ジャングルの女王の思い出

takase222012-08-01

夏の雲がまぶしい。
見ているとなぜか、切ない思い出に包まれたりする。
かみさん宛てになつかしい人から暑中見舞いが届いた。
娘がお世話になった幼稚園の元園長、長谷川禮子(あやこ)先生。当時はよく私が自転車で娘を送っていったが、毎朝、長谷川園長が園の入り口で子どもたちを迎えてくれた。上の娘は今年成人になっている。こんなに長いこと憶えていていただいているのかと驚く。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20070829
きょうは、園長先生についてのきわめて個人的な思い出を書いてみたい。
この幼稚園は、とても自由な雰囲気で、敬遠する父兄もいた。小学校で新1年生を整列させると、この幼稚園出身者はすぐわかる、規律に欠け、ビシッと並べないからだなどという噂を聞いたことがある。
園庭ではウサギやニワトリとじゃれあい、泥んこになって遊ぶことができる。「授業」中も先生の話に飽きて外に出て勝手に遊んでいる子がいたりする。それでいいと園長は方針を変えることはなかった。
園では夏になると「ジャングル祭り」という行事がある。夜、子どもと家族ら全員が仮装して集まり、園庭で踊りまくるのだ。
暗くなりかけたころ「ジャングルの女王が登場します」とアナウンスされる。すると、「女王」に扮した小柄な園長がシーツを体にまいた格好で現れ、「ポコペコパコ」などと得体のしれない言葉で開会を宣言するのだった。会場が笑いで一気になごんだ。それが今でも強く印象に残っている。
園長は難病をかかえ、入院しては手術を繰り返す苦しい闘病生活を送った。父兄らが寄せ書きで励まそうということになり、色紙が回ってきたので、私は「よみがえれ!ジャングルの女王」と書いた。
すると園長からお便りをいただいた。非常に苦しく意気消沈してベッドに横たわっていたとき、たまたまつけたテレビに私が出てきて、とても励まされたというのだった。
そんな思い出のある先生である。体力的にも限界と、3年くらい前に引退された。
いただいた書中見舞いには、「仕事を離れ気楽な生活には、今まで以上に気力の必要性を感じます」とある。
仕事を離れて、張り詰めていた気持ちが切れるのだろうか。
そして、最近俳句教室に通っているとのことで、こんな句が書かれていた。

向日葵に負けてならじと背をのばす
いいですねえ。
ジャングルの女王、お元気で暑さを乗り切ってください。