めぐみちゃんと家族のメッセージ

takase222012-08-07

写真展「めぐみちゃんと家族のメッセージ」が8月1日から13日まで、東京日本橋高島屋で開かれている。遅ればせながらきょう行ってきた。
http://www.asagaonokai.jp/jp/vrj/index.html?x=99&y=16
会場には、滋さんが撮った家族写真80点が展示されているほか、DVD「『ただいま』の声を聞くために」の上映も常時行われている。
また、今回は、これまで横田夫妻が、めぐみさんゆかりの品々も公開された。バレエの衣装やシューズ、早紀江さんがめぐみさんのために縫った浴衣、めぐみさんが机に飾っていた人形などだ。
浴衣は、めぐみさんが拉致された年の夏祭りに一度だけ袖を通したものだという。早紀江さんは裁縫が上手で、幼いめぐみさんの着る者はほとんどご自分で作っていたという。
また、私が好きなめぐみさんの写真に、めぐみさんがまだ4歳くらいの双子の弟と手をつないでつま先立ちする一枚がある。これはめぐみさんが3歳からクラシックバレエを習っていたからで、ゆたかに愛情を注がれながらめぐみさんは育っていたのだ。
めぐみさんが身につけたりそばに置いていたものは、横田夫妻にとっては、見ると辛くてたまらなくなるからという理由で、ずっとしまい込まれていた。それを今回あえて展示に踏み切ったのには、これまでとは違った思いがあったのではないか。
横田夫妻が最近出版した本のタイトルは『めぐみへの遺言』(幻冬舎)だ。拉致されて35年。自らも齢を重ね、このままでは娘に会えずに生を終えてしまうと思った末の覚悟なのか。もちろん「遺言」などにしてはならないのだが。
バイオリニスト吉田直矢さんのミニコンサートもあった。吉田さんは新潟市寄居中学でめぐみさんの同学年。バスケット部で、めぐみさんのバドミントン部と同じ体育館で練習していたという。
拉致された77年11月15日は、夕方部活を終え暗くなって家路についた。ちょうど前を3人組の女子が歩いており、その一人がめぐみさんだったことをはっきり覚えているという。交差点で、吉田さんは別の方向に向かったが、それがめぐみさんを見た最後だったそうだ。
この展示会は、横田夫妻の住む団地の人たちが支援のために立ち上げた「あさがおの会」というグループが主催している。DVD「『ただいま』の声を聞くために」もこの会が制作した。DVDの中で、夫妻は若い人たちにこう訴えている。
毎日、家族と一緒にいられることはとても幸せなことなのです。その幸せを大事にしてください。
病気になってはじめて健康の大事さが分かるというが、横田夫妻に接するたびに、日常の暮らしの貴さを再認識させられる。
拉致は自分とは遠い「政治問題」と考えるのではなく、めぐみさんが自分の娘だったらと思い、ごく普通の幸せを再認識しながら、多くの人がこの問題に関心を持ちつづけてほしい。