れ、さらには北アフリカ、ヨーロッパへ逃れる難民も増えている。最新の統計によると、およそ74万人は11歳に満たない子どもである。
国連人権高等弁務官事務所によると、シリア国内では紛争によって命を落とした子どもたちは7000人にものぼる。UNHCRとUNICEFは200万人以上の子どもたちがシリア国内で避難していると推計する。》
これだけに人数の子どもたちが、心身ともボロボロになっていることを想像すると「関係ない」と言っていられない。
《この人道危機によって多くの子どもたちは劇的な状況の変化、恐怖、ストレスやトラウマを受けているが、これはシリア危機のほんの一部に過ぎない。UNHCRとUNICEFは難民の子どもが児童労働、早すぎる結婚、さらには性的搾取や人身取引にさらされる危機に直面していると警鐘を鳴らしている。ヨルダン、レバノンイラクに逃れた子どものうち、3500人以上は、単独で、あるいは、家族や保護者とはぐれたままシリアの国境を越えた。》
http://www.unhcr.or.jp/html/2013/08/ws-130823.html
このままだと国民の犠牲が増えるばかりだ。
「戦闘をやめなさい!」と言ってやめるわけがないのだから、「人道介入」の道筋を早く作ってほしい。
カンボジアで成功したように、PKOの平和維持軍が入って、戦闘をやめさせ、自由な選挙を実現するというプロセスは、今のシリアではまだ無理そうだな。大国、周辺国の思惑が違いすぎる。
オバマが目指すミサイルによる限定攻撃は、アメリカ人の犠牲を出さずに毅然とした姿勢を示すという点をアピールしているが、内戦に実質的な変化をもたらすことはないだろう。
先行きがまったく見えないまま、戦火だけが激しくなっていく。