アルジェリア事件の背景は温暖化

講演会を二つやった。
一つは宇都宮ロータリーで「日本に伝わる緑の伝統」
参加者百数十名中、高校生が20人くらいいた。ここでは神社を中心に、日本列島に伝わる自然を畏怖する知恵について話した。
高校生たちは「平和と環境」について学んでいるとのことで、講演会のあと、分科会に分かれてしっかり討論していた。

鎌倉生涯教育センターでは「チェルノブイリから何を学ぶのか」。
こちらは、原発事故の怖さは、放射能よりも生活基盤を失ってデラシネになることで、福島はこれからが大変な時期に入るという話。
ちょっとせわしい時期だったので、あまり準備できずに、主催者に申し訳なかった。講演は数日前から何を話したらいいか考えて落ち着かなくなり、いつも「引き受けなければよかった」と思う。
それでも、自分のやるべきこと大きくとらえると、テレビにかぎらず「発信」をすることだと思うので、講演は続けるつもりだ。

どちらも環境に関係する話なので、アルジェリアを講演の「つかみ」にした。
「みなさん、今回のアルジェリアの事件が、地球温暖化に関係していることを知っていますか?」
えっ?まさか・・
事件を起こした武装グループの要求は、フランス軍の隣国マリへの侵攻をやめろということだった。今回のアルジェリアの事態はマリの情勢と連動しているのだ。 
マリでは近年治安が悪化し、武装した反政府勢力が北部の広い地域を支配し、内戦状態に陥っていた。そこに昨年秋、マリ政府の要請でフランス軍が乗り込み、激しい掃討作戦を展開中だ。今の情勢は;
《マリに軍事介入したフランス軍は1日までに、イスラム過激派武装勢力の拠点だった北部の要衝キダルをほぼ制圧した。1月31日にはキダル付近にある過激派の司令部を爆撃、フランス通信(AFP)などによると過激派の大部分が砂漠地帯に逃走したとみられる。
 仏軍はすでに、過激派の支配下にあった他の主要都市も奪還しており、今後は周辺国で構成される8千人規模の多国籍部隊に軍事作戦を引き継ぐ方針。
 一方、マリのタラオレ暫定大統領は31日、北部の遊牧民トゥアレグ人の反政府勢力「アザワド解放国民運動(MNLA)」が北部独立の主張を取り下げれば、「交渉する用意がある」と表明した。MNLAはイスラム過激派と同盟関係にあったが、現在は対立している。トゥアレグ人との和解を進め、過激派掃討への協力を取りつける狙いがありそうだ。》(産経)
本格的な「戦争」である。

このどこが地球温暖化と関係しているのか。
去年暮れ、国連難民高等弁務官が声明を出した。
そこではマリの情勢について、「気候変動が事態を引き起こしている要因の一つ」とはっきりと指摘している。
(つづく)