シリア反政府勢力の自治

takase222012-08-20

蝉の声がどこに行ってもついてくる。ねっとり暑い。
きょうも松田姉妹は朝日歌壇に入選。
日焼けする日ざし中二の夏休み黙って雲を見ている自由                  松田梨子(馬場選)
太陽がまだ飛び込んで来ないから一番乗りのプールは青い
                  松田わこ(佐佐木、高野選)
短歌など詠んだことのない私だが、こうやって「おっかけ」をしていると、歌風というものが分かってくる。一首示されて、姉妹どちらの歌かと聞かれれば、当てる自信がある。継続は力なり?
お、小二の理沙子ちゃんも入選している。
こつばめはおしりを外にふんをする江里さんちの車はシートをかぶってる
                  高橋理沙子(馬場選)
理沙子ちゃんは動物や虫が好きらしい。先月の入選作も「ふん」の歌だった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20120725
室文子ちゃんも。彼女も小学校低学年だと思うが、去年から常連で、きょうは、二首も選ばれている。
風ぬけるいこまの山のてっぺんで今年初めてのオニヤンマに会う(佐佐木選)
水ぶろにザブンととびこみあせ流すわが家の節電今日から開始(馬場選)
                  室文子(京都市
文子ちゃんは、今の子にしてはたくましい感性の持ち主で、好奇心旺盛な楽しい歌が多い。
夏の盛り、みながんばってるね。
・・・・・
安田純平さんが入ったラスタンという町は人口8万人。
今年一月には反政府勢力が解放していたこの町で、安田さんが見たのは、「無政府状態」ではなく草の根にささえられた「自治」だった。
市民生活を管轄する自治組織が出来ており、独自の法令も作られていた。

8割の住民は町から逃げたが、内戦で物流が途絶えているので、残る人々を食わせることが一大事だ。
市場に並べられたトマトや野菜は無料で市民に配られている。また、米や油、粉ミルクなどの食料品を必要とする家庭に配給するシステムがある。自治組織は、もと政府のパン工場も運営している。昼は空爆の危険があり、パンは夜製造している。
ガスや電気などのインフラも問題だ。街角にガスボンベを買う人の行列があった。これは自由シリア軍が、政府側の町にガスボンベを運ぶ車を止め、お金を払って買い取ったものを市民により安い値段で売っているのだという。
政権側から離反した警官を中心に警察も新たに組織されていた。
連日の砲爆撃による死傷者は、「地下クリニック」でボランティアの医師たちが治療にあたっていた。町の大きな病院は政府軍が接収して基地にしているため、近づけないのだ。救急システムもきちんと機能し、砲爆撃された現場には迅速に救急車がかけつける。
「地下クリニック」で処置できない重傷を負った者は、反政府勢力の地域を通ってトルコまで搬送される。
反政府勢力は、各地域ごとに独自に組織されているのだが、病人の搬送などの場合には助け合うという。取材を終えた安田さんは、ある病人とともに搬送車に乗ってトルコまで出たという。反政府勢力間には、ゆるやかな連携があり、身を以てそれを体験したというわけだ。
これだけしっかりした自治が行われていることに驚いた。反政府勢力の実態がはじめてよくわかった。単なる「戦争屋」の集団ではなかったことがはっきりした。やはり一次情報は大事だと思う。
戦争の取材というと、最前線の激しい戦闘シーンを狙うというイメージがあるが、本当に重要なのは、戦争の構造が分かることである。安田さんが撮ってきた銃後の暮らしにこそ、この内戦を理解するカギがある。その意味で、非常に意味のある取材だったと思う、
安田さんが撮影した直後、野菜市場や食料品の配給所が空爆され、廃墟となってトマトが散乱していた。また、クリニックも爆撃対象で、医師はスナイパーに狙われるという。政府軍は「自治」をつぶそうと、明確に市民に銃を向けている。
15日には「ヒューマンライツウォッチ」が検証できる場所、アザズで、市民40人以上が殺された。(写真は犠牲になった子どもたち)http://blog.livedoor.jp/taisa1978/archives/1656362.html
《シリア政府軍戦闘機によるアザズの住宅地への空爆で、子どもや女性を含む一般市民40人以上が死亡、少なくとも100人が負傷したと、アザズで現地調査をした後の本日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2012年8月15日の空爆では少なくとも2発の爆弾が、北部アレッポ州アザズ町のアルハラ・アルカブリー(al-Hara al-Kablie)居住区にある1区画を完全に破壊した。ヒューマン・ライツ・ウォッチ空爆の2時間後に現場に入って検証。目撃者や被害者、医療関係者、犠牲者の遺族から聞き取り調査を行った。》http://www.hrw.org/ja/news/2012/08/16/40
アザズは反政府勢力が強い地域なので外国人が入って調査できた。
国連シリア監視団(UNSMIS)が撤収を始めたが、市民虐殺が国際社会から見えなくなることを憂慮する。