ジャーナリストの死は英雄視しなくてよい

takase222012-09-02

 今夜は面白いメンバーと飲んだ。
 アフガンで拉致された常岡浩介さん、イラクで拉致され、最近シリア取材でブレイクした安田純平さんと新宿で飲んだのだ。
 え、お前だけ拉致されていないんじゃないかって?
 実は、私、タイで最も権威ある“Nation”という新聞の第一面を飾ったジャーナリストなんです。「日本人ジャーナリスト陸軍のハラスメントを受ける」と。あのー、競うわけじゃないですけど、私も昔はイケイケだったわけで・・
 何度もいろんな形で「拘束」されているんですよ。詳細はまたいずれ。コンテストやってるわけじゃないですけど。
 で、いろいろ話す中で、戦地で亡くなったジャーナリストを英雄視するのはおかしいのではないかということになった。
 ここからは私の考えなのだが。
 危険地に向かうジャーナリストだけが「あぶない」職業ではない。
 社会には、身体、生命にリスクの高い職業がいくつもある。
 例えば、警察官、飛行機の操縦士、車の運転手などなど。大震災で、ほとんどボランティアベースと言ってよい人を含め、消防団員がたくさん殉職したが、緊急時を想定した仕事は一般に危険度が高い。
 今で言えば、尖閣周辺にいる海上保安庁の巡視船の乗組員は、かなりリスクが高い。
 万が一のことがあれば、私たちは感謝を奉げるのだと思う。
 だから、戦地でなくなったジャーナリストについては、「ありがとう」「ごくろうさま」が基本だと思っている。
 ミャンマーで亡くなった長井さんについては、ミャンマー政府を糾弾したが、ジャーナリストという民間人を殺すのは批判されて当然である。
ただ、それとは別に今後の教訓として、長井さんの危機管理の仕方への批判も私はあえて行った。

 これは今後の若いジャーナリストたちへの「他山の石」としてだ。
 今はすっかり「不倫ジャーナリスト」としてバラエティの人気者になった山路さんとも激しい論争をした。彼は長井さんの「上司」だったからだ。
 《私が、長井さんの取材のやり方にはフリーの弱点が出ていると指摘したら、山路さんが猛烈に反論。「僕らはたとえ準備不足であっても現場に飛び込むんですよ!」と机を叩かんばかりに熱弁をふるう場面もあった。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080625
 叩かんばかりじゃなくて、ほんとにバーンと叩いたのだが。
 まあ、それはいい。
 安全を最大限はかるのは当然だ。ではどうすればいいのか。安全を確保するのは、ヘルメットでも防弾チョッキでもない。
 山本美香さんは防弾チョッキを着ていたのにどうして死んだのか、とよく聞かれるが、普通の「防弾チョッキ」は小さい口径のピストルの弾を止めるのがやっと。通常の戦闘で使用されるいわゆる自動小銃カラシニコフM16など)の弾は貫通してしまう。
 実は、安全を確保するのは、「ハード」ではなく、「ソフト」なのである。
(つづく)