安田純平が見たシリア内戦

takase222012-08-11

きょうのTBS「報道特集」の第二特集「内戦のシリアに潜入した日本人ジャーナリスト」
ごらんになりましたか。
放送後、安田さんと打ち上げをして、たらふく飲んで帰ってきたところです。
見逃した人は、あさって月曜の夜11時にTBSニュースバードで再放送を見てください。

今日の特集は、フリージャーナリスト安田純平さんが、レバノンからシリアに密入国し、5週間にわたって反政府側の「自由シリア軍」の支配地に滞在し取材した記録なのだが、これがすごい!
これ、私がプロデュースしたのだが、失礼ながら、予想以上に素晴らしい内容で驚いた。
シリア内戦に関して、ペン(文章による記事)もふくめ、これまで最も秀逸なドキュメントになったと思う。
今後もこれを越える内容の取材をすることはむずかしいだろう。

私自身、シリア内戦をどう捉えてよいか、迷っていた。こういう仕事をしていると、アサド政権は独裁だからダメ、反政府側は無条件に「よい人たち」という作られたイメージに乗っかるわけにはいかない。
詳しくは次回書くが、国際的には、実に多様な情報が流され、その中には意図的な情報操作も入っているので、シリア内戦の「実態」は、私にとって謎だったのである。
もう8年前で覚えていない人もいるかもしれないが、安田純平さんは、イラク武装勢力に捕まってニュースになった人。「危ないところに勝手に行って、みんなに迷惑かけるとはけしからん」とバッシングされた。
そのあと、彼はなんと軍事施設のコックをしながらイラクに滞在し『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』を書いた、いわば異色のジャーナリスト。ただ、もとは信濃毎日新聞の敏腕記者であり、ほんとうはイロモノではなく、正統派=オーソドックスの取材ができる実力派である。「イケメン」ジャーナリストとしてファンも多いらしい。
放送の反響は非常に大きく、私のツイッターのタイムラインだけでも30を超えるツイートがあった。報道特集の番組のツイッターでも大反響だったという。それだけ内容がすばらしかったのだ。
せっかくなので、ツイート名を伏せて、そのうちのごく一部を紹介したい。
まず最初に来たのが、畏友、アフガンで誘拐されて名を挙げた常岡浩介さん。常岡さんは名前を出しても怒らないだろう。
《すげえ。tweetも忘れて見てしまった。安田純平報道特集シリア。》
《テレビ越しの安田さんはやっぱりイケメンだった。戦場でも男前、汚いソファーに寝てても男前。人質仲間なのになんで違うのかなぁ…。欠点を言うなら、スタジオでのペンが安っぽかったね。》
(「人質仲間」とは、常岡さんはアフガンで、安田さんはイラク武装勢力に誘拐されたことをさす)
常岡さん、いつもカンダタミという猫と戯れているようだが、眠れる獅子で雌伏してるんですよね。これからのお仕事に期待してます!
以下にいくつか紹介する。
報道特集は見ましたが日本がオリンピックで馬鹿騒ぎしている中で市民が大量に虐殺されているシリア情勢ですが、安田さんのレポートは素晴らしかったです。》
《今日の報道特集には本当に驚かされました。あれほどの危険をおかして無事にご帰国されたことをよろこんでいます。報道機関お抱えの記者たちには到底望めないすごいレポートでした。私のTLにはこの件の驚きと賛辞で埋め尽くされています。ありがとう。》
《TBS「報道特集」で安田純平さんのシリア・レポートをみる。安田さん、グッジョブ! BBCで放送しても遜色ない。ていうか、非アラブ&非欧米人ならでは価値もあると思う。アラビア語と英語の字幕をつけてユーチューブで流して欲しい》
安田純平のシリア単独取材を見た。 日々爆撃され血が流される。昨日あった家が今日はなく、昨日肩を組んだ人の命が今日はいない。ここまで悲惨な状況が起きていることを、命をかけた取材で教えてくれた安田氏に感謝。》
《フリージャーナリストの安田純平を使うのは結構(現場主義。真のジャーナリズム)しかし、TBSが自前の記者取材をやることはない。TBSの外国駐在記者は単なる情報の媒介者。(企業としてリスクを負いたくないのはわかるが、同時にジャーナリズムを失う)》
《TBSが安田さんが命懸けで持ち帰った反政府側の「普通の人々」の現実を取り上げる意味は大きい。報道特集安田純平さんのシリアレポートに見入る》
報道特集安田純平さんのシリアの取材は凄かった。自国の民間人を空爆する政府軍…政府ってなんのためにあるんだ?》
《TBSの報道特集見れた!安田さんほんとすごい。ていうかひどすぎる・・・・チェチェンの虐殺はもっとひどいのかな・・・・これを世界中の人たちが見ることができたらいいのに・・・・》
安田純平さんのシリア報道。思わす目を背けそうな場面もあった。現実はこんなものではない筈た。暫くは連絡も取れずに心配もあった安田さんの取材に感謝!》
報道特集を見る。私たちがオリンピックを楽しんでいる一方で、シリアの人達はいきるか死ぬかの毎日を送っている…。》
《シリアの取材。病院に運ばれた遺体の足なども映していたけれど、こういう映像をテレビで普通に流すことは大事なことだと思う。昨年の震災の時もずっとモヤモヤしていた。》
《TBSでやってる報道特集「戦場と化した街」が半端なかった 密入国で撮ってきたらしい 今の戦争なんて人が現地に入れないから情報ないけど、普通の生活に空爆だとか 普通のTシャツが血みどろになってたりとか 普通の市場に血と肉片らしきものとか 普通なものがありえなすぎてすげかった》
《安田さんのシリアの取材凄かった。いつ死んでいてもおかしくない。国連も逃げた現状を垣間見れた。この取材、死を覚悟してると思う。1つの番組の枠だけで終わってしまったら残念だ。》
《フリージャーナリストの安田純平氏が単独潜入したシリアの映像がすごかった。自由シリア軍兵士たちの素顔、上空から空爆するヘリ、爆撃された家屋から運び出される住人と地下病院の様子。本当に命がけの取材に敬服。》
《シリア情勢の迫真のレポート。取材はフリージャーナリスト、安田純平。いい取材とレポートだった。政府軍と戦う自由シリア軍の内情がよくわかる。各地域で立ち上がった反政府勢力の自治組織がゆるやかに連携しながら戦っている。こういう報道番組って、今はTBSぐらいかな。》
安田純平のシリア報道。言葉どうしたか疑問だったが、やはり実戦にたえうるアラビア語能力があるようだった。取材力、ビデオ撮影能力も十分だけど、写真はコンデジしか持っていかなかったようで残念なレベル。それでも総合的に、日本の戦場カメラマンの最高峰ですよ。》
《内戦中のシリアに潜入した映像が放送されてる。いつ死ぬかも分からない日常。子供の時にこういう状況で生きるって、相当の衝撃だろう。どんな大人になるのだろう。それまでに内戦は終わるのだろうか?出口が見えない。》
《 安田さんのレポートを見れてよかった。自由シリア軍からみたシリア。戦いの合間の兵士達が実に素朴で、普通過ぎる顔が印象的だった。》
安田純平のシリア報道、素晴らしく価値ある内容。自由シリア軍が解放している街ラスタンで、自治がが始まっていて、政府軍の空爆を避けるために夜中に稼働しているパン工場とか、しっかり実状を伝えたうえで、昨日まで生活していた人の家が空爆され、死んでいく事実を捕らえていた。》
《シリアの今について伝えている。戦場と化した街の中の穏やかな側面を伝えている。私としてはmassacreが起こる度に海外メディアのように爆撃によって傷を負った市民や袋にくるまれた死者の方々がいる現実も交えて伝えてほしい。》
報道特集はシリア部分から見てる。ここんとこ五輪ばっかりだったから、まともなニュースが見られるいいわ。》
報道特集はシリアに単独で潜入し、反政府側に安田記者が取材し現地の情勢を伝えてきている。この番組は確か1月にも金平さん自らがシリアに入って、平静を装うがテロで緊迫した市民や市内の映像を伝えていて鳥肌が立ったのを覚えている。NNNドキュメントとこの報道特集は数少ないリアルな番組だ》。
報道特集がまともなシリアの報道してる。余りにも報じられなさすぎなんだよな。今最も注目されないといけない国なのに。》
《TBSの報道特集にてシリア。日本人ジャーナリストの現地取材映像。「街が戦場になる」というのは、こういうことなのね。すさまじい日常。》
ここに出したのは、ごく一部だが、みなさん好意的に評価してくれている。悪口は一件もない。
この取材、どこがどういうふうに「すごい」のか、観る人によって違うと思うが、私の意見は次回。
(つづく)