山本太郎氏の当選に思う

takase222013-07-25

先週からの雨で山形県は酷い被害を受けているらしい。
 さらに、今週になって、私の田舎の南陽市もニュースに出た。
 《東北地方南部を中心に、22日夜から大雨が降り続いた。
先週の被害の爪痕が残っている山形・南陽市では、22日夕方から激しい雨が降り、住宅地を流れる織機川が氾濫した。
この影響で、近くの住民が、近隣の文化施設に避難し、一夜を明かしたほか、鶴岡市では建物が倒壊し、少なくとも300頭の豚が川に落ちた。
また、長井市と西川町で、あわせておよそ260人が孤立している。》(FNN)
 「鶴の恩返し」伝説の里で、織機川(おりはたがわ)も「機を織る」にちなんだ名前だ。実家は川の近くだが、母に電話したら大丈夫だとのこと。しかし知り合いもたくさん避難したという。はやく日常に戻るよう祈る。
(写真は織機川の氾濫。須刈田地区)
 最近の雨の降り方は異様だ。局地豪雨がやたらと多い。これも温暖化の影響だろう。
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 さて、選挙は予想どおり自民・公明の与党が圧勝し、維新、みんなが伸び悩み、共産が躍進した。
 自民の顔ぶれを見るとがっかりさせられるが、これも我々国民が選んだ結果である。
 山本太郎氏の当選は意外だった。
 たった一人で議会内ではほとんど力をもてないだろうが、市民運動では彼の影響力が拡大する可能性がある。反原発と言ってもいろいろあって、彼のような原理主義は反原発運動をまとめるより分裂させるのではないかと心配だ。とくに福島の被災者と都会の住民の間、そして移住希望者と残留希望者との間の亀裂を促進するのではないか。当選確実が出た直後の「報道ステーション」で彼はこう言った。
《そして食べ物ですね。食べ物、これ、1kgあたり100ベクレルっていうのは、去年の春から食品の安全基準として定められているんですけど、これは原発の敷地内から出てくる低レベル放射性廃棄物、それと同等なんです。
古舘:はい。
山本:この低レベル放射性廃棄物、中レベル高レベルと同じで100万年厳重に管理しなければいけないという事を、先日取材で伺ったドイツの放射線防護庁の方がおっしゃってた。
この国が今僕たちに与えているのは100万年管理しなければいけない放射性物質、それを食べても安全だというスタンスを取られちゃっている。これはどういう意味なんだよ?》
 こういう言い方で、市民を恐怖で脅していく手法には強い疑問を感じる。
 実際にはどうか。
 福島から出荷されている農作物は、多くが放射性物質未検出で、安心して食べられるものばかりだ。
 先日、福島県の西部にある会津地方で、レストランの店主から話を聞いたが、浜通りにある原発から遠く離れていても「福島県産」というだけで、今でも返品されることがあり、値崩れがひどい(ときには他県の10分の1)と嘆いていた。「私たち、ここでとれた野菜や米を美味しく食べてんですけどね」と寂しく笑う。
 帰り、高速のサービスエリアで食事をとったとき、そこは福島県なのに、わざわざ「使用している米は100%《山形産はえぬき》です」と壁にはってあったのが何とも悲しかった。
 ほんのわずかでも汚染はいやだというのは自然な感情だとしても、だからといって、今も人が住んでいる場所を「住んじゃいけないところ」と簡単にレッテルばりし、すぐに移動しないととんでもない事が起きると脅すことが何をもたらすのか。そこに住む被災者を絶望させ、混乱させるだけだ。
 政治家こそバランス感覚と常識が必要なはずだ。
 胎盤放射性セシウム濃度は、福島原発50km圏内に住む女性でさえ、頻繁に核実験があった後の1960年代半ばの日本およびカナダの値、そしてチェルノブイリ事故後86−87年のイタリア北部の値より低い」という研究もある。http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jog.12071/abstract
 福島の子どもたちを怖がらせることではなく、そこで結婚して子ども産んでも大丈夫だよ、と励ます事がいま求められているのではないか。