日本の照明女王、石井幹子さん(情熱大陸)

takase222012-04-28

狭い路地を歩いていて、いきなり芍薬(しゃくやく)が目に飛び込んできた。
「立てば芍薬、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」というのが大和撫子の美女の形容だというが、先人たちは、こんなに派手な花も愛でてきたのだなあ。
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あす4月29日の「情熱大陸」(よる11時〜11時半)は、照明デザイナー石井幹子(いしい・もとこ)さん(73)が主人公です。ぜひご覧下さい。以下番組案内。
《“日本の照明女王”と呼ばれる照明デザイナーに密着。新名所「東京ゲートブリッジ」ライトアップの舞台裏とは?
東京タワーや横浜ベイブリッジ明石海峡大橋など国内有数の夜景スポットの照明デザインを手がけた石井幹子。日本の照明デザイナーの草分けで、海外でも半世紀にわたって活躍を続けてきた。70歳を越えても第一線を走り続ける石井が今回挑戦したのは、東京の新名所「東京ゲートブリッジ」のライトアップだ。飛行機や大型船の航路にあり橋が変わった形状をしている上に、照明の明るさ制限も設けられ、「難題」が山積みのこのプロジェクトで、石井は8年がかりで編み出したある「技」を試みた。「最新技術」と「日本の和」を融合させたという新しい「あかり」の姿とは?東京の新名所誕生の舞台裏に迫る》
石井幹子さんが世に出ようとしたころ、日本には照明デザインという仕事自体がなく勉強するに師もいなかったという。そこで、この分野の先進国だった北欧フィンランドに単身わたり、仕事をしながら学んだ。帰国後、建物のライトアップとはどんなものかを知ってもらうため、お寺に頼み込んでタダで照明するということを繰り返し、認知度を上げていった。
今はどこにいっても見られるライトアップだが、彼女が自分の足で回って広めてきたのだ。
この世界にも浮き沈みがあり、70年代のオイルショック後には仕事が全く来なくなったりもした。去年の311以降は、電力不足のなか、ライトアップは電気の無駄遣いではないかと悩んだ。
しかし、最新技術で使用電力を減らしたり、太陽光発電を組み込んだりという技術的な工夫をしながら、光は人の気持を明るくするという原点に立ち戻って仕事をしているという。
デザインというからアート系のひらめきの世界かと思いきや、LEDをはじめ最先端の技術革新の研究など、ほとんど「理系」の作業が多いのだという。
お嬢さんも番組に登場する。名前は明理(あかり)さん、やはり照明デザイナーでパリを拠点に欧州で広く活躍している。
ちょうど今朝の朝日新聞「ひと」の欄に、「歌舞伎座を親子でライトアップする」として母娘が載っていた。
来春完成する歌舞伎座を、「月光が照らす」というコンセプトでライトアップするという。娘がプロデュース、母がデザイナーをつとめる。
「黄味を帯びた白壁、端正な甍。伝統の美を現代の夜に、色を使わず最新技術の白い光で演出したい」(幹子さん)。LEDを使い、季節で色調を変える。「冬は暖かく、夏は涼しげな白」で、しかも日没から日の出まで段階的に明るさを調節するという。
「自然に即せば冬と夏で夜の一刻の長さが違う。そんな江戸の時間で照らします」。
照明がこんなに微妙な世界だとは・・・
春は入学や就職など、新しい環境に出会う季節だ。照明デザインという分野を文字通り「草分け」として切り拓いてきた石井幹子さんは、若い人たちへ、こんなメッセージを送っている。

自分が美しいと思ったことは、人も美しい。
自分が感動したことは、人も感動させる。
自分が感じたことを、
どうぞ素直に信じてみてください。
きっとそれらは、
あなたがこれから漕ぎ出す未来の海の、
船の行先を照らすかがり火となってくれることでしょう