そっぽを向かれる震災番組

takase222013-07-28

うつむいて咲くナスの花。
鉢植えだが、たまに実がなるのがうれしい。
ナスといえば、「だし」がうまい。山形の料理である。
《よく冷やした野菜を、五ミリ大に荒くみじん切りにし混ぜ合わせ、醤油や酒、うま味調味料などで味付けした上で数時間から一晩ほど寝かせる。主に茄子、胡瓜などの夏野菜と、少量の紫蘇、茗荷、葱、生姜などの香味野菜を用いる
夏野菜と香味野菜を細かくきざみ、醤油などであえたもの
山形県在住の米国人タレントのダニエル・カールが、NHKの教育テレビ「きょうの料理」で紹介し、全国に知られるようになった。カールが紹介した「だし」は、この年に放映された「きょうの料理」のレシピで、視聴者からの問い合わせが最も多かった。》(Wikipedia
ウィキペディア読んでいて、だしがもともと尾花沢のものだと知った。かつて書いた文章では、故郷の置賜地方のものだと間違って紹介していた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100902
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前回、震災ものの番組が低い視聴率しかとれないと書いたら、ほんとうかと聞かれたので、NHKスペシャルの例を紹介しよう。
去年4月から今年5月まで見ると―
108回のうち、視聴率10%を超えた特集が15。
ダントツの1位は「深海の巨大イカ」(1月13日)で16.8%。これで、ダイオウイカブームを巻き起こした。
2位「父と子〜市川猿翁香川照之」が12.3%
いわゆる「社会派」が嫌われているのかというと、そうでもない。
3位は「ついのすみか〜終の住居はどこに 老人漂流社会」で12.0%
深刻なテーマでも、ちゃんと視聴者がついてきている。
震災関連でも、これからのリスクに関わる「MEGAQUAK 巨大地震」のシリーズはよく見られている。
4位以下
「MEGAQUAKE 第2回〜津波はどこまで巨大化するのか」(11.7%)
「キムジョンウン〜北朝鮮 権力の内幕」(11・4%)
「大海原の決闘!〜クジラ対シャチ」(11.3%)
「MEGAQUAKE 第3回〜”大変動期”最悪のシナリオに備えろ」(11.2%)
「ミラクルボディ 第2回〜内村航平 脅威の空中感覚」(10.6%)
と続いている。
逆に視聴率の低いものを探すと・・
原発事故調 最終報告〜解明された鍵 残された課題」(3・1%)
「震災を生きる子どもたち〜21人の輪」(3.3%)
その他、3%台は「激動イスラム第1回アラブの春はどこへ〜エジプト変質する民主化革命」(2月23日、3.9%)以外は、すべて震災ものがならぶ。
「シリーズ東日本大震災 “帰村”村長奮闘す〜福島・川内村の8か月」
「3.11 あの日から2年〜メルトダウン 原子炉”冷却”の死角」
「シリーズ東日本大震災 〜ふるさとの記憶をつなぐ」
震災、とくに原発事故がらみの特集は、視聴者にそっぽをむかれる傾向がはっきり出ているのである。原発事故の話など見たくないというのだ。
こうなると、視聴率をビジネスの中核に置く民放において震災を扱うことは非常にきびしくなる。「風化」はこうして進んでいく。

原発事故を考えたくない私たちが、自民党を圧勝させたのである。