破局に向かうレミングの群れと民主党政権

きのう朝日歌壇。
やはり姉妹が入選。
まず、姉の梨子さん。
「リコちゃんは変わってしまった」妹が涙ぐむ話せないこと増えて                      松田梨子
思春期で姉妹にも微妙な距離感が・・と思いきや妹はいつものように屈託がない。
神戸から来たおみやげのテディベア箱を出てすぐ笑ってくれた                       松田わこ
・ ・・・・・
消費税増税法案がきょう午後衆院を通過した。
私はオフィスでテレビの中継を見ていた。民主党の誰が反対に回るのか。
千葉県選出の民主党代議士、岡島一正君の顔が見えた。彼は私がバンコクで特派員をしていたとき、NHKの支局のカメラマンだった。反対。
辻本清美氏が「賛成」票を入れたのは、ちょっと意外だったが、前から賛成の立場だったらしい。
投票はたんたんと進んで議決。大事なことがけっこう簡単に決まってしまうものだな、と感じる。
このあいだ、野田首相マニフェストにもない消費増税法案を強行したら、政権から滑り落ちることが明らかなのに、なぜ暴走するのか分からないと書いた。
そのあと、ああ、こういうことかもしれないと目が開かれる思いがする文章に出会った。
飯田哲也氏(NPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長)の「破綻した原発再稼動の論理」(世界7月号)である。このブログでも書いたが、飯田氏は「本物」だと私は思っている。橋下大阪市長のブレーンになって世間をあっといわせたが、物事を実際に一歩でも動かそうという彼ならではの行動で、頭でっかちの「活動家」にはとてもできない。こんど山口県知事選に出るという。おもしろい人だ。
この論文は、野田首相が、原発再稼動に暴走していることを批判したものだが、再稼動も消費税の増税も、以前の民主党の約束とは違う方向に、破綻に向かって突き進んでいるところは共通している。
原発再稼動は、「再稼動か倒産か」という地点に追い詰められた電力会社の経営問題にほかならないと喝破する飯田氏が、再稼動への動きを「原子力ムラの暴走」と表現する。そしてこう書く。
「誰も責任を取らなくていいのなら、レミング官僚はこれまでの政策と秩序のまま進んでいくことに躊躇しないであろう。常識的レベルの知性があれば、レミングの群れが破壊的事態に向かって進んでいることは理解できるはずだが、それがまったく見えずにレミングの群れに乗ってきた。消費税増税八ッ場ダム建設再開なども含め、民主党政権を使い捨てにしようと考えていることは疑いない。支持率が下り続ける政権末期の今、取れるものは取っていこうとしているのである。
政治的な知性を欠いた政治家とレミングの群れのカップリングによる暴走を止めなければ、再び破滅的事態が惹起されることも空想的な次元の話ではない」

民主党政権レミングと化した官僚たちに「使い捨て」られようとしているという指摘は、とても恐ろしいが、こう解釈するしかない事態だ。
注視しよう。